核融合研究の鍵を握るのは… マヨネーズ!?

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専門家が専門知識のつまった頭をフル回転させて何年も取り組む難しい研究。一般人からしたら、話を聞いても意味不明。さっぱりわかりません。

でも、その研究でまさか家庭の冷蔵庫にあるアレが活躍しているなんて…。アレ、そうみんな大好きマヨネーズです。

核融合とは?

マヨネーズと核融合がどう関係するのか…。マヨの役割を知る前に、そもそも核融合とはなんぞや?

核融合とは、原子核同士が合体すること。軽い原子核同士が合体し、より重い原子核に変わります。このときに莫大なエネルギーが発生します。太陽がギラギラと輝くのはこの核融合反応によるもの。

地球上では、石油や天然ガスなど炭素系エネルギーに代わる新たなエネルギー源として、よりグリーンでエコなエネルギーとして核融合が長年注目されています。

人工的に核融合反応を起こす実験設備として、磁場を利用するトカマク型や、米国立点火施設にあるレーザー型があります。それぞれの詳細は置いておくとして、これらの方法の問題点の1つに、プラズマの流体力学的な不安定性による、エネルギー収量の低下が挙げられます。

莫大なエネルギーが生まれる核融合ですが、核融合発生に必要なエネルギーよりもたくさんのエネルギーを収集できなければお話になりません。核融合で発生するエネルギーは最大限絡め取りたい…。

そこで満を持して登場するのがマヨネーズ!

油と卵とお酢

マヨネーズの主な材料は3つ。お酢です。核融合の研究者からしたら、マヨの魅力はここ。密度の異なる3つの材料が混ざり合っていることにあります。

密度勾配と圧力が反対方向にかかるなかで、密度の異なる素材に起こる不安定性。これを研究するのには、マヨネーズが最適アイテムなのだそう。

マヨネーズで発生するこの不安定な状態を研究することで、核融合におけるプラズマの流体力学的な不安定性を遅らせる、または抑制するヒントが得られるかもしれません。

研究論文の共同執筆者であるリーハイ大学の機械工学者のArindam Banerjee氏は、プレスリリースにてマヨネーズについてこう語っています。

マヨネーズは固体のようですが、圧力勾配をかけると流れ動き始めます。それこそがマヨネーズを研究に使う理由です。溶融金属と同じく、マヨネーズに圧をかけると形が崩れます。しかし、圧をかけるのをやめると元の形に戻る。ゴムのような伸縮する状態の後、安定状態のフェーズがきます。次に流れ動き始め、これが不安定の状態となります。

研究論文はPhysical Review Eにて公開されています。

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