GoogleとAppleの異なる「AI」の見せ方。重要なのは“親しみやすさ”

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Image: Apple

2024年、去年の倍以上の勢いでAIが絶好調です。テック系各社、大きな発表会の主役はAI。この春開催されたGoogle I/Oも、Microsoft Buildも、Apple WWDCもAIでした。で、そんな発表会を見ていた米GizmodoのFlorence Ion記者、ふとあることに気がついたんです。

GoogleのAI発表会ではイラっとモヤっとしたけど、Appleの発表会はワクワクしたなと。

同じAIを主軸にした2社の何がどう違ったのか、Florence記者が考えてみました。


先月のGoogle I/O発表会後、なんかイラっとしました。Androidの今の使い勝手が悪くなるなら、AIなんて意味ないじゃんって。一方で、AppleのWWDCでのAI機能の発表にはワクワクしました。発表会後にApple Park(本社)にあるカフェで、パリフワなチョコクロワッサンを食べちゃうくらいには気分がよかったんです。

基調講演後、どんな機能がいつから使えるのかの理解が深まり、ふと考えました。Google I/Oで感じたGoogle AIに抗う気持ちと、WWDCに感じた親しみ。なぜ、同じAIでこうも受け取った印象が異なるのだろうと。なぜ、AppleのAIの方が、ユーザーフレンドリーかつ魅力的に見えたのだろうと。

Apple Intelligenceを載せたiOS 18がリリースされるのはまだ数カ月先です。ベータ版ではApple Intelligenceのほとんどは体験できません。さらに、正式リリースされてもすぐ使えるAI機能は一部のみで、使える端末も限られています。それでもなお、AIを使う日常にシフトしていく未来が描きやすく、理解しやすかったAppleの魅せ方のうまさよ…。Appleのうまさの秘密は何にあるのでしょうか

基調講演の構成力

まず、明確にAppleがGoogleよりも優れていたという点があります。それは、Apple Intelligence導入によって、ユーザーが使える機能自体を中心に、「AI」というバズワードを多用せずに基調講演を構成したこと

Appleの基調講演の後半分は、Apple Intelligenceの機能を紹介。写真に写りこんだ不要なモノ・ヒトを消したり、テキストから絵文字を生成したりなど、実はAndroidならもうできるけど?って機能も多いんです。

ただ、そこがAppleのうまさで、業界トレンドの流れでこういうこともできるようになったよ、これでQOL(Quality of Life、生活の質)もあがるねという見せ方をとったのです。対するGoogleは、時代の大変革、新しいテクノジー、AIってスゴイという攻め方でした。

GoogleがAIで世界は変わるんだ!とどこか強要めいたところがあったのに対し、もし使って見たいならこれができるよと紹介された気持ちになったのがAppleでした。それが、親しみやすさや魅力になるAppleのブランディングのうまさなのでしょう。

デジタルアシスタントの立ち位置

個人的には、GoogleのAI Geminiのシフトにうまく馴染めず、かつパフォーマンスに満足できず、最近Google Assistantに設定を戻したところです。これは、Geminiに変わったことで、例えばスマートホームの日常で使う流れなどが、どう変わるのか、それをGoogleが直接的かつわかりやすくユーザーに提供できていないことが原因かと思います。

Nest Audioスピーカーを使っているのですが、Geminiによって使い勝手は向上するどころか悪化。どの部屋に設置されているスピーカーに対してオーダーしているかすら、理解されなくなってきました。Google AssistantとGeminiの連携があまりことで、イライラしている人私だけじゃないはず。結果、Geminiを使ってもいいと思えるのはウェブ検索時くらいなもんです。

Apple Intelligenceによって、よりSiriが賢くなるというのは、まさに私がGemini&Google Assistantで求めたもの。こうなったらいいなと思ったもの。既存のデジタルアシスタントの会話はそのままに、そのパフォーマンスが増して使いやすくなる、いちユーザーの目から見たらとてもわかりやすいアップデートですよね。

AIとソフトウェアの進化

Appleが発表会で見せたのは、ソフトウェアの自然な進化としてのAI。ユーザーには、限られた条件・制限の中ではあるものの、それを試すことができる権利を提供しました。Googleも同じく、AIという実験的な試みを提供しようとしているものの、Androidの世界ではそれがどうにも不安定です。

もしかしたら、私がAndroidユーザーだからこそ、実体験として不満がでてしまうのかもしれません。そして、Apple Intelligenceはまだ実導入前で実体験がないからこそよく見えるのかもしれません。

なんにせよ、テック業界の未来がAIにあることは抗いようがありません。ただ、その発表しだいで、消費者のハードルや慣れるまでのスピードは変わっていくのでしょう。

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