シャープの「混ぜないホットクック」withシリーズを体験! 無水/圧力なし/予約調理/片付けやすさの4点に注目
自動調理鍋の代表的ブランドといえば、シャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」シリーズは外せません。とはいえホットクックは機能が複雑なため、価格もそれなりに高価格。そこで、シャープは機能を絞った新ライン「withシリーズ」を発表。その第一弾となるのが11月21日発売予定の「KN-MN16H」です。
新製品はホットクックの「美味しさ」に関する機能はそのまま、かき混ぜ機能やWi-Fiなどの一部機能を省いています。気になる使い勝手はどうなのか? 発売前に少し使ってみました。
○ホットクック withシリーズはどんな自動調理鍋?
新製品であるKN-MN16Hは調理容量1.6Lタイプの自動調理鍋で、煮込みや炒め、ゆで、炊飯、発酵、低温調理、ケーキなどの焼き料理まで可能。さらに、付属の蒸しトレイを利用することで蒸し調理や、炊飯と蒸し料理を同時にするような「2段調理」にも対応します。
従来までのホットクックとの違いは、なんといっても「かき混ぜ機能」を搭載していないことでしょう。
既存のホットクックは内蓋部分に「かき混ぜユニット」を搭載しており、加熱中にほどよいタイミングとパワーで食材を混ぜたり、潰す、泡立てるといった調理まで鍋がおこなってくれました。かき混ぜ機能には、少ない調味料でもムラのない煮込みの実現や、焦げ付きの低減、調理時間を短くするといったメリットも。
とはいえ、じつはホットクックにとって「かき混ぜ機能」は便利機能のひとつでしかありません。ホットクックの真価は「料理を誰でも美味しく調理できる」という点にあります。
具体的に言えば、ホットクックのもつ「食材の水分だけで煮込み料理が作れる無水調理」と「温度と蒸気のダブルセンサーを使って、難しい火加減も食材にあわせて自動調整」のふたつの機能がホットクックの核なのです。
今は無水調理ができる製品が増えていますが、複数のセンサーを使った火加減や、自動調理メニューの美味しさやメニューバリエーションの豊富さは、発売から10周年という積み重ねのあるホットクックだからこその魅力といえます。
新製品となるKN-MN16Hは、このホットクックならではの無水調理や多彩な内蔵メニューに対応しています。
かき混ぜ機能がなくなったため、KN-MN16Hの新機能として搭載されたのが「まぜナビ」機能です。
これは「調理中に具材をかきまぜたほうが美味しくなる料理」にかぎり、調理中の最適なタイミングで具材をかき混ぜるように知らせてくれるという機能。KN-MN16Hにはこのまぜナビ機能対応メニューが30種類内蔵されています。
○さっそく肉じゃがを作って「まぜナビ」機能を体験
実際にKN-MN16Hを使ってホットクックの公式メニュー「肉じゃが」を作ってみます。
従来のホットクックでは、加熱中にかき混ぜユニットが材料を混ぜることで、少ない調味料でも具材全体にムラなく味が染みこんでいました。またジャガイモがかたい内はしっかり混ぜ、火が通って柔らかくなると優しく食材を混ぜることで、できあがりのジャガイモが崩れることなく仕上がる点も便利でした。
新KN-MN16Hも途中までの作り方は同じ。鍋に野菜と肉、調味料を入れて「肉じゃが」メニューを選択します。この段階では汁気がほとんどなく、上のほうにあるジャガイモに火が入るのかちょっと心配になる見た目です。
加熱開始後25分ほどで「まぜナビ」のアラームが鳴り、液晶画面に「味を全体になじませるため上下を入れ替えるように大きく混ぜてください」というアドバイスが表示されました。ちなみに、まぜナビのアドバイスは「ちゃんぽん」なら「めんをほぐしながら手早く混ぜてください」など料理によって異なります。
アドバイス通りにかき混ぜた後はフタを閉めてスタートボタンを押し、約10分後に肉じゃがが完成。かき混ぜ前は味のムラできることを危惧しましたが、できあがりは全体にしっかり調味液の色が行き渡っていました。
ジャガイモが柔らかくなってからかき混ぜるため、ジャガイモが崩れてしまうことが心配でしたが「調理中にかき混ぜるのが1回だけ」であるためか、思ったよりジャガイモの崩れも気になりません。
筆者は普段から肉じゃがを作りますが、ジャガイモの崩れにくさは「かき混ぜ機能があるホットクック > 新製品KN-MN16H > 普通の鍋で手動調理」という印象です。
○結局withシリーズのメリットとはなんなのか?
どこよりも早く「混ぜる機能」を搭載した自動調理鍋というのが、ホットクックシリーズのわかりやすい特徴でした。今回の新製品ではあえてこの混ぜ機能をはじめとした複数の機能を省き、価格を抑えることに成功しています。
とはいえ(発売後に価格が落ちる可能性はありますが)市場推定価格は39,000円前後というのは、一般的な自動調理鍋としては決して低価格とはいえません。また、自動調理鍋としては珍しい「圧力機能非搭載」という点もネックになるユーザーはいるでしょう。
今回、新製品を実際に使って感じたKN-MN16Hのメリットは「無水調理の美味しさ」「圧力機能がないからこその使い勝手のよさ」「最大15時間の予約調理」「片付けのしやすさ」の4つ。
筆者は家電ライターという職業上、さまざまな自動調理鍋の無水料理を食べていますが、ホットクックの無水調理の美味しさはそのなかでもトップクラスです。
「圧力がないからこその使い勝手のよさ」も見逃せません。たとえば、圧力鍋は粘度の高い煮込み料理が出来ません。そこで、カレーを作る場合も「野菜と肉が柔らかくなるまで煮込む(圧力)」「ルーを入れてさらに煮込む(非圧力)」と2段階の調理工程が必要になります。しかし、ホットクックなら最初からルーを入れた状態で調理ができるのです。
調理中でもフタを開けられるのも、圧力がないからこその便利さ。圧力鍋は一度圧力をかけたら、減圧が終わるまでフタが開きません。このため「具材を入れ忘れたから急いで追加したい」「煮込み具合をチェックしたい」といったことが気軽にできないのです。
たとえば、筆者は今回まぜナビメニューにある「具だくさん味噌汁」を作ったときに味噌を入れ忘れてしまったのですが、ホットクックなら加熱途中でも好きなタイミングでフタをあけて味噌を投入できます。ある意味、普段使っているコンロに近い使い方ができる自動調理鍋といえそうです。
また、自動調理鍋は肉や魚などの腐りやすい食材を扱うため、予約調理ができない製品も多くあります。そんななか、KN-MN16Hは予約待機中も絶妙に温度を調整することで最大15時間までの予約が可能です。
正直な感想をいえば、予算と置き場所に困らないならかき混ぜ機能搭載の既存のホットクックが絶対に便利です。ただ、かき混ぜ機能がない新製品KN-MN16Hも、美味しさや使いやすさの点では「ホットクックらしい製品」だと感じました。
「予算は抑えたいけれど、ホットクックを使ってみたい」「今使っているホットクックが便利だから、2台目が欲しい」という人は一度チェックしてほしい製品だと思います。
倉本春 くらもとはる 生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ。 この著者の記事一覧はこちら
新製品はホットクックの「美味しさ」に関する機能はそのまま、かき混ぜ機能やWi-Fiなどの一部機能を省いています。気になる使い勝手はどうなのか? 発売前に少し使ってみました。
○ホットクック withシリーズはどんな自動調理鍋?
新製品であるKN-MN16Hは調理容量1.6Lタイプの自動調理鍋で、煮込みや炒め、ゆで、炊飯、発酵、低温調理、ケーキなどの焼き料理まで可能。さらに、付属の蒸しトレイを利用することで蒸し調理や、炊飯と蒸し料理を同時にするような「2段調理」にも対応します。
従来までのホットクックとの違いは、なんといっても「かき混ぜ機能」を搭載していないことでしょう。
既存のホットクックは内蓋部分に「かき混ぜユニット」を搭載しており、加熱中にほどよいタイミングとパワーで食材を混ぜたり、潰す、泡立てるといった調理まで鍋がおこなってくれました。かき混ぜ機能には、少ない調味料でもムラのない煮込みの実現や、焦げ付きの低減、調理時間を短くするといったメリットも。
とはいえ、じつはホットクックにとって「かき混ぜ機能」は便利機能のひとつでしかありません。ホットクックの真価は「料理を誰でも美味しく調理できる」という点にあります。
具体的に言えば、ホットクックのもつ「食材の水分だけで煮込み料理が作れる無水調理」と「温度と蒸気のダブルセンサーを使って、難しい火加減も食材にあわせて自動調整」のふたつの機能がホットクックの核なのです。
今は無水調理ができる製品が増えていますが、複数のセンサーを使った火加減や、自動調理メニューの美味しさやメニューバリエーションの豊富さは、発売から10周年という積み重ねのあるホットクックだからこその魅力といえます。
新製品となるKN-MN16Hは、このホットクックならではの無水調理や多彩な内蔵メニューに対応しています。
かき混ぜ機能がなくなったため、KN-MN16Hの新機能として搭載されたのが「まぜナビ」機能です。
これは「調理中に具材をかきまぜたほうが美味しくなる料理」にかぎり、調理中の最適なタイミングで具材をかき混ぜるように知らせてくれるという機能。KN-MN16Hにはこのまぜナビ機能対応メニューが30種類内蔵されています。
○さっそく肉じゃがを作って「まぜナビ」機能を体験
実際にKN-MN16Hを使ってホットクックの公式メニュー「肉じゃが」を作ってみます。
従来のホットクックでは、加熱中にかき混ぜユニットが材料を混ぜることで、少ない調味料でも具材全体にムラなく味が染みこんでいました。またジャガイモがかたい内はしっかり混ぜ、火が通って柔らかくなると優しく食材を混ぜることで、できあがりのジャガイモが崩れることなく仕上がる点も便利でした。
新KN-MN16Hも途中までの作り方は同じ。鍋に野菜と肉、調味料を入れて「肉じゃが」メニューを選択します。この段階では汁気がほとんどなく、上のほうにあるジャガイモに火が入るのかちょっと心配になる見た目です。
加熱開始後25分ほどで「まぜナビ」のアラームが鳴り、液晶画面に「味を全体になじませるため上下を入れ替えるように大きく混ぜてください」というアドバイスが表示されました。ちなみに、まぜナビのアドバイスは「ちゃんぽん」なら「めんをほぐしながら手早く混ぜてください」など料理によって異なります。
アドバイス通りにかき混ぜた後はフタを閉めてスタートボタンを押し、約10分後に肉じゃがが完成。かき混ぜ前は味のムラできることを危惧しましたが、できあがりは全体にしっかり調味液の色が行き渡っていました。
ジャガイモが柔らかくなってからかき混ぜるため、ジャガイモが崩れてしまうことが心配でしたが「調理中にかき混ぜるのが1回だけ」であるためか、思ったよりジャガイモの崩れも気になりません。
筆者は普段から肉じゃがを作りますが、ジャガイモの崩れにくさは「かき混ぜ機能があるホットクック > 新製品KN-MN16H > 普通の鍋で手動調理」という印象です。
○結局withシリーズのメリットとはなんなのか?
どこよりも早く「混ぜる機能」を搭載した自動調理鍋というのが、ホットクックシリーズのわかりやすい特徴でした。今回の新製品ではあえてこの混ぜ機能をはじめとした複数の機能を省き、価格を抑えることに成功しています。
とはいえ(発売後に価格が落ちる可能性はありますが)市場推定価格は39,000円前後というのは、一般的な自動調理鍋としては決して低価格とはいえません。また、自動調理鍋としては珍しい「圧力機能非搭載」という点もネックになるユーザーはいるでしょう。
今回、新製品を実際に使って感じたKN-MN16Hのメリットは「無水調理の美味しさ」「圧力機能がないからこその使い勝手のよさ」「最大15時間の予約調理」「片付けのしやすさ」の4つ。
筆者は家電ライターという職業上、さまざまな自動調理鍋の無水料理を食べていますが、ホットクックの無水調理の美味しさはそのなかでもトップクラスです。
「圧力がないからこその使い勝手のよさ」も見逃せません。たとえば、圧力鍋は粘度の高い煮込み料理が出来ません。そこで、カレーを作る場合も「野菜と肉が柔らかくなるまで煮込む(圧力)」「ルーを入れてさらに煮込む(非圧力)」と2段階の調理工程が必要になります。しかし、ホットクックなら最初からルーを入れた状態で調理ができるのです。
調理中でもフタを開けられるのも、圧力がないからこその便利さ。圧力鍋は一度圧力をかけたら、減圧が終わるまでフタが開きません。このため「具材を入れ忘れたから急いで追加したい」「煮込み具合をチェックしたい」といったことが気軽にできないのです。
たとえば、筆者は今回まぜナビメニューにある「具だくさん味噌汁」を作ったときに味噌を入れ忘れてしまったのですが、ホットクックなら加熱途中でも好きなタイミングでフタをあけて味噌を投入できます。ある意味、普段使っているコンロに近い使い方ができる自動調理鍋といえそうです。
また、自動調理鍋は肉や魚などの腐りやすい食材を扱うため、予約調理ができない製品も多くあります。そんななか、KN-MN16Hは予約待機中も絶妙に温度を調整することで最大15時間までの予約が可能です。
正直な感想をいえば、予算と置き場所に困らないならかき混ぜ機能搭載の既存のホットクックが絶対に便利です。ただ、かき混ぜ機能がない新製品KN-MN16Hも、美味しさや使いやすさの点では「ホットクックらしい製品」だと感じました。
「予算は抑えたいけれど、ホットクックを使ってみたい」「今使っているホットクックが便利だから、2台目が欲しい」という人は一度チェックしてほしい製品だと思います。
倉本春 くらもとはる 生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ。 この著者の記事一覧はこちら
11/11 13:00
マイナビニュース