ファーウェイが健康とフィットネス技術の新ブランド「TruSense」をグローバル発表。これからのスマートウォッチはどう変わる?

ファーウェイは2024年8月28日、中国の東莞(ドンガン)で、新しい健康とフィットネス技術ブランドである「HUAWEI TruSense」システムの発表会を開催。この新たなシステムについて説明すると共に、HUAWEI TruSense を搭載した最初の製品が、グローバルで今秋発売予定であることを発表しました。

この発表会には日本を含む、世界各国の多くのメディアが出席。筆者もファーウェイ・ジャパンによるメディアツアーに参加し、発表会の内容を聴いてきました。

取材協力:ファーウェイ・ジャパン
○ファーウェイのウェアラブルデバイスの進化

ファーウェイがウェアラブル分野に参入して11年。中国市場では5年連続でシェア1位を誇り、グローバル市場でも2024年第1四半期に手首装着型ウェアラブルデバイスの出荷台数で世界1位(IDCのデータによる)という成果を残しています。ウェアラブル製品の出荷台数は現在までに累計1億5,000万台以上。「Huawei Health」アプリの登録ユーザー数も5億2,000万人以上に上ります。

製品についても、水深約100mのダイビングに対応した「HUAWEI WATCH Ultimate」シリーズを始め、eSIMに対応した「HUAWEI WATCH 4」シリーズ、血圧計の機能を備える「HUAWEI WATCH D」など、多様化するニーズに合わせたバリエーション豊かな製品を発表してきました。

バイタルサインや運動機能のモニタリングにおいて、現在では24時間のモニタリングが可能。血中酸素レベル測定や心拍数モニタリング機能の「HUAWEI TruSeen」、睡眠モニタリング機能の「HUAWEI TruSleep」、ランニング能力の向上をサポートする「HUAWEI TruSports」など、それぞれの計測アルゴリズムの技術革新を行ってきました。

このような個々のモニタリング機能をすべて統合した多次元センシングシステムとして今回、発表されたのがHUAWEI TruSenseシステムです。このシステムでは 血圧、血中酸素、心拍数、呼吸、体温、ストレスといったバイタルサインや運動機能など、測定項目を60以上に拡大。長期間、継続的にモニタリングすることで、ユーザーが健康的な身体と精神で、豊かな暮らしを得られることを目指します。

発表会に登壇したリコ・ジャン(Rico Zhang)氏は、「このHUAWEI TruSenseシステムはスポーツ&健康モニタリング分野におけるファーウェイの大きなブレークスルーとなります。私たちはこの革新的な技術を通じて人間の身体をモニタリングすることで、ユーザーがアクティブなライフスタイルをおくれるよう、より科学的にサポートしていきたい」と語りました。

○HUAWEI TruSenseシステムの6つの特徴

HUAWEI TruSenseシステムは、正確性、全面性、速さ、柔軟性、オープン性、拡張性という6つの特徴を備えます。

まず「正確性」においては、運動中にデバイスが動いてしまったり、肌の色の違い、腕の細さ、天気や標高の変化などがモニタリングに与える影響を克服。その課題を解決するために、センサー部分のハードウェアの改善を行いました。

その1つがウルトラセンシングモジュールの設計です。モジュールの光源を発する分布範囲を広げて均一化することで、モニタリングレベルをより高めることができました。

2つ目が、光源を多次元アルゴリズムモデルと組み合わせることで、測定結果の正確さを15% 以上向上。そして3つ目が超不透明ガラスの採用で、送信と受信の信号を不透明ガラスで効果的に分離することで、信号の品質を 20% 以上向上しています。

「この新しいモジュールを通して、私たちのモニタリング技術は業界をリードできるレベルに達しています」とリコ・ジャン氏。日常生活の血中酸素モニタリングにおいて、その誤差を2%以下に抑えることが可能になりました。

「全面性」では、全方位からのバイタルサインをモニタリングすることができ、健康システムを全面的にカバーしています。10分ごとにデータを採取し、このデータに基づいて人間の身体の今の状態やストレス値を感知することができます。

「速さ」については、複数のセンサーや複数のアルゴリズム、独自のOSなどにより、データ処理の時間を大幅に短縮。60秒でミニ健康診断を実施することができます。また「柔軟性」では、光学、電極などのプラットフォームの能力を融合させ、柔軟に組み合わせることで、睡眠、スポーツ、ヘルスケアなど複数の利用シーンに活用できます。

また「オープン性」では、301の病院の提携パートナーと共に、心臓健康研究を行っています。6年に渡って研究を行い、心臓疾患のひとつである心房細動の検査の研究、リスク、危険因子の研究などを実施。さらに150以上の研究機関と連携するなど、トータルで250の健康研究プロジェクトを実施しています。

そして「拡張性」では、センサー、シミュレーション、検査方法、理論などを常に進化させ続け、これに伴って「HUAWEI TruSenseの能力もどんどん拡張して成長していきたい」とリコ・ジャン氏は言います。

最後に、「HUAWEI TruSenseは人類のために新たに開発したシステムです。パワフルなモジュールで、人類の身体の未知の領域をどんどん探索していきたいと思います」と締め括りました。
○医療業界からも期待されるHUAWEI TruSenseシステム

発表会には、各医療業界のゲストも登壇しました。まず血圧技術の業界の権威である瑞金医院教授の王継光氏は、グローバルで一番患者数の多い高血圧について説明。高血圧は成人の1/3に影響を与えるものの、約半数の患者さんが高血圧であることを自覚していないそうです。深刻な状況になると急に目が見えなくなったり、脳卒中や突然死に至る可能性もあることから、ウェアラブルデバイスによる継続的な血圧測定が有効だと言います。

メンタルヘルスの研究を行う浙江大学公共衛生学部教授の徐欣氏は、慢性疾患の早期発見における、健康管理ソリューションの必要性について語りました。鬱や焦りなどの症状はメンタルヘルスの一番の問題となるため、早期予防を実現するためにもウェアラブルデバイスによる健康管理が重要であることを説明しました。

そして最後に登壇したインターライブ連合主席のルイス・サディンハ教授は、HUAWEI TruSenseシステムの開発をサポートした人物でもあります。

インターライブは世界大学学術ランキングトップ20など、多数の教授がメンバーとなっている組織。ここでは身体活動、フィットネス、ウェアラブル技術とアルゴリズムの開発、運動力学、生物科学などについて研究を行っています。これらの研究成果から、今回の製品開発をサポート。「これからもファーウェイとの連携を深め、モニタリングの精度や精確性、信頼性を高めていきたい」と語りました。

さまざまな医療業界からも期待されるHUAWEI TruSenseシステム。このシステムが搭載された新しいウェアラブルデバイスが、グローバルで今秋リリースされることも発表されました。日本での発売についても心待ちにしたいと思います。

綿谷禎子 わたたにさちこ 情報誌の編集部から編集プロダクションを経てフリーランスのライターに。現在は小学館発行のビジネス情報誌「DIME」を中心に、企業のオウンドメディアや情報サイトなどで幅広く執筆。生活情報サイト「All About」のガイドも務める。自称、キャッシュレスクイーン。スマホ決済や電子マネー、クレジットカード、ポイント、通信費節約などのジャンルのほか、趣味の文具や手帳の記事も手がける。 この著者の記事一覧はこちら

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