毎秒100京回の演算ができる最強スパコン。目的は核開発支援
桁が違いすぎて想像もつかんのです。
毎秒174京2000億回の浮動小数点演算能力(1.742エクサフロップ。1エクサは100京)を持つ世界最強のスーパーコンピューター爆誕。1万1000の演算ノードと5.4375ペタバイト(※)のメモリを搭載するモンスターの役割は、核兵器の開発支援なのだとか。
(※)1ペタバイトは1,000テラバイト。1テラバイトは1,000ギガバイト。
世界3台目の最強エクサスケールスパコン
11月18日にローレンス・リバモア国立研究所が発表した最新のスパコン「El Capitan(エル・キャピタン)」は、ベンチマークによってコンピューターの性能をランキングするTOP500で1位になりました。El Capitanは、毎秒100京回の浮動小数点演算ができる「エクサスケール」に到達した3台目のスーパーコンピュータになります。
このシステムは、ローレンス・リバモア国立研究所がHewlett Packard Enterprise(HPE)やAMDと協力して、アメリカ国家核安全保障庁(NNSA)のために開発しました。El Capitanは核兵器のモデル化とシミュレーションに使用されます。そうすることで、実際に核兵器を爆発させて実験しなくても済むとのこと。
ローレンス・リバモア国立研究所の所長であるキム・バジル氏は、声明で次のように述べています。
この途方もない成果は、大規模な共同チームの何百人もの献身的なスタッフによるたゆまぬ努力の賜物であり、科学的な発見を牽引する当研究所のリーダーシップを証明するものです。
El Capitanは、70年以上続くスーパーコンピューターの卓越した伝統を受け継いでおり、その驚異的な計算能力によって、今まで手が届かなかった複雑な課題に取り組めるようになります。
我々は、産業界とのパートナーシップでこの偉業をリードできること、そして社会と国家全体に利益をもたらす形で科学を進歩させることに誇りを感じます。
処理能力は旧バージョンの20倍以上
El Capitanは、NNSAの旧バージョンである「Sierra(シエラ)」と比較して20倍以上の処理能力があるといいます。Sierraだったら数カ月かかっていたはずの高解像度の3Dシミュレーションを、数時間から数日で実行できるそうです。処理能力は最大で2.79エクサフロップ(毎秒279京回の浮動小数点演算)に達する可能性もあるとのこと。
これまで最強スパコンだったオークリッジ国立研究所のFrontier(フロンティア)の演算能力は、1.353エクサフロップ(毎秒135京3000億回の浮動小数点演算が可能)でした。3番目に強力なスパコンになった、イリノイ州のArgonne Leadership Computing FacilityにあるAurora(オーロラ)は、1.012エクサフロップの演算能力を持っています。いずれもメーカーはHPEです。
El Capitanの消費電力1Wあたりの処理能力は58.89ギガフロップで、2022年に導入されたFrontierの62.68ギガフロップよりもエネルギー効率で劣りますが、Auroraの26.15ギガフロップよりも効率的です。
HPの高性能コンピューティング担当役員であるトリッシュ・ダムクローガー氏は、声明で次のように述べています。
El Capitanは、エクサスケール・スーパーコンピューター分野が新たな節目を迎えたことを示しています。画期的なパフォーマンスとエネルギー効率、AI主導によって科学的発見を加速させることで国家安全保障を強化し、再生可能エネルギーに新たな機会を切り開くための驚異的なブレークスルーをもたらします。
庶民の訳者は、El Capitanが消費する1カ月あたりの電力と電気代が気になります。
11/22 18:00
GIZMODO