原子力潜水艦の機密情報を外国に売ろうとした技術者夫婦が起訴される、おとり捜査で判明した意外な手口とは?

原子力潜水艦の機密情報を外国に売ろうとした技術者夫婦が起訴される、おとり捜査で判明した意外な手口とは? - 画像


by Marion Doss
アメリカの司法省が2021年10月10日に、原子力潜水艦に関する技術的な情報を外国に売り渡そうとしたとして、メリーランド州在住の原子力技術者とその配偶者を逮捕したと発表しました。容疑者らは共謀して、実際にはおとり捜査官だった外国機関のエージェントに情報を提供していましたが、その情報の受け渡しには意外にも原始的な手口が使われていたと報じられています。
Maryland Nuclear Engineer and Spouse Arrested on Espionage-Related Charges | OPA | Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/maryland-nuclear-engineer-and-spouse-arrested-espionage-related-charges
US navy engineer charged after hiding secret documents in peanut butter sandwich | ITV News
https://www.itv.com/news/2021-10-10/us-navy-engineer-charged-with-trying-to-pass-secrets-about-nuclear-powered-subs
原子力法違反の疑いで、10月9日にFBIと海軍犯罪捜査局によって逮捕されたのは、42歳の原子力技術者であるジョナサン・トービー容疑者と、その妻である45歳のダイアナ・トービー容疑者です。両容疑者は、複数回にわたり原子力技術に関する機密情報を外国の機関に売り渡そうとしていましたが、その相手は外国機関のエージェントではなくFBIの覆面捜査官でした。

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発表によると、ジョナサン・トービー容疑者は覆面捜査官から「誠意」として、6月8日に1万ドル(約110万円)相当の暗号資産を受け取り、その見返りとして6月26日に機密情報を捜査官に渡したとのこと。その情報の受け渡しの方法とは、ピーナッツバターサンドに隠したSDカードを、「デッド・ドロップ」と呼ばれる所定の受け渡し場所に置くというものでした。この時、妻のダイアナ・トービー容疑者は見張り役を務めていました。
その後、SDカード入りピーナッツバターサンドを回収した捜査官は、報酬としてさらに2万ドル(約220万円)相当の暗号資産を支払い、これに対してジョナサン・トービー容疑者はSDカードの復号鍵をメールで送信しました。そして、その復号鍵を用いてSDカードの中の情報を復号したところ、そこにはバージニア級原子力潜水艦の原子炉の設計や性能に関するデータが含まれていました。

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容疑者夫婦はその後も繰り返し覆面捜査官に情報を売り渡し、中には7万ドル(約770万円)分の暗号資産の見返りに、チューインガムのパッケージにSDカードをしのばせることもありました。
FBIによると、一連の捜査は2020年4月にジョナサン・トービー容疑者が海軍の文書を外国政府に送り、「作戦マニュアルや報告書などの機密情報を売ることに関心がある」と伝えたことから始まったとのこと。具体的にどの国の政府かは、発表されていません。その後、1年以上にわたるおとり捜査により、容疑者夫婦は2021年10月9日に逮捕されました。
メリック・ガーランド司法長官は発表の中で、「訴状は容疑者らがアメリカの原子力潜水艦の設計に関する情報を、外国に送信しようと企てたことを告発しています。FBI、司法省検察官、海軍犯罪捜査局、エネルギー省による捜査活動は、訴状に書かれた企てを阻止し、犯人を法で裁くための第一歩を踏み出す上で重要でした」と述べました。
2人は、10月12日にウェストバージニア州マーティンズバーグにある連邦裁判所に出廷する予定です。

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