EVバイクいよいよ普及か 日本初のバッテリー交換拠点ついに稼働 規制強化は目前に

バイクの「バッテリー交換ステーション」が都庁付近に登場しました。実証事業化したのは日本初です。電池が切れたら新しい電池に交換してすぐ出発できる、バッテリー交換式バイクは、EV化を後押しするのでしょうか。課題も山積みですが、環境規制強化も目前です。

東京都は2035年にガソリンバイクゼロへ

 2022年10月25日、東京都庁のある西新宿の公共駐車場に、日本で初めてバイクの「バッテリー交換ステーション」が実証事業として設置されました。バッテリー仕様を共通化して、乾電池のようにフル充電のバッテリーと交換し、すぐに出発が可能なシェアサービスです。バイクEV化のバックアップを担うショップの組合とも提携し、小池都知事が提唱するバイクの“東京目標”に向けて第一歩を踏み出しました。

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ガチャコのバッテリー交換ステーションとホンダ「ジャイロキャノピーe:」(乗りものニュース編集部撮影)。

 バッテリー交換ステーションの第一号は、東京都道路保全公社が西新宿で運営する時間貸駐車場「西新宿第4駐車場」(西新宿2-4)で始動しています。

「CO2削減の世界的な流れの中で、日本のバイクは世界中で愛用されていて、人々の足になり、物流を担うという重要な役目がある」と語る小池百合子東京都知事。CO2を排出しない環境先進都市ゼロエミッション東京を実現するためには、バイクのEV化が欠かせないと、全国で先駆けて設置に踏み出しました。

 ホンダを中心とする国内4メーカーは、いわゆる原付バイクに相当する小型コミューターのEV化で、バッテリーの共通仕様(例えば外形約30×17×16cmなど)を決定。バイクのバッテリーを脱着式にして、ステーションでフル充電バッテリーと交換するシステムを考えました。

 バッテリー交換ステーションは、交換バッテリー12本が一度に充電可能。自動販売機ほどの大きさ(高さ1850×奥行700×幅1000mm)のステーションがガソリンスタンドのように各地へ設置されることで、ユーザーは車体だけを所有し、劣化するバッテリー本体と電力はシェアサービスで購入。充電時間実質ゼロで、航続距離を気にせずに乗り続けることができます。

「バイクに乗る人がいかに便利で、かつ走行時にCO2を出さないかをセットで進めていくことで、2030年カーボンハーフ、バイクは2035年までに非ガソリン化していこうという大きな目標を立てている」

 小池氏は、東京都の目標をこう説明し、自らEVバイクにまたがって見せました。

どれだけ設置されれば実用的に? 強気な目標

 東京で事業化の第一歩を踏み出したバッテリーステーションの設置を担うのは、エネオスとバイク国内4メーカーが出資する「Gachaco」(ガチャコ)です。渡辺一成社長は、バッテリーステーションの設置目標について、こう語ります。

「充電インフラが整わないと、EV化の機運も高まらない。鶏と卵の関係なので、最初はインフラが過剰なくらいのほうがユーザーに利便を感じていただける」

 今年4月に同社が設立した時点で立てていたステーション設置目標は、小池氏の積極的な発言もあり強含みな姿勢に変化しています。渡辺氏は東京都と経済産業省の事業をあわせた展開を次のように語りました。

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ガチャコ渡辺社長と小池都知事(中島みなみ撮影)。

「都内は23区を中心に36か所、大阪市内で42か所を今年度計画している。23区の設置を来年度も同じペースで続けると、だいたい3km四方で1台ずつ設置できる計算になる」

 小池氏が体験した「GYRO CANOPY e:」(ジャイロキャノピーe:)の場合、航続距離は77km(30km/h定地走行テスト値)。同社が計画通りに設置できれば、2年で当面の充電インフラが整うことになります。

 東京都産業・エネルギー政策部によると、都や区の施設などでの設置が模索。バッテリーステーションの実証実験に参加した板橋区などにも呼び掛ける予定です。また、ガチャコも独自に設置場所を探しています。

価格競争力はあるのか 原付EV化は“リミット”目前に

 課題はEVバイク市場をいかに広げることができるか。現状でこのバッテリー交換方式が使えるEVバイクは、ホンダの電動ビジネスバイクシリーズが中心で、ガソリン車のようにショップで契約することができず、オンラインのみ、かつ事業用リースに限定されています。

 また、ガチャコが提供する交換バッテリーのサブスクリプション・プランも航続距離に応じて、1か月500km、1000km、1500kmのプランが用意されていますが、500kmのプランでも月3000円~4000円。国と東京都の補助金を投入して車両本体価格がエンジン車と同じレベルに落ち着く程度なので、市場での価格競争力は強いとは言えません。

 一方で、2025年に待ち受ける環境規制強化で、排気量50ccのエンジンバイクは新車投入がほぼ不可能と言われ、EV転換を迫られています。

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バイクショップの事業団体「東京オートバイ事業協同組合」と東京都でEV化に向けての協定を交わした(中島みなみ撮影)。

 先陣を切った東京都ですが、小池氏はバイクのEV化について、こんなことも期待も口にしました。

「乗り手、売り手、エネルギー供給が三位一体になることがバイクEV化を後押しする」

 非ガソリン化の目標まで13年。2022年をスタート年とするためにやるべきことは山積みです。

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