わざわざ向こうから来てくれるなら。地球に接近してくる小惑星に宇宙船を飛ばして調査

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Credit: ESA

なにが見つかる?

2004年に小惑星アポフィス(Apophis)が発見されたとき、これは地球に衝突する可能性が…と恐れられました。最新の観測により、直近では衝突のリスクは小さいと判明したわけですが、備えあれば憂いなしですよね。

こちらから接近して調べてみよう!

小惑星アポフィスの軌道から判明しているのは、次に地球最接近するのが2029年4月13日になるということ。地球から3万2000km以内という近距離の周回軌道を通るとされています。このほど欧州宇宙機関(ESA)は、そのタイミングでアポフィスに向けて宇宙船を飛ばし、地球への接近前後の詳細を観測するラムセス(Ramses)の新ミッションを明らかにしました。

2028年4月に宇宙船を打ち上げ、2029年2月にアポフィスヘと到着予定。2基小型人工衛星でアポフィスの観測を続け、2か月後の地球最接近日に、どのように地球の引力との関係で変化が生じるかを調査します。小惑星の形そのものが変わるインパクトがあったり、さらには影響で内部から物質があふれ出し、なにかの新発見につながったりしないかなど、いろいろな期待がかけられています。

もしや観測ラッシュに?

実は5年後に迫ったアポフィスの地球最接近に向け、新たな宇宙船を飛ばすプロジェクトは、今回が初めての発表ではありません。NASAは、新型宇宙船「OSIRIS-APEX」を打ち上げ、すでにアポフィスヘと向かっています。Blue OriginExploration Labsといったスタートアップ企業が、NASAの呼びかけに応じ、さらなるアポフィス接近時の研究プロジェクトアイデアを出してもいるんだとか。

通常ならば、はるか遠くまで宇宙船を飛ばさなければ、小惑星の探査は行なえないはず。でも、向こうから地球へ近づいてくるタイミングこそ、絶好の観測チャンスとなり得ます。小惑星の構造を深く調べれば、太陽系の起源について、貴重な発見があるかもしれません。また、こうした研究から、地球への衝突リスクがある小惑星の軌道をずらし、衝突の可能性をなくすことにだってつながるかも!

まだ5年ほど先の話なので、今後さらに宇宙船を飛ばす新プロジェクトがアナウンスされ、まさかの観測ラッシュとなったり? なにか日本からも発表されないのかな~。

Source: ESA

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