今年の羽田&成田を騒がせた「激珍機」とは? 「余計な翼がついた魔改造ボーイング757」って!?

2023年、日本の空港にはさまざまな珍しい飛行機が飛来してきました。今回はそのなかから、羽田・成田の首都圏2空港に飛来した“レア機”の一部を見ていきます。

胴体に「余計な翼がついた」レア機が羽田に

 2023年、日本の空港にはさまざまな珍しい飛行機が飛来してきました。今回はそのなかから、羽田・成田の首都圏2空港に飛来した“レア機”の一部を見ていきます。

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ハネウェル・エアロスペースの「N757HW」(画像:Honeywell Aerospace)。

 2月、羽田空港に「N757HW」が飛来しました。これは、日本の航空会社では導入されなかったレア旅客機「ボーイング757」をベースに、アメリカで航空関連などの先端技術を手掛けるハネウェル・エアロスペース社がさまざまな改造を施した“魔改造機”です。

 外観上でもっとも特徴的なのは、胴体右側の前方に、主翼が中途半端な位置で切断されたような、なんとも不思議な形状の突起物が設置されていることです。

 この757は、1983年に当時のアメリカ大手航空会社、イースタン航空でデビュー。この機は757の製造5機目で、最古参の機体のひとつです。その後いくつかの民間航空会社を経てハネウェル社に転籍しました。

 ハネウェル社に転籍後は、機内高速Wi-Fiや先端的な操縦装置、気象レーダーといった、同社が開発するさまざまな最先端の開発技術をテストするための飛行試験機としての大きな改修を受けます。先述の右側前方の突起物は、航空機用エンジンをテストするための部品。テスト時にはエンジンをここに吊り下げ、空中で動作試験を実施します。同社によると、2022年時点で同機での飛行試験は800回を超えているといいます。

「N757HW」のアジア地区でのツアーの一環で飛来し、これは2017年に成田空港に飛来してきて以来、約7年ぶりのことでした。なお、現行塗装は2022年からデビューしたもので、この塗装をまとった状態では、初めて日本に来たことになります。

成田には国内初飛来「真っ白すぎるボーイング機」

 2023年6月には成田空港に、これまた珍しい機体が飛来してきました。胴体デザインや尾翼が真っ白な、ボーイングが保有する試験機「エコデモンストレーター・エクスプローラー」(機番:N8290V)です。

「エコデモンストレーター・エクスプローラー」は、ボーイングの旅客機「ボーイング787-10」をベースとした機体で、新技術を実際の運航のなかで試験する「エコデモンストレーター・プログラム」試験機の最新型です。先述のとおり真っ白な胴体のなかに、機首部分に「エコデモンストレーター・エクスプローラー」の文字とボーイングのロゴマークなどが入っています。

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成田空港を離陸する「エコデモンストレーター・エクスプローラー」(2023年6月13日、乗りものニュース編集部撮影)。

 機内は、この機の当初の納入先だったと見られるベトナム航空のビジネスクラスとエコノミークラスが当時のまま配されているものの、客席の一部区画が立ち入り禁止テープで区切られ、そこに試験機器が設置されていました。

 同機の成田空港への飛来は、日本を含む計4か国の航空当局が共同した「次世代航空交通システム」の実現への取り組みへの一環で、世界初となる実際の旅客機を用いた「次世代航空交通システムに関する試験飛行」のため。このときが、日本への初めてのフライトとなりました。

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