Googleが「会社に抗議する従業員の権利を制限したい」とアメリカの行政機関に要望していた

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by FirmBee
Googleでは従業員が会社の方針に対してさまざまな抗議活動を行ったり、会社に改善を求めるなどの活動が活発化しており、世界中からの注目を集めています。そんな中、Googleがアメリカの行政機関に対して「会社の方針に反対する活動を行う従業員について、会社のメールシステム上で活動を行う権利を制限させて欲しい」と要望していたことが明らかになりました。
Google Urged the U.S. to Limit Protection For Activist Workers - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-01-24/google-urged-the-u-s-to-limit-protection-for-activist-workers
アメリカの労働関係法を執行する独立行政機関の全米労働関係委員会(NLRB)は、企業の従業員が社内のメールシステムを使用して、企業や職場、仕事内容に関する問題について話し合ったり、抗議などの活動を行ったりする権利をオバマ政権時代に保障しています。企業は社内メールシステムを利用して企業の幹部への嘆願書を回覧したり、ストライキなどの抗議活動を呼びかけたり、組合を結成したりといった行為を理由に従業員を罰することは禁じられているとのこと。
Googleは長年にわたって従業員からのフィードバックを積極的に受け入れる文化を育んでおり、会議やオンラインフォーラムでの活発なディベートが行われてきました。そんな文化の中では従業員が会社の方針に反対したり、嘆願書を提出したりといった活動を行うことも少なくありません。
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2018年11月1日には、Googleの元幹部がセクハラ問題で退社した際に多額の退職金が支払われたことに対し、全世界で2万人以上の従業員がストライキを起こすなどの抗議活動が行われました。
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ニューヨーク、東京、シンガポール、ロンドンなどのオフィスで行われたストライキの他、カリフォルニア本社ではプラカードを持った従業員が拡声器でメッセージをサンダー・ピチャイCEOに送るといった活動が行われ、世界からの注目を集めました。ピチャイ氏はセクハラ問題などに対しての不適切な対応を謝罪し、社内の透明性を改善することを約束するといった内容のメールを全従業員に配信したとされています。
この抗議活動からわずか3週間後、GoogleがNLRBに対して「『従業員が社内メールシステムを使って、企業に対する抗議活動を組織化することを企業が禁じる』という、オバマ政権時代に制限された企業の権利を復活させるべきだ」と求めていたことが、アメリカの情報公開法によって取得された文書から明らかになりました。Googleの広報担当者はこの件について、「私たちはいかなる規則の変更についてもロビー活動を行っていません。Googleの主張はNLRBによるメリットのない主張に対する、多くの防御行動の一つです」と電子メールで声明を発表したとのこと。
11月に行われた抗議行動に参加したGoogleのエンジニアで活動家でもあるColin McMillen氏は、Googleの社内メールシステムは従業員の会社に対する抗議活動において大きな役割を果たしており、NLRBがGoogleの主張を受け入れればかなりの悪影響が出るだろうと述べています。Googleに対する抗議行動を行うための電子メールリストには1000人を超える従業員が参加しており、世界中に散らばる従業員をまとめて活動に動員するためには、社内メールシステムの活用が不可欠だそうです。
従業員のストライキを組織した人物は、「ピチャイCEOはGoogleがストライキに理解を示すような電子メールを送っていましたが、NLRBへの要求は授業員のストライキを受け入れたがらないGoogleの意志を感じさせます」と述べています。企業が社内メールシステムで従業員が活動することを禁止できるようになれば、Googleだけでなく全米の労働者に対する権利を制限することになると、匿名を希望したこの人物は主張しました。

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by Rosemary Ketchum
一方でGoogleの広報担当者は、「Googleは世界で最もオープンな職場の一つです。従業員は多くのインターネット上のフォーラムで自身の意見を発表し、問題への懸念を表明し、内部フォーラムを通してお互いにつながることができます」と述べています。
また、GoogleのNLRBに対する異議は11月のストライキに対抗したものではなく、以前にNLRBの地域担当ディレクターが行った申し立てに対し、Google自身を弁護するために行われたものだとしています。この申し立てとは、Googleの従業員が自身の差別的な主張によってGoogleから解雇されたという一件です。解雇された従業員の弁護人であるNoah Peters弁護士によれば、従業員はコメントすることも自身の身元を明かすことも拒否しているとのこと。
なお、この解雇された従業員とは女性蔑視発言を行ったことで2017年8月にGoogleを解雇されたJames Damore氏とは別の人物です。
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Peters氏は、自身のクライアントがGoogleの「極端に左翼的な文化」に反対しており、「部族的な」ポリティカルコレクトネスに異議を唱えたことでGoogleに罰せられたとしています。Googleはこの解雇に対してNLRBが行った申し立てに対し、解雇された従業員が「違法なバイアスや差別、ハラスメントから女性やマイノリティを解放する職場を維持するGoogleの合法的利益を侵害した」としており、この主張の中で社内メールシステムによる活動といったいくつかの判例を覆すべきだと主張していました。
オバマ政権時代にNLRBの議長を務めたWilma Liebman氏は、従業員が社内メールシステムを使って活動を行う権利を保障することは、現代の職場環境を考えれば「非常に基本的」なものであると指摘。自由な意見交換を推奨し、さまざまなコミュニケーションメカニズムを世に発表しているGoogleがこのように狭い立場を取るのは皮肉なことだと述べています。

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