自然冷却でより安全に運用可能な「小型モジュール式原子炉」がついに規制当局から承認される

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2020年8月28日、アメリカの民間原子力企業・NuScale Powerが開発する小型の原子炉が、アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)の承認を受けました。この小型原子炉が現場に投入されれば、従来のものより拡張性と安全性の高い原子力発電所が設計可能になるとのことです。
NuScale Power Makes History as the First Ever Small Modular Reactor to Receive U.S. Nuclear Regulatory Commission Design Approval | NuScale Power
https://newsroom.nuscalepower.com/press-releases/default.aspx
NuScale’s small nuclear reactor is first to get US safety approval | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/09/first-modular-nuclear-reactor-design-certified-in-the-us/
原子力発電所には原子炉が必要となりますが、近年は「1つの巨大な原子炉ではなく、小型の原子炉を複数使う」という設計思想が登場しています。原子炉を小型化することで、原子力発電所の拡張性が高くなり、慢性的な財政問題が解決されると同時に、原子炉運用の安全性を向上させることが可能になります。
「パッシブ冷却」により電源を喪失しても自然冷却で安全運用できるという小型原子炉が登場 - GIGAZINE

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NuScale Powerが開発した小型モジュール式原子炉は直径5メートル・高さ23メートルの円筒形で、5万キロワットの発電が可能。NuScale Powerは、この原子炉を最大12基組み合わせることで、従来の原子力発電所に並ぶ出力が可能な発電所を建設できるとしています。

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NuScale Powerの小型モジュール式原子炉のシステムを可視化したのが、以下のアニメーションです。
Normal System Operation - YouTube

小型原子炉の設計そのものは従来とほぼ同じで、ウラン燃料棒の核分裂反応熱を用いて、内部の加圧ループで水を加熱します。その熱を熱交換コイルを介して外部の蒸気ループに伝えます。プラント内部では、生成された蒸気が発電タービンに流れ、冷却されて原子炉に戻ります。

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この原子炉は「パッシブ冷却システム」を採用しており、熱された水が熱交換コイルを通って上昇し、冷却後に燃料棒に向かって下降するように配置されているので、原子炉を安全に運転するためのポンプや可動部品は必要ありません

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小型モジュール式原子炉の利点の一つは、各ユニットが保持する放射性燃料の量が少ないため、万が一問題が発生しても熱を取り除く量が少なくて済むことです。そのため、原子炉も同様に自動的に熱を管理できるように設計されています。
たとえば制御棒は、燃料棒を包み込んで中性子を遮断することで核分裂の連鎖反応を停止できる装置です。NuScale Powerの小型原子炉では、制御棒はモーターによって燃料棒の上に常に引き上げられている状態となっており、停電が発生したり電源が切られたりすると、自重でそのまま燃料棒の上に落下します。さらに内部のバルブにより、加圧された蒸気が原子炉内に排気され、冷却プールに沈められた鋼鉄製の外装から熱が放出される仕組みとなっています。
NuScale Powerがこの小型モジュール式原子炉の設計を当局に提出したのは2016年末のこと。しかし、新しいタイプの原子炉が承認されるのは非常に難しく、NuScale Powerは追加で合計200万ページもの資料を提出したそうです。そして、NuScale Powerが辛抱強く対応を続けた結果、NRCは「小型モジュール式原子炉の受動的冷却機能によって、必要に応じて原子力発電所が安全に停止し、緊急時でも安全を維持することが保証されると結論付けた」と述べ、小型モジュール式原子炉を承認したとのこと。
NuScale Powerは2020年後半までに、この小型モジュール式原子炉を実際の原子力発電所に配備することを目標にしていると述べています。

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