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Twitterを作っていた人たちが作った“雰囲気が昔のTwitterっぽいSNS”「Bluesky」…使ってわかった“機能と懸念”

 イーロン・マスクCEO誕生以来、ドタバタが続いているSNS「Twitter」。突如としてサービスが終了するような展開はさすがになさそうですが、この数ヶ月に起こった認証バッジの仕様変更や外部サービスとの連携停止にまつわる混乱などを見るにつけ、SNSとしての今後を不安視しているユーザは少なくないはず。

【こんなにそっくり!?】Twitterを作っていた人たちが作った“雰囲気が昔のTwitterっぽいSNS”「Bluesky」を写真で一気に見る

 そんな今、Twitterの代替として注目を集めているのが、Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏が支援する新たなSNS「Bluesky」です。まだベータ版であるにもかかわらずその人気は凄まじく、運営側が公表している数万人というユーザ数に対して、アプリのダウンロード数はその10倍以上はあるなど、招待待ちの予備軍が大量にいると言われています。

 今回はそんな「Bluesky」について、登録方法や実際の使い勝手、Twitterと比較した場合の機能の違いなどをレポートします。なお記載の仕様や機能は2023年5月21日時点のベータ版の内容に基づいており、その後追加・変更されている可能性があります。

「Bluesky」の起動画面(Bluesky https://bsky.app/

招待コードさえ手に入ればあとは簡単

 現在「Bluesky」に登録するために必要な招待コードの入手方法は、公式サイトからウェイトリストに登録して送られてくるのを待つか、あるいは参加済みのユーザから招待してもらうかの実質二択です。筆者は前者の方法で、登録から約3ヶ月後にようやく届きました。後者の方法も、参加しているからといって潤沢な数の招待コードをもらえるわけではないため、知り合いがBlueskyをやっているからといって即もらえるとは限らず、根気強く探すしかありません。

 もっとも、招待コードさえなんとかして入手できれば、そのあとのユーザ登録そのものは簡単です。メニューは英語ですが、特に迷う箇所もなく、また表示名や自己紹介文は日本語が利用できます。一旦決めたユーザ名をあとから変更することも可能です。ちなみにメインとなるのはスマホアプリ(iOS/Android)ですが、ブラウザからの登録も可能です。

デザインはTwitterそっくり。では機能は?

 そんな「Bluesky」の画面デザインは、驚くほどTwitterとそっくりです。投稿はツイートではなく「ポスト」と呼ばれますが、テキスト以外に画像を投稿できるなど、機能そのものはTwitterに酷似しています。一旦行った投稿の削除も行えますが、投稿後に内容の修正が行えない点はTwitterと同様です。

 ちなみに文字数の制限は140字ではなく300字まで。他のユーザの投稿に対してはリプライしたり、いいねやリポスト(Twitterで言うところのリツイートに相当)も行えます。

 フィード(Twitterのタイムラインに相当)は、自分がフォローしているユーザのフィードと、現在トレンドになっているフィードの2つで構成されています。Twitterで言うところのリスト機能は今のところ存在しませんが、今後実装される可能性はあるでしょう。

 他のユーザをフォローしたり、されたりする機能も、Twitterと同じく実装されており、いいねやリポスト、返信といったフォロワーのアクションをまとめて表示するタブもあります。ミュートやブロックといった機能は最近になって追加され、Twitterと同じ使い勝手で利用できるようになりました。

細かなところをみると色々と違いが…

 見た目も機能も、Twitterとそっくりに見えるBlueskyですが、細かい点では違いがあります。例えば投稿できるのはテキストや画像だけで、動画を投稿したり、アンケートを取ったり、また公開範囲や返信可能なアカウントを指定するといった、Twitterにあとから追加された機能はありません。シンプルだった昔のTwitterそのままの印象です。

 またURLを貼り付けた時も、タイトルやサムネイルが自動的に読み込まれることはなく、たんにURLの文字列だけがベタ貼りされるなど、やや不親切な面もあります。いずれ改善されるはずですが、現時点では、気になったページを仲間に見てもらうために気軽にURLを投稿する用途には、いまいち使いづらい仕様です。

 このほかDM機能がなかったりと、見た目はそっくりながら、実際に使ってみると「あれっ」と感じる点はちょくちょくあります。まだ正式公開前のベータ版ゆえに実装されていない場合もあれば、取捨選択して意図的に省かれている機能もあるように感じられます。

 その一方で独自の機能もいくつかあります。代表的なのが、自分自身が独自ドメインを保有している場合に、それと紐付けることで、ユーザ本人であることを証明する認証機能です。Twitterでは(かつては)認証バッジを取得するために運営側に申請しなくてはいけなかったのが、このBlueskyでは自動化されている格好です。

 このようにTwitterをベースとしながらも、一歩進んだ機能も用意されているのが、Blueskyの特徴です。もともとTwitterの社内プロジェクトだったのが袂を分かって事業化したという経緯もあり、Twitterの反省を生かした設計になっているのはごく自然でしょう。

将来有望…だけど新興SNSならではの懸念も?

 以上のように、現在はまだベータ版でありながら、シンプルだったかつてのTwitterをほぼ再現できており、不安定さもほぼありません(本稿執筆直前には、特定の画面を開くと元の画面に戻れないバグもありましたが、すでに解消されています)。Twitterの有望な移行先として評判になるのも納得というのが、実際に使った上での感想です。

 なかでも特筆すべきは、フィードに広告が一切表示されないことです。フォロー外のおすすめ投稿を表示する「What's hot」も、別タブに分離されていて、いきなりフィードに割り込まれる不快さはありません。近年のTwitterの使いづらさを感じていたユーザからすると「これだよ! これこそ求めていたものだよ!」となる可能性は高いはずです。

 現時点ではまだユーザ数も少なく、Twitter並の規模のSNSを回せる体力は運営側にはまだないでしょうが、MastodonやNostrなど、現在いくつかあるTwitterライクな新興SNSの中でも、そのポテンシャルは高く、将来的にTwitterを脅かす存在になっても不思議ではありません。また万一Twitterがサービスを終了した場合の受け皿にも、十分なりうると感じます。

 ただし一方で、Twitterの受け皿になりうると言っても、ややカオスめいた現在のTwitterの空気感がそのままBlueskyに持ち込まれることについて、拒否反応を示す人は少なくないでしょう。とくにすでにBlueskyに参加し、初期Twitterのような雰囲気に居心地の良さを感じている人であればなおさらです。

 特にこのBlueskyは、ユーザの要望や苦情を個別に聞く強力なサポート窓口があるわけではなく、今後それらにリソースをとられてサポート部門が肥大化していけば、現在のTwitterと同じくコストが上昇し、何らかの収益化の方向性を模索するようになる可能性は否定できません。これはTwitterとは異なる分散型SNSであっても同じことです。

 これに関連して、すでに一部では気になる兆候も見られるようになりつつあります。例えば冒頭で紹介した招待コードは、その入手困難さと相まってプレミア化しており、最近はオークションサイトやフリマサイトで転売されている例が、国内外ともに見受けられるほどです。

 SNSはこれまで四半世紀にわたり、ユーザを増やしすぎたことで既存ユーザが雰囲気の変化に嫌気が差し、ほかのSNSに移行するというパターンを繰り返してきており、SNSとしての肥大化が必ずしもユーザにとってプラスというわけではありません。

 招待コードによるユーザ増加率のコントロールはその一つの解と言えますが、数を絞りすぎるとこのように転売の憂き目に遭ったりといった事態も起こります。異常人気となりつつある昨今、さらなる問題が起こる可能性もあり、今後の運営側の舵取りが注目されるところです。

(山口 真弘)

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