北朝鮮の軍事衛星打ち上げを受けたハッカー集団「キムスキー」への制裁をアメリカが発動

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アメリカ政府が2023年11月30日に、日本、韓国、オーストラリアと共同で北朝鮮政府が支援するハッカー集団「キムスキー」と8人の工作員を制裁対象者のリストに加えたことを発表しました。この措置は、北朝鮮が11月21日に軍事偵察衛星を打ち上げたと主張したことを受けた直接的な対応として実施されました。
North Korea Designations; Non-Proliferation Designation | Office of Foreign Assets Control
https://ofac.treasury.gov/recent-actions/20231130_33
Treasury Targets DPRK’s International Agents and Illicit Cyber Intrusion Group | U.S. Department of the Treasury
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy1938
US, partners sanction North Korea over satellite launch | Western Advocate | Bathurst, NSW
https://www.westernadvocate.com.au/story/8443821/us-partners-sanction-north-korea-over-satellite-launch/
US govt sanctions North Korea’s Kimsuky hacking group
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/us-govt-sanctions-north-koreas-kimsuky-hacking-group/
今回、アメリカの財務省外国資産管理室(OFAC)が経済制裁措置対象者リスト、いわゆるSDNリストに追加した「キムスキー」は、朝鮮人民軍偵察総局(RGB)の下部組織で、「APT43」「TA406」「ベルベット・チョリンマ」「ブラック・バンシー」「エメラルド・スリート」などの異名でも知られているハッカー集団です。
2010年にRGBの関連組織として捕捉されたキムスキーは、当初韓国の政府機関やシンクタンク、専門家などを標的としていましたが、その後日本、アメリカ、ロシア、欧州、国連などに対象を拡大しました。これまでの主要な違法活動として、2014年に韓国の原子力事業者に対してハッキングを行ったほか、学術機関をハッキングした2018年の「STOLEN PENCIL」作戦、韓国の政府組織や防衛関連機関に対する2019年のマルウェア攻撃「Kabar Cobra」作戦、アメリカ企業を対象とした同年の「Smoke Screen」作戦などが確認されています。

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財務省は声明の中で、「本日の行動は、朝鮮民主主義人民共和国が11月21日に主張した軍事偵察衛星の打ち上げに対応するものである」と説明しました。
また、財務省のテロ・金融情報担当次官であるブライアン・E・ネルソン氏は、「アメリカ、オーストラリア、日本、韓国による本日の行動は、北朝鮮の不法かつかく乱的な活動に対抗するという我々の集団的な決意を反映しています。北朝鮮の海外労働者、マネーロンダリング、サイバースパイ活動、違法資金の利用は、国際的な安全保障と地域の同盟国を脅かし続けています。我々は、北朝鮮の不法収益創出と武器拡散におけるこれらの重要なターゲットに対する監視に引き続き注力していきます」とコメントしました。
21日に衛星を打ち上げて以来、北朝鮮はホワイトハウスや国防総省、アメリカのノーフォーク海軍基地の空母を撮影したスパイ衛星写真を金正恩総書記が閲覧したと発表しています。また、北朝鮮の国営メディアは衛星がワシントンや韓国、グアム、イタリアの都市や軍事基地を撮影したとも報じました。

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by Prachatai
OFACはまた、制裁逃れを助長し自国の大量破壊兵器プログラムを支援したとして、北朝鮮の工作員8人をSDNリストに追加しました。その中には、北朝鮮の武器および関連物資輸出の大半を担う企業「グリーン・パイン」がイランと中国に構える拠点の代表者3人、北朝鮮の金融機関がロシアと中国に構える拠点の代表者3人、北朝鮮労働者の輸出を通じて不正に資金を得ているフロント企業の代表者2人が含まれています。
ニューヨークの北朝鮮国連使節団は、今回の制裁に対するメディアのコメント要請に応じませんでした。

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