ロシア政府によるVPNサービスの遮断について多くのロシア在住ユーザーがソーシャルニュースサイトで体験談を報告

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ロシアは2022年2月にウクライナへの侵攻を開始してからインターネット空間での検閲を強化しており、X(旧Twitter)・Facebook・InstagramといったSNSや一部のウェブサービスへのアクセスが遮断されています。2024年1月21日に、あるロシア在住ユーザーがソーシャルニュースサイトのHacker Newsに「ロシア政府によるVPNサービスのブロックが強まった」と投稿したことをきっかけに、多くのロシア在住ユーザーから自身の体験談や見解が寄せられています。
Tell HN: Russia has started blocking OpenVPN/WireGuard connections | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=39067213
ロシアではウクライナ侵攻に伴って西側諸国のさまざまなサービスへのアクセスが遮断されましたが、一部の人々はVPNサービスを使用してブロックを回避しています。しかし、ロシアの上院議員が「2024年3月1日からロシアで禁止されているサイトへのアクセスを提供するVPNサービスをブロックする命令が施行される」と発言するなど、ロシア国内でVPNサービスが使えなくなる懸念も浮上しています。
そんな中でロシアに住むHacker Newsユーザーのitvision氏は、「過去3日間、ロシア人はOpenVPN/WireGuardプロトコルを介して動作するVPNサービスを利用できず、特定の状況下でSSH接続が機能しなくなったと報告する人もいます。『孤立したロシアのインターネット』の見通しは非常に現実的になりました。現在ロシアに住んでいる人間として、過去3日間にわたりお気に入りのVPNサービスに接続できず、公式アプリでさえ機能していないことを確認できます。英語圏のインターネットではこの問題についての議論を見たことがありません。情報や表現の自由を守る上で重要であるにもかかわらず、何らかの理由でニュースになっていないのです」と投稿しました。

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すると、多くのロシア在住ユーザーから自身の体験談や見解が寄せられました。2014年の紛争をきっかけに親ロシア派武装勢力のドネツク人民共和国が実効支配したドンバスに住むユーザーは、「ここでは、ロシア政府は長いことすべてのWireGuard接続をブロックしてきましたが、OpenVPNはホストによって選択的にブロックされているようです。政府と商業界は、WireGuardよりもOpenVPNを必要としているに違いありません」とコメント。ドンバスではVPNサービスへの対応には一貫性がなく、ブロックするホストやタイミングもISPによって異なるそうで、ドンバスはロシアの検閲についての実験環境になっているのではないかという見解を示しました。

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ロシアに住むロシア人だというMrDisposable氏は、数カ月前に有料VPNプロバイダーが機能しなくなり、その後はセルフホストのOutlineサーバーやOpenVPNも機能しなくなったと報告しています。機能しなくなったVPNはいずれもDigital Oceanがフランクフルトでホストしていたものであり、書き込み時点ではアメリカのサーバーで実行されているセルフホストのOutlineを使用しているとのことですが、これも長くは続かないだろうと述べています。

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MrDisposable氏は、「どうやって制裁を受けているのにEUのVPS(仮想専用サーバー)に料金を支払っているのですか?」という質問に対し、バルト三国にあるビジネス用の銀行口座やジョージアの個人用銀行口座を使っていると回答。他の国に銀行口座を持っていない人は、すでに移住した知人・友人と「ロシア国内での住宅ローン支払いや親族の援助に必要なルーブルを提供する代わりに、国外のVPSに料金を支払ってもらう」という協力関係を結んでいるそうです。
なお、MrDisposable氏は最初の書き込み時点でOutlineに替わるVPNサービスを模索していましたが、後の書き込みで「VPSにAmneziaVPNを導入したところ、今のところうまく、高速で機能しています」と報告しました。

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itvision氏の報告に賛同する書き込みがある一方で、同様の事態には陥っていないと主張するロシア在住ユーザーもいます。あるユーザーは、「私にはそれが真実だと思えません。ロシア政府は商用ソリューションをブロックする可能性がありますが、私は現在オランダを出口ポイントにするWireGuardを使用しており、それは正常に機能しています」とコメントし、別のユーザーも問題には気づかなかったと返信しています。しかし、何人かの友人に尋ねてみたところVPNサービスに問題が出ている人もいたとのことで、プロトコル自体がブロックされているのではなく、プロトコルと「疑わしいサーバー」との組み合わせが問題なのではないかと指摘しました。

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また、モスクワからOpenVPN経由で書き込んでいるという人物は、2023年にロシア全土を移動したものの、プロトコルレベルでのブロックは経験していないと報告しています。

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今回報告されたVPNサービスの締め付けについては、「ロシア南西部のバシコルトスタン共和国で1月17日に発生した政治活動家の解放を求める大規模なデモ活動が関連しているのではないか」というコメントも寄せられていました。
ロシア南西部で活動家の解放求めるデモ拡大、群衆数千人と警察が衝突…侵略開始以降で異例 : 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240118-OYT1T50232/

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