「サントリー天然水1L」スリム化で販売好調 “過去最高” 超えペース リニューアルの狙い、担当者に直撃

リニューアル前の「サントリー天然水 1Lペット」(左)とリニューアル後の商品(サントリー食品インターナショナル提供)

リニューアル前の「サントリー天然水 1Lペット」(左)とリニューアル後の商品(サントリー食品インターナショナル提供)

 熱中症を予防するために、小まめな水分摂取が推奨されています。そんな中、サントリー食品インターナショナル(東京都港区)が販売する、「サントリー天然水 1Lペット」(以下、サントリー天然水1L)がSNS上で話題となっています。同商品は5月、幅広い丸形の容器から細長い角形の容器にリニューアルされましたが、SNS上では「面白い」「助かる」「車のドリンクホルダーに入れられる」など、話題となっています。

 同商品の容器をスリムにした狙いのほか、直近の販売状況や消費者からの評価などについて、同社ブランドマーケティング本部の稲垣亜梨沙さんに聞きました。

ミネラルウオーターの個人消費量が増加

 稲垣さんによると、サントリー天然水1Lは、「2リットルだと大き過ぎるし、500ミリリットルでは物足りない」といった顧客の声に応える目的で、2010年に発売したということです。

 家庭向けの中容量サイズというコンセプトで、家庭の冷蔵庫に安定して入る形状や、コップに水を注いだ後にテーブルに置いておく場面を想定し、どっしりとした形状の容器を採用したといいます。同社の想定通り、ファミリー世帯の人が、家族とシェアする目的で購入するケースのほか、大容量飲料を冷蔵庫で保存したい単身世帯の人が購入するケースが多かったということです。

 当時はミネラルウオーターを飲む人も、飲む量もそれほど多くなく、日常的にミネラルウオーターを飲むことが当たり前ではなかったため、「1リットル」という容量はそれほど知られていなかったといいます。

 そして、2024年5月、サントリー天然水1Lの容器がリニューアルされました。

 稲垣さんは、リニューアルの理由について、「これまではサントリー天然水1Lをご家庭向けの中容量サイズという位置付けで販売していましたが、近年の健康志向の高まりや気候の亜熱帯化の影響などのほか、実際にお客さまから『水をたくさん飲みたいときに550ミリリットルでは物足りない』といったお声もいただいており、個人消費の目的で飲用する人が増加していることが分かったからです」と教えてくれました。

 そこで、同社はサントリー天然水1Lについて、「家庭向けの中容量サイズ」という考え方から、1人でたくさん飲みたい人向けの“パーソナル大容量”という考え方に転換。サントリー天然水の清らかなイメージを維持したまま、片手で持って直接飲用しやすく、リュックのサイドポケットなどにも入れて持ち運びやすい胴径・形状の容器に変更したということです。

 また、パーソナル用途を意識したユーザビリティー、ポータビリティーの向上に加え、物流の「2024年問題」によるトラックドライバー不足も意識しており、積載効率の向上も図っているといいます。容器を今回の形状に変更することで、1パレット当たりの積載数を増やし、輸送効率が1割程度向上しているということです。

1Lサイズが天然水ブランドをけん引

 稲垣さんによると、2023年の「サントリー天然水」ブランド商品の合計販売数量は、前年比7%増の1億3830万ケースと過去最高を記録したほか、2023年におけるサントリー天然水1Lの販売数量も前年比で70%増え、過去最高の売り上げになったといいます。

 また、2024年のサントリー天然水ブランド商品の合計販売数量は、過去最高となった前年を超えるペースで好調に推移しており、中でも1Lサイズの販売が非常に好調だということです。リニューアル後の6~7月の合計の販売数量は前年比で大幅に伸長しており、天然水ブランド全体の売り上げの増加に寄与しているといいます。

 稲垣さんは、リニューアル後の主な購入層について、「特に20代、30代の人に支持されており、仕事をしている人が“1日のお供サイズ”として出勤前に購入し、1日かけてお飲みいただいているほか、スポーツや暑い日の外出時など、水分を多く必要とするシーンで“1本でたっぷり水分補給できるサイズ”として活用いただいています」と説明。

 その上で「ポータビリティーが向上したことで、訪日外国人にも観光時の持ち歩き飲料として活用いただいています」と、顧客層が拡大したことに自信をのぞかせています。

 なお、商品のリニューアル後、「スリムになったことで持ちやすくなった」「リュックのサイドポケットに入れやすくなって便利」「車のドリンクホルダーに入るようになった」「冷蔵庫にも入れやすくなった」「かゆいところに手を届けてくれて助かる」といった声が寄せられているほか、商品リリースを読んだ人からは「輸送効率向上など、社会課題解決にも同時に取り組んでいることが支持できる」といった、評価の声が上がっているということです。

 大容量飲料をリュックサックのサイドポケットに入れられるのは、非常に便利です。外出時に水分補給をするときは、サントリー天然水1Lを購入してみてはいかがでしょうか。

オトナンサー編集部

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