iPad一強を崩すつもりか。Googleで「タブレット市場をひっくり返すプロジェクト」

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Image: Farknot Architect / Shutterstock.com

GoogleはAndroidとChromeOSという2つのOS(オペレーティング・システム、iOSやWindows 11などの「デバイスを動かす基幹ソフト」のこと)をそれぞれ開発しており、スマートフォン市場とノートPC市場でそれぞれ地位を築いています。ですが、タブレット市場を見渡すとどうでしょう。あたり一面、AppleのiPadが埋め尽くしています。Googleはタブレット市場で現在苦境に立たされています。

そこで次なる一手としてChromeOSをAndroidに転換する計画が水面下で計画されているとAndroid Authority が報じています。この計画を実行してあたり一面Appleに埋め尽くされたタブレット市場をひっくり返そうとGoogleが考えているらしいのです。

AndroidとChromeOS、2つのGoogle製OS

Androidはスマートフォンを筆頭として、タブレット、スマートウォッチ、テレビ、自動車、さらにはXRグラスとさまざまなガジェットに搭載されているのに対して、ひっそりと活動しているChromeOSは主にノートパソコンに入れられています。

Googleが展開している2つのOSは利用範囲が異なり、それぞれ得意とする状況も異なっています。

コンテンツを楽しむときの使いやすさは、Androidに分があるでしょう。一方、仕事の効率を重視するのであれば使いやすいのはChromeOSになってくるのではないでしょうか。これまでGoogleはこの両者が補完しあうように機能追加を行なってきました。

ですが、それだけではみなさんご存知の通りタブレット市場の様相は変わりませんでした。

これまでもAndroidとChromeOS統合の噂はあった

過去には、AndroidとChromeOSが統合するかもという噂もあったようですが、 それは否定されましたし、現在まで登場していません。

そして、今回リークされた内容もこの2つのOSの合体ではなく、AndroidにChromeOSが吸収されるという形になるようなんです。これを踏まえてか、次期ChromebookはAndroidを搭載されるなんて噂も出てきています(それはもはやAndroidbookでは)。関連して数年前に発売されたPixelbookの後継として新たにPixel Laptopが開発中との噂デスクトップ向けのAndroidが搭載される噂もあります。

これらの噂やリークがつなげて考えてみると、どうもデスクトップ版Androidの開発が改めて水面化で動いているのでは…?という予想ができてしまいます。

OS統合のために越えなければならない壁がたくさんある

今までAndroidの弱点だった仕事用の作業効率性、そしてよりコンテンツを楽しみやすいChromeOSがどういうものかを考えてみると、まずはデスクトップのウィンドウ切り替え・キーボード&マウスのサポート・外部モニタや複数ディプレイ対応など多くのことを機能として盛り込む必要があります。これらの総合力を底上げしないとどちらの実戦に持ち込むにも頼りない端末となってしまいます。それではこれまでの二の舞です。

こういった機能の開発をGoogle内部プロジェクト「Android-on-laptop」が担っている考えられています。

お互いを食い合うサービス展開で市場に食らいつけるか

Googleといえば同じ機能を持つサービスを同時に提供した上で、社内で競争させどちらかをサービス終了するでお馴染みのやり方があります。これまでも、

Google Talk と Google Hangouts Google Talkは2017年に終了し、機能はGoogle Hangoutsに統合

Google Hangouts と Google Chat Hangoutsの機能をGoogle ChatとGoogle Meetに分割し、Hangoutsは2022年に終了

Google Play Music と YouTube Music Google Play Musicは2020年に終了し、YouTube Musicに統合

リリースと競争・統合を繰り返してきたGoogleのお家芸を考えてみると、Chrome OSとAndroidを両展開(現状)→発展的に吸収・合体→どちらかは終了するという流れは、Googleっぽいやり方に則しているような気もしてきます。

AppleはiPadでタブレット市場を支配しつつも、PCライクな使い方でMacの売り上げが減らない(MacのPC市場を大きく奪わない)程度に、ユーザーが欲しがる絶妙なラインを提供しているのに対し、Googleが大胆にタブレットやChromebookをAndroidに統合してPCとして仕事で使え、コンテンツ閲覧にも十分に使い勝手のいい端末を出してくれたとしたらどうでしょう。かなりアリじゃありませんか?

GoogleのOSは他OSでもユーザーの多いGoogleドライブがOSに統合されています。必然的に移行もスムーズにできるので、かなり競争力の高いタブレット/モバイルノートPCが誕生する可能性があります。Appleが席巻する市場にGoogleが一石を投じられるのか、はたまたMicrosoftが牙城を崩しにくるのか。

いずれにしてもタブレット・PC市場は今後数年でますます面白くなりそうです。

Source: Android Authority, Killed by Google

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