インテリア照明が超強力な暗号を生む? 予想不可能な動きが肝に
インターネットで使用される最も強力な暗号は、おしゃれなインテリア照明「ラバライト」の動きによって生み出されているという。
『IFL Science』『Atlas Obscura』などの海外メディアが報じた。
ネット全域の10%をカバー
「インターネットの一部がラバライトによって暗号化されている」というのは新手の陰謀論などではなく、実際にインターネットセキュリティ会社「CloudFlare」が自社で行っている取り組みの一つだ。
同社は「強力な暗号化には予想不能で混沌としたデータの生成が必要で、物理世界の出来事の多くは予測不可能なため、『現実世界』が最も優れたランダム性のソースであることが判明しました」と述べた。
そして、ラバライトを使用してインターネットの最大10%を暗号化することが可能だと、サイト上で説明している。
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予測できない動きが重要
ラバライトは、ラバランプまたは溶岩ランプなどとも呼ばれ、1960年にイギリスで発明されて以来、国内でもインテリア照明として家具店や雑貨店でさまざまな種類のものが販売されている。
Lava(溶岩)という名前の通り火山の溶岩をイメージしており、容器の中に封入された水とワックスが照明の熱で対流を起こし、その動きを鑑賞して楽しむというものだ。
この時の予想不可能な動きが、データの暗号化の際に必要なランダム性を生み出しているのだという。
7京個の暗号化キーも…
暗号化の歴史は古く、最初に記録された暗号は紀元前400年前とも言われている。時は進み、現代のコンピュータが用いる暗号には、72,057,594,037,927,936個の可能性を持つ56ビットの暗号化キーが存在している。
これを解くのはほとんど不可能そうだが、セキュリティ専門家がコンピュータを使用してブルートフォース(総当り)を行ったところ、たったの56時間で解読されてしまったそうだ。
そのためセキュリティ専門家は、コンピュータがランダム性を導入することが苦手なことを指摘し、解読されないためには128ビット以上のキーを使用することを推奨しているという。
ラバライトの壁が設置
CloudFlareのサンフランシスコ本社の壁にはさまざまな色の100個以上のラバライトが設置してあり、ライトに向けられたカメラがその様子を撮影し、画像のピクセルの色から暗号化キーを作成しているという。
また同社は「ラバライトの動きは一貫してランダムで、同じ形を二度取ることはありません。そのため、ラバライトのグループを観察することは優れたランダム データの情報源になります」と語っている。
文/Sirabee 編集部・びやじま
Photo: びやじま
11/11 14:35
GIZMODO