宇宙人からのメッセージ? 「Wow!シグナル」の謎が解けるかも

wow-signal-1400x932

Image: Big Ear Radio Observatory

宇宙人からの信号?それとも自然現象?

1977年8月15日、オハイオ州にあるビッグイヤー天文台で宇宙から送られてきた非常に強力な電波信号がキャッチされました。謎の信号を受け取った天文学者ジェリー・エーマン博士は、その信号に赤い丸を描き、「Wow!」と書き込んだほどでした。

それ以来、「Wow!シグナル」として知られるようになったこの信号は、その発信源を特定できないまま47年という月日が経っています。しかし、この信号の謎を解明すための新しいプロジェクトが、どうやら解き明かす突破口を見つけたようです。                                                                                                                                    

謎の解明に乗り出した

アレシボWow!(AWOW)」と名付けられたプロジェクトが、プエルトリコのアレシボ天文台のアーカイブデータを使用して、47年前の電波信号は、巨大な水素の雲がとてつもなく明るく輝くという珍しい現象の結果だったのではないかということを裏付ける類似のデータを発見しました。

この研究を主導したプエルトリコ大学の物理学・天体生物学の准教授アベル・メンデス氏は、今年の初めからWow!シグナルに取り組み始めたと認めています。メンデス氏はGizmodoの取材に、「告白しなければならないのは、『Wow!シグナル』は、私も、そして多くの天文学者も、ただの偶然の出来事のようなものとして捉えていたと思います。なので、これまであまり注意を払っていなかったんです」と語っています。

長年にわたり、メンデス氏は恒星と周回する惑星を観測することで宇宙での居住の可能性を研究しています。そんなメンデス氏が今年5月にWow!シグナルの動画を偶然見て以来、夢中になったそうです。

「自分たちのデータの中にこんなものを見つけられたらすごいことだ」って思ったんです。

宇宙人からの発信?

Wow!シグナルがこれほど注目を集めた理由は、その帯域幅が非常に小さく、そして異常に強力な状態の信号が72秒間も続いたからです。このように狭い周波数帯域でありながら、これほど強力でエネルギーというのは、その信号が人工的なものであることを示唆しているのです。

そのためこの信号が宇宙人から送信されたという噂が広がったというわけです。AWOWプロジェクトの研究者たちは、同じような信号が存在するかどうかを調べるため、2017年から2020年までのアレシボ望遠鏡で収集されたデータを調査。その結果、Wow!シグナルの記録ほど強力ではないものの、水素線近くで類似した狭帯域の信号が発見されました。

Wow!信号の類似信号は、銀河内の冷たい水素(HI)の星間雲が原因であることが分かりましたが、Wow!信号よりも2桁も小さい明るさでした。メンデス氏チームは、Wow!シグナルがあれだけ明るかった理由として、マグネターのような一時的な放射線源による突発的な明るさの増加が原因かもしれないと考えているとのこと。マグネターは非常に強力な磁場を持つ中性子星の一種で、水素雲の原子を刺激して突発的な明るさを生じさせることができます。

偶然が重なり合った産物なのか?

メンデス氏はこう述べています。

非常に稀な現象です。

その雲の背後にマグネターが存在し、その雲を刺激するのに十分強い放射線があり、そしてその方向を見ている人がいたという3つが同時に起こるのはどれくらいの確率でしょうか?

メンデス氏チームは、アーカイブデータで見つかった信号の背後にある雲を特定するため、チリの超大型望遠鏡を使用して追加観測を行なう予定だそうです。偶然出会ったWow!シグナルに今は夢中で、その謎を解き明かしたいと決意しているそう。「この数カ月で、これまでの人生で学んだこと以上に『Wow!信号』について学んでいると思います」とメンデス氏は語っています。

ジャンルで探す