5万5000年前の人類も魚やウニを食べていた。燃料もつくっていたらしい

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今から5万5000年前の人類は、洞窟で魚やウニを食べていたようです。

インドネシアの西パプアの考古学者たちは、太平洋に人類が到来した最古の証拠と思われる樹脂を発見しました。

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今月初め、ラジャ・アンパット諸島に含まれるワイゲオ島のモロロ洞窟の発掘調査についての研究がAntiquity誌に掲載されました。洞窟内で発見されたのは、石器、動物の骨、炭、樹脂など。とくに樹脂は、この地域に人類が存在した期間を知る上で決定的な要素となりました。

肉も魚も食べていた

「発見された動物の骨のいくつかは、ネズミや小さなコウモリなど小動物のもので、おそらく自然のものでしょう。しかし、その他の陸生鳥類、カンガルーやコアラなどの有袋類、オオコウモリといった大型動物の骨は、人間による捕食の結果である可能性が高いです」と、オックスフォード大学の考古学者で論文の筆頭著者Dylan Gaffney氏はPhys社のリリースにて述べています。

また洞窟内では、肉食魚(古代魚は基本的に肉食)の歯やウニなどの海洋生物の遺骸も見つかりました。かつてここにいた人類が、15キロメートル離れた海岸から魚や貝を持ってきて、洞窟内で食べたのではと考えられています。

樹脂から燃料も作っていた

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Image: Dylan Gaffney

また研究チームが発見した樹脂の破片は、自然につくられた形ではないとのこと。この樹脂は人間が木から樹皮を切り取り、硬化した樹脂を形作ったものであると、The Conversationの記事で説明しています。樹脂の用途は確かではありませんが、火の燃料源だった可能性が高いと推測しています。

さらに、この樹脂が発見された層の放射性炭素年代を測定したところ、約5万5000年前のものということが判明。

人類が太平洋の島をどのように、そしていつ頃移動したかは、いまだ議論の的となっています。古代には、ホモ・エレクトスや小型のホモ・フロレシエンシスなど、他の人類種も島々を渡っていましたとされています(ちなみに、ホモ・フロレシエンシスはホモ・エレクトスの小型化バージョンだと考えている学者も一部いるとのこと)。モロロ洞窟にいたのはホモ・サピエンスである可能性が非常に高いですが、この遺物が、絶滅した謎の古代人類デニソワ人により近い人類の可能性も捨てきれません。

デニソワ人は約5万年前に絶滅していますが、この研究では初期の現代人類がほぼ同時期にワイゲオ島に到着した可能性を示唆しています。この時期、ワイタンタ島(現在のワイゲオ島とバタンタ島に分かれている古代の島)と古大陸サフルの間の距離は、一番狭い部分でわずか2.5 kmの距離だったようです。

人類がいつ、どうやって移動してきたのか

論文には以下のような説明もありました。

ワイタンタ島を最初に訪れたのは、おそらくワラセア島のさらに西に住んでいた人たちだろう。しかし、人類が最初にオーストラリアを経由してサフルに入り、北西に移動し現在のニューギニアのバーズヘッド半島からワイタンタ島に行き着いた可能性も残されている。

また研究チームは、古代人類がラジャ・アンパット諸島を経由してニューギニアに入ったルートもシミュレーションしています。人類の到着の正確な時期と、そこにいたであろう正確な人類のグループを特定するために、諸島内の遺跡をさらに調査する予定とのこと。

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