G-SHOCKスマートウオッチ「G-SMART」は来期? カシオ決算発表から

カシオ計算機は5月22日、2020年3月期の決算発表をインターネットビデオ会議システムによるライブ配信にて開催。コロナウイルスによる影響をはじめ、時計や教育関数などの収益拡大事業やその他収益改善事業の今後など、アフターコロナの世界を見据えた戦略についても説明した。
○時計事業の現況

カシオ計算機の3月期の連結決算概況は、通期実績で売上高2,808億円(対前年比94%)、営業利益は291億円(対前年比96%)で、経常利益は285億円(対前年比95%)となった。減収はやはり4Q(第4四半期)における新型コロナウイルスの影響が大きく、大きな柱である時計事業も、同じ4Qでも前年に比べて売上高は▲116億円。対2020年3Qに比べると▲135億円となった。

登壇したカシオ計算機 執行役員 経営統轄部長(兼)IR担当 田村誠治氏によれば、2020年1月までは中国市場で好調だったG-SHOCKが時計事業全体を押し上げたが、2月以降はコロナウイルス防疫による外出規制、店舗休業などに影響を受けたとのこと。百貨店が大きな販売チャネルとなっているOCEANUSは、特にそれが顕著だったようだ。

ただし、メタルケースを採用したG-SHOCKの「Gメタル」シリーズは、コロナウイルスの影響がありながらも善戦。4Qは対前年増収+2%を確保したという。

なお、今期発売が予定されていたG-SHOCKのスマートウオッチ「G-SMART」は、発売のスケジュールを再検討しているという。

田村氏「G-SMARTは現在、アシックスさんと協業を進めておりまして、本来であれば2020年10月ごろの発売予定でした。が、東京オリンピック/パラリンピック開催時期の延長に伴いまして、来期の発売とすることを考えております。まだ先がはっきりと見えない以上、現時点ではあくまで調整中という状況です」

田村氏の言葉からもわかるように、カシオはG-SMARTの用途としてスポーツを大きな柱とするようだ。今回のプレゼンでも「G-SHOCKが実現してきた時計に情緒的な価値を提供する時計事業と、人の健康的な生活創造という機能価値を提供するスポーツ健康事業が合わさり、カシオらしい固有のブランドとして選ばれる存在になる」という一節があった。

ファッションやアート、スポーツのカルチャーとして、時計に価値を付加した「G-SHOCK」に、人体の情報「バイタルデータ」を取得する機能を与えることで、人々の健康的な生活を実現するという機能的価値を提供するという。振り返ってみれば、2020年春夏の新製品として登場した「G-SQUAD」シリーズは、その序章ともいえる存在なのだろう。

アシックスとの協業についても、カシオは「ウェアラブルEXPO」で共同出展(2020年2月12日~14日)を行っている。アシックスと共同開発中のランニング解析用モーションセンサーと、フォームの可視化や最適なトレーニング法を提案するアプリを初披露、来場者からも「自分のフォームをアプリ上で確認できたり、点数化できるのは面白い」と、高い評価を得たという。

また、アシックス提携のランニングイベントではすでに価値検証を実施。定員40名に対して3倍以上の申し込みがあり、参加目的として「センサーを用いたフォーム分析」を挙げる人が半数以上いたという。これらのテクノロジーがG-SMARTに搭載される可能性は極めて高い。

○時計以外の事業領域は?

その他の事業では、楽器事業に注目。「Slim&Smart」(具体例としては電子ピアノ「Privia」)が好調で、通期で増収増益となった。

○アフターコロナの世界を見据えた戦略

なお、カシオは2013年65期末(2021年3月末)まではコロナの影響が残ると仮定。「アフターコロナでは世界中の市場環境が一変する」と田村氏は語る。そのうえで、以下のポイントを掲げた。

アフターコロナの一変した社会環境に対応した持続可能な会社に
商品・事業構造・ビジネスモデルなどすべてを組みなおし、新たなカシオとして懸念事項がひとつもない状態でスタート
成長拡大事業(時計、教育関数)は、強みを生かしてさらにパワーアップ
収益改善事業は、抜本的な構造改革を断行して正常化
新規事業は、Only1の新規事業を成功の確度を高めて速やかに立ち上げる
65期(2021年3月期)の業績予想は、現段階において新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与える影響を合理的に算定することが困難なことから未定とする(今後、業績への影響を慎重に見極め、合理的な業績予想の算定が可能となった時点で速やかに公表)

時計事業は、コロナ下でも影響の少なかったG-SHOCKを中心に、ラインナップを強化(4Qでも対前年93%のG-SHOCKは売り上げ安定を期待)。一方、G-SHOCK以外は販売実績のあるモデル(EDIFICEなど)へと生産を絞るという。また、ユーザーコミュニケーションや流通も改革。大型展示会への出展や「SHOCK THE WORLD」のようなイベントよりも、SNSを中心としたデジタルコミュニケーションを重視する。自社ECサイトも充実させ、利用数の向上を狙う。

海外戦略としては、依然として大きな中国市場の伸びしろに期待、上期は対前年130%の販売を見込んでいるとのことだ。

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