Appleが過去にもひと悶着あったHEYの新アプリのApp Storeでのリリースを拒否、アプリ開発者は「前回と同じイジメの手口」と批判

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37signals(前Basecamp)の開発する有料のプレミアムメールサービス・HEYが、2024年1月2日にメールサービスと統合した新しいカレンダー機能を発表しました。HEY Calendarと名付けられたカレンダー機能は個別のアプリケーションとしてHEYとは別にリリースされる予定だったのですが、これをAppleが拒否するという事態が起きています。
Apple rejects the HEY Calendar from their App Store
https://world.hey.com/dhh/apple-rejects-the-hey-calendar-from-their-app-store-4316dc03

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Apple’s rejection of Hey calendar app renews an old fight - The Verge
https://www.theverge.com/2024/1/5/24027283/apple-hey-rejection-calendar-app-basecamp-david-heinemeier-hansson
HEYは2020年にApp Storeに登録された際、「Appleの課す手数料は高額すぎるためアプリ内課金を介さずに料金の支払いを求める」というスタンスを取り、App Storeから削除されそうになり話題となりました。AppleがApp Storeで配信されるサードパーティーアプリに対して高額な手数料を課していることが大きな話題となったのはAppleとEpic Gamesの訴訟からでしたが、HEYの開発元である37signalsは、一足先にAppleの慣習を批判していたというわけです。
App StoreでApp内課金を実装しなかったとしてアプリが削除の危機に追い込まれる - GIGAZINE

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そんな37signalsは2024年1月2日、新しいカレンダー機能のHEY Calendarを発表しました。HEY Calendarは別個のアプリとして既存のHEYユーザー向けに順次展開されていく予定だったのですが、発表から約72時間後の1月5日、37signalsの共同創設者であるデビッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏が、AppleからHEY CalendarアプリをApp Storeで配信することを拒否するメッセージを受け取ったことを明かしています。
ハンソン氏によると、HEY CalendarはAppleに申請してから19日間にわたり審査を受けており、2024年1月2日のリリースを計画していました。しかし、AppleはHEY Calendarを利用するには「既存のHEYアカウントでログインする必要がある」という理由で、アプリのリリースを拒否しました。
ただし、HEYもアプリ上でアカウントを直接作成することはできず、ブラウザ上でアカウントを作成してからアプリでアカウントにログインする必要があります。また、HEY以外にも複数のアプリが「既存のアカウントでログインしなければアプリを利用できない」という設計になっています。具体的には、NetflixやGoogleカレンダー、Salesforce、JPMorganなどのアプリが「既存のアカウントでログインしなければアプリを利用できない」設計です。

Appleが過去にもひと悶着あったHEYの新アプリのApp Storeでのリリースを拒否、アプリ開発者は「前回と同じイジメの手口」と批判 - 画像


また、AppleのApp Storeガイドラインのどこにも「既存のアカウントを必要とするアプリを禁止する」という旨の文言はないとハンソン氏は指摘。さらに、ハリソン氏は「存在するのは誰がアプリ内課金を使用しなければならないか、誰がそれを回避できるかのみです」と述べ、ガイドラインには存在しないものの一部のアプリ開発者が優遇されている現状を嘆いています。
また、ハンソン氏は自身のXアカウント上でも「AppleからApp StoreでHEY Calendarアプリを拒否する旨の連絡を受けました。前回と同じイジメの手口です」と述べ、Appleの対応を批判しました。
Apple just called to let us know they're rejecting the HEY Calendar app from the App Store (in current form). Same bullying tactics as last time: Push delicate rejections to a call with a first-name-only person who'll softly inform you it's your wallet or your kneecaps.— DHH (@dhh) January 5, 2024

なお、2020年の騒動でAppleはHEYに譲歩して「アプリ内課金以外で有料サービスに登録すること」を許可しています。その結果、AppleはApp Storeガイドラインに以下の文言を追加しています。
3.1.3(f)無料のスタンドアロンアプリ:有料のWebベースツール(VOIP、クラウドストレージ、メールサービス、Webホストなど)に対して、スタンドアロンのコンパニオンアプリとして機能する無料アプリは、そのアプリ内で購入が発生しない、またはそのアプリ外へ購入を誘導していない限り、アプリ内課金を使用する必要はありません。
2020年の騒動で上記の文言がガイドラインに追加されたにもかかわらず、Appleが以前と同様の理由でアプリのリリースを拒否してきたことをハドソン氏は批判しています。
Since it's clear we're never going to pay them the extortionate 30% ransom, they're back to the bullshit about "the app doesn't do anything when you download it". Despite the fact that after last time, they specifically carved out HEY in App Store Review Guidelines 3.1.3 (f)! pic.twitter.com/GfqBCMgvSw— DHH (@dhh) January 5, 2024

海外メディアのThe VergeはAppleと37signalsの両方にコメントを求めていますが、記事作成時点では返答は得られていません。

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