テクノロジーは「自然」に至る。「FUTURE NATURE」を通してみるテックの未来

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

テックを通して自然が見えてくる。

エルメスなどの世界的ブランドや、山下達郎~宇多田ヒカルら著名ミュージシャンとの仕事でも知られる、アーティスト/アートディレクターYOSHIROTTEN。彼の個展「特別企画展 ヨシロットン展 FUTURE NATURE Ⅱ in Kagoshima」(12月8日まで開催中)には、テックと人間、そして自然の新たな関係の予感がこれでもかと盛り込まれていました。

その中心にあるのは「見えないものを可視化する」というYOSHIROTTEN氏の作家性とも言える創作テーマです。

テックを使い、人間が感知できない「自然」を視る

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

例えばこの「tranthrow」という作品。

「太陽とのコラボレーション作品を目指した」と作家本人が語るように、そのモチーフは太陽光なのですが、決して「雰囲気でそれっぽいグラフィックを描いた」わけではありません。

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

ミュージシャンが自然の音をフィールドレコーディングするように、YOSHIROTTEN氏は可視光線だけでなく、赤外線、紫外線の値をグラフ化できるセンサーを作成し、そのセンサーとMacを片手に、展示美術館「霧島アートの森」が位置する鹿児島県霧島市の様々な場所で光を計測して回ったのです。

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

場所はもちろん、天気や時間によっても変化する光。 トリプティック(※)の映像作品《宙の窓 - 霧島百景 -》(この記事のメイン写真となる作品)にはバンドスキャナーを使い、各所の岩肌や地面、草木などをスキャニングし素材にしたそうです。

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

そのグラフをトリミングし、加工を施してグラフィックアート作品へと仕上げたのが、この「tranthrow」というわけです。

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Photo: Kenta Terunuma

左から「大浪池への道」、「硫黄谷噴気地帯公園の雲」、「丸尾自然探勝路と湯気」、「夏の御手洗川」、「青い千里ヶ滝」。

こうして見ると、肉眼では確認できない波長も含めたその場所の光のイメージが掴めるような気がしませんか? そして自然世界の美しい造形がデータを介しても現れてくることを発見することができます。

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

他にも「特別企画展 ヨシロットン展 FUTURE NATURE Ⅱ in Kagoshima」には、展示会場そのものの光をインスタレーション化した作品「メンヒル」など、その瞬間にしか見られない光景が作られる工夫が。

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

透過した天井が外の光を取り込むという美術館そのものを活かし、さらにそこに照明を設置したのも作品の一つ。

美術館というホワイトキューブの中にいながら、会場内、そして会場外の霧島という土地の光がそれぞれ影響しあう

展示会場全体が一つの大きな作品となっているのも、本展の大きな特徴となっています。

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

まさしく、テックを使うことで、霧島の自然がさらに新しい角度から視えてくる「FUTURE NATURE」

爬虫類や鳥類は紫外線を見ることができると言われていますが、今後Apple Vision Proのようなデバイスがさらに進化したら、私たち人間もこれまで見ることのできなかった自然の姿を、よりダイナミックに体験できるようになるかもしれない。

そう思わされます。

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Photo: Kazuki Miyamae ©︎YAR

そんなテックの未来を感じられるこの試みは、ぜひギズ読者にこそ体験して見てもらいたいと思いました。

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Photo: Kenta Terunuma

そんな会場中を歩き回って、自分なりの立ち位置や角度を見つけ、自分の瞳で大胆に切り取って「見る」。

それもまた本展の楽しみ方の一つかもしれません。

実はギズとFUZEは本展にとある人物と訪問し、取材を行いました。そのスペシャルな記事は後日公開予定。ぜひお楽しみにしてください。

Source : 特別企画展 ヨシロットン展「FUTURE NATURE II In Kagoshima」

※トリプティック:三連からなる絵画または浮彫り。両翼は蝶番(ちょうつがい)によって中央の部分に重ねることができる。中世、西欧において祭壇画として制作された。

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