「motorola edge30 PRO」レビュー - 8万円台でSnapdragon 8 Gen 1搭載の実力派

モトローラ・モビリティ・ジャパンのSIMフリースマートフォン「motorola edge30 PRO」が6月3日に発売されます。国内では久しぶりのハイエンドモデルとなる本機種を、発売前にお借りして早速試してみました。

モトローラのハイエンドスマホが久しぶりに日本上陸

motorola edge30 PROは、まだ国内では数機種しか発売されていないクアルコムの高性能チップ「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載するハイエンドスマートフォンです。

海外では2020年に発売された「motorola edge+」、2021年の「motorola edge20 PRO」に続くedgeシリーズとしては3世代目のハイエンドモデルとなりますが、日本市場では初代edgeシリーズは投入されず、2世代目のedge20シリーズはミドルレンジの「motorola edge20」までのラインアップでした。

ミドルレンジ相当の端末に準ハイエンドSoC(Snapdragon 870)を搭載した「moto g100」という例外を除くと、日本でモトローラのハイエンドモデルが手に入るのは、2016年の「Moto Z」以来、実に6年ぶりということになります。
200g近い重さを感じさせないボディ

筆者自身、モトローラのスマートフォンを好んで選んでいた時期があり、motorola edge30 PRO日本発売の第一報を聞いた時には、ようやくハイエンドモデルが日本に戻ってくるのかと心躍らせました。

一方で、普段は片手で扱いやすいサイズのスマートフォンを愛用しているため、大きさW75.95×H163.06×D8.79mm、重さ約196gと大柄なことにはやや不安もあったのですが、実物を手にしてみると印象が一転。思いのほか扱いやすく感じました。

画面サイズ6.7インチ、本体幅75.95mmと大きめのスマートフォンであることは確かですが、フラットな画面に向かって側面・背面が丸まったかまぼこ型の断面になっています。持ちやすい形状のおかげで数値から想像するよりも大きさや重さを感じさせず、手になじむ印象です。

ボディカラーは「コスモブルー」1色。見る角度や光の当て方によって青~緑に色合いが変化する派手めのカラーかと思いきや、手触りの良いマット加工が施された背面ガラスの奥からぼんやりとグラデーションが見え、落ち着いたミステリアスな雰囲気に仕上がっています。

最新のハイエンドモデルらしい不満のない動作

motorola edge30 PROの主な仕様は下記のとおり。8GB/128GBモデルと12GB/256GBモデルがあり、試用機は8GB/128GBモデルでした。

OS:Android 12

SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1

メモリ:8GB/12GB(LPDDR5)

ストレージ:128GB/256GB(UFS 3.1)

ディスプレイ:約6.7インチ 有機EL 2,400×1,080ドット(フルHD+)

アウトカメラ:約5,000万画素 F1.8(広角)+約5,000万画素 F2.2(超広角/マクロ)+約200万画素 F2.4(深度)

インカメラ:約6,000万画素 F2.2

バッテリー:4,800mAh

充電:有線68W、無線15W

対応バンド:5G n1/n3/n5/n7/n8/n20/n28/n38/n40/n41/n66/n77/n78、LTE 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28/32/38/39/40/41/42/43/48/66、W-CDMA 1/2/4/5/8、GSM 850/900/1,800/1,900

SIMカード:nano SIM×2(DSDV対応)

Wi-Fi:IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax、Wi-Fi 6E

Bluetooth:バージョン5.2

外部端子:USB Type-C(USB 3.1)

防水/防塵:IPX2/IP5X

生体認証:指紋認証/顔認証

その他機能:NFC対応

サイズ:約163.06(H)×75.95(W)×8.79(D)mm

重量:約196g

カラー:コスモブルー

価格:86,800円(8GB/128GBモデル)、89,800円(12GB/256GB)

冒頭でも触れたように、motorola edge30 PROはSnapdragon 8 Gen 1を搭載しています。5月20日に「Snapdragon 8+ Gen 1」という新型SoCも発表されましたが、チップ製造元の変更(サムスン→TSMC)および約10%の高速化という程度の違いに留まっているため、マイナーチェンジ前のSnapdragon 8 Gen 1も未だトップクラスの物であることには変わりありません。

日本国内で発売済のSnapdragon 8 Gen 1搭載機としては、Galaxy S22シリーズやゲーミングスマートフォンのREDMAGIC 7がありますが、8万円台で購入できるmotorola edge30 PROは最も安価に買える最新世代の高性能Androidスマートフォンとなっています。

発表当初は12GB/256GBモデルのみでしたが、発売直前でさらに安価な8GB/128GBモデルも追加されました。個人的には3,000円の差額であれば後から増やせないメモリやストレージの余裕を取ったほうが長い目で見れば損をしない選択のようにも思いますが、スマートフォンでメモリ8GBと12GBの違いを実感できる場面は重量級のゲームアプリを除けばそう多くありません。メモリ8GBモデルでも非常に快適に使えたことは申し添えておきます。

快適な動作と感じられる理由は、Snapdragon 8 Gen 1の処理速度だけではなく、LPDDR5メモリやUFS 3.1規格の高速ストレージを採用する足回りの良さもありますし、何より直接目にするディスプレイの高速化の効果も大きいところです。

通常の60Hz駆動ではなく、90Hz、120Hzとフレームレートを上げることで画面スクロールなどの動きを滑らかにするアプローチは、ミドルレンジ以上の機種ではすっかり当たり前のものになりました。motorola edge30 PROの場合は最大144Hzまで対応しており、これはゲーミング製品を除く通常のスマートフォンとしては異例の高フレームレートです。

68W急速充電やSnapdragon Soundに対応、実はあの「Think」の影も……?

スマートフォンの高性能化が十分に進み、ゲーム用途を除けばミドルレンジでもストレスなく使える機種を選ぶことが難しくない今となっては、あえて10万円クラスのハイエンドモデルを選ぶにはただ速くて快適に使えるというだけではなく、最新技術を体験できる喜びや新鮮さ、付加価値も重要だと思います。
motorola edge30 PROの機能で特に驚いたものは、最大68WというノートPC用充電器並みの出力で行われる急速充電です。4,800mAhと大きめのバッテリーを搭載していながら15分で50%ほどまで充電できるため、もし夜に充電を忘れてしまっても、朝出かける前に十分なバッテリー残量を確保できます。

最大15Wのワイヤレス充電、そしてスマートフォンから他のQi対応機器へのパワーシェア(5W)にも対応しており、完全ワイヤレスイヤホンなどを出先でいつでも充電できます。

ディスプレイやオーディオ性能にも抜かりはありません。6.7インチフルHD+の有機ELディスプレイは、10億色表現やHDR10+にも対応。ステレオスピーカーは前面への対称配置ではなく、片側は底面、反対側は受話口兼用となるタイプではありますが、Dolby Atmosにより音楽再生や動画視聴などのシーンに合わせて音質を調整できます。

オーディオに関心のある方におすすめできるポイントとしては、より良いワイヤレスオーディオ体験を実現する「Snapdragon Sound」に対応しています。Snapdragon Soundとは、aptX Adaptiveコーデックの96kHz/24bit化、遅延やペアリングの改善などを含むパッケージ。正式対応をうたうスマートフォンはまだ少なく、貴重な選択肢といえます。

あまりアピールされていない機能ですが、「ThinkShield for Mobile」も興味深いところ。

起動画面に見慣れた「Think」のロゴを発見したので気になって調べてみたら、2021年後半に一部の海外モデルから使われ始めた名称で、ビジネス利用も想定したレベルのセキュリティ機能を搭載している機種の証でした。同じレノボグループのビジネスPCブランドであるThinkPad並みの水準でセキュリティ向上にも取り組んでいるということです。

ThinkShieldを名乗るセキュリティアプリや設定項目があるわけではないので、この存在に気付けるのは起動時の一瞬だけ。ThinkPadブランドの歴史や価値を知る人なら、思わずニヤリとしてしまう瞬間です。

PCつながりでは、「Ready For」という機能に注目。モトローラのスマートフォンの中でもハイスペックな機種だけに搭載されている機能です。外部ディスプレイを使ったデスクトップモードが目玉ですが、Windows PCとの連携機能(Ready For PC)も含まれています。PC上でスマートフォンのアプリをミラーリング表示して操作でき、PC作業中の“ながら見”やスマートフォンでは対応しにくい長文メールの返信など、ハイブリッドな使い方ができます。

広角も超広角も5,000万画素! カメラ性能に迫る

アウトカメラは広角と超広角の両方に約5,000万画素のセンサーを搭載する少々珍しい構成。センサーサイズはそれぞれ異なり、メインの広角カメラのみ1/1.5インチの大型センサーとなっています。超広角カメラはマクロ撮影と兼用。インカメラにも約6,000万画素の高画素センサーを採用しました。

実際に撮影してみると、高速でシャッターチャンスを逃しにくい全方位型PDAFや光学式手ぶれ補正の恩恵もあり、メインカメラは特に安定して撮りやすい印象。超広角カメラは同じ5,000万画素とはいえセンサーサイズの違いもあり、精細さではメインカメラに一歩劣るようですが、超広角特有の歪みを無理に補正していないため、ダイナミックな写真が撮れる楽しさはあります。

望遠専用のカメラは搭載されていませんが、高画素と大きめのセンサーサイズゆえのトリミング耐性、そして手ぶれ補正のおかげで、3倍程度までのデジタルズームをかけても十分きれいに撮れます。

シンプルなハイエンドスマホを求める人におすすめ

モトローラのスマートフォンはUI(ユーザーインターフェース)の独自カスタマイズが比較的控えめで、それはハイエンドモデルであっても変わりません。便利なジェスチャー操作などの独自機能も追加しながら一歩引いた見せ方をしていて、いわゆる素のAndroidに近いものを好むシンプル派のユーザーでも押しつけがましく感じない仕様となっているところは美点といえます。

また、昨今のハイエンド/フラグシップ級のスマートフォンは高性能カメラやペン対応、あるいはフォルダブルディスプレイといった飛び道具で差別化を図る機種が多く、高額化しがちです。スマートフォンの域を超えた極端な機能を求めず、ただ快適に使えるハイスペックなスマートフォンが欲しい人にとって、8万円台で現行のAndroidスマートフォンではトップクラスの基本性能が手に入るmotorola edge30 PROは有力な購入候補になるでしょう。

欲を言えば、おサイフケータイ対応や防水などの日本市場特有のニーズも汲んでくれると、より多くの人に刺さる製品になったのかもしれません。同時発売となるミドルレンジ機のmoto g52j 5GはIP68相当の防塵/防水性能に加えて、同社のスマートフォンとしては「RAZR M 201M」以来9年半ぶりとなるFeliCa/おサイフケータイにも対応しています。ローカライズに本腰を入れる姿勢が見え始めただけに、次回作にもますます期待したいところです。

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