10月12日、100年ぶりの大彗星を肉眼で観測するチャンス

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© Juan lacruz via Wikimedia Commons

崩壊するか最大級の彗星として現れるか、その運命は?

9月下旬から11月にかけて、紫金山・アトラス彗星が地球に大接近します。過去100年間、北半球で観測された彗星の中でも北極星に匹敵する最大級の明るさを持つかもしれないと期待大の彗星です。

地球に接近するのは10月12日

2023年1月、中国の紫金山天文台に発見された彗星C/2023 A3(紫金山・アトラス彗星)。その数週間後、南アフリカの小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)望遠鏡もその彗星を観測。それ以来、世界中の科学者とアマチュア天文家が望遠鏡で観察し続けている大注目の彗星ですが、地球に最も接近するのは10月12日。おそらく今年最も明るい彗星となるため、肉眼での観測も可能だと言われています。

9月27日、紫金山・アトラス彗星は太陽に最も接近する軌道上の点「近日点」に到達する予定です。つまり、地球から太陽までの距離の半分以下の位置に彗星が来ることになります。その数週間後、地球に最も近づいてきます。

望遠鏡メーカーのCelestronによると、彗星は近日点に達する際、等級3.4となり、この時地球からも肉眼で見える可能性大です。地球に最も接近する時点ではさらに明るくなり、等級1.9になるかもと言われています。In the Sky等級2.8になると予測しています。

等級は、数字が低いほど明るくなります。どんなイメージかというと例えば、北極星の等級は通常1.98から2.02くらい。そして太陽の等級は-26.74です。この彗星が次回地球に近づくのは約8万年後なので、今回がラストチャンスですね。

観測のポイント

そんな紫金山・アトラス彗星をこの目で見たい!という方へ、いくつかポイントがあります。しっかりと見るには、都会の光から離れて暗い場所へ。目が暗闇に慣れるまでしばらく時間をかけてください。双眼鏡や望遠鏡があれば確実に観測できますが、肉眼で最大限に観察するには、直接彗星を見ないほうがいいそうです。彗星から約20度ほど顔をそらすと、目の最も敏感な部分が彗星から跳ね返る光を捉えることができるんだそう。

場所的には、彗星はおとめ座を通過しているように見えるはずです。Sky Guideなどの星空観察アプリを使えば、星座や彗星自体の位置が特定できます。

紫金山・アトラス彗星は、とても明るい等級ですが、その等級の彗星としてはちょっと変わった動きをしています。SETI研究所によると、アマチュア天文家がおこなってきた観測で彗星が2024年4月と5月に突然暗くなった後、再び明るくなったと報告されたとのこと。SETIによると、この減光は彗星の太陽と地球に対する角度が原因で、太陽の光が地球に反射する量が減少したためかもしれないとのことでした。

太陽に近づいて溶けてしまう可能性?

そしてこの現象にはもう一つの可能性もあります。彗星は主に塵と氷で構成されているので、太陽に近づくにつれて溶けてしまっているという説。その場合は、残念なことに近日点を通過して地球に最も近づく頃には気化してしまい、すべての光が失われ彗星は崩壊しているかもしれません。

というわけで、一旦9月27日に近日点で太陽で溶かされなければ、その後地球に一番接近する10月12日には肉眼で見られる可能性は大なので、願っておきましょう!

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