日本が誇る「キャラクター」この先バズるのは何か
続々と誕生し、ときに爆発的な人気となるキャラクター。若い女の子たちが夢中になるキャラクターは、昭和の後半からたびたび登場してきました。
昭和から人気のサンリオ、サンエックスのキャラたち
代表的なのは、ハローキティ(1974年~)やリトルツインスターズ=通称キキララ(1975年~)、マイメロディ(1975年~)などが有名なサンリオキャラクターでしょう。文具や雑貨で使用され、今も昔も女の子たちの身近にいたキャラクターでした。
ポムポムプリン(1996年~)やシナモロール(2001年~)、クロミ(2005年~)など、平成初期に流行したキャラクターは今も人気がありますが、昭和後期に人気を博したハンギョドン(1984年~)やけろけろけろっぴ(1987年~)、ポチャッコ(1989年~)などのキャラクターもリバイバルされ、再注目されています。
人気のあるキャラクターの話になると、サンエックスのキャラクターをなくして語れません。たれぱんだ(1998年~)からブームが始まり、リラックマ(2003年~)はグッズ展開のみならず、アニメや映画にもなりました。サンエックスのキャラクターは、ちょっとゆるい感じの癒やし系キャラクターが多い印象です。
特に2012年から発売しているすみっコぐらしは、今も幅広い世代に支持されています。すみっコとは、「すみっこがおちつく、すみっこにあつまってくるなかまたち」の総称です。第3弾まで映画化され、ゲームや書籍も発売され、カフェ展開もされています。
王道のディズニーキャラクターやディズニープリンセスを筆頭に、ミスタードーナツとコラボしたOSAMU GOODS(1976年~)、タマ&フレンズ~うちのタマ知りませんか?~(1983年~)、スイス発祥のクレイアニメのピングー(日本では1993年~)など、数えだしたら枚挙にいとまがありませんが、このように、昭和後期から平成まで多くのキャラクターが女の子たちの身近にあったのです。
令和の代表格「おぱんちゅうさぎ」「ちいかわ」
令和に入ってからの新しいキャラクターの代表格は「おぱんちゅうさぎ」でしょう。鮮やかなピンクのうさぎで、大きな目は常にうるうるの涙目。頭に水色のリボンをしており、白くて大きなカボチャパンツをはいたキャラクターです。
このキャラクターはイラストレーターの可哀想に!が2022年1月にTwitter(現X)とInstagramで発表し、イラストや短編漫画、ショート動画を配信したところ、「頑張っているのになかなか報われないけれど、ひたむきで純粋、残念だけど“不憫かわいい”」とZ世代の女子から圧倒的な支持を獲得しました。
グッズ、書籍のみならず、企業とのコラボや池袋PARCOで開催された「おぱんちゅうさぎ展」(2023年)は前売り券が完売するほどの人気を博します。このイベントは、大阪、福岡、広島、仙台、札幌、沖縄など全国を巡回したほどのブームとなったのです。一時期の白熱したブームは少し落ち着きましたが、現在でもZ世代の女子がLINEを使うときには、おぱんちゅうさぎのLINEスタンプをよく使うそうです。
おぱんちゅうさぎと同じ作者・可哀想に!が2022年3月から手がける「んぽちゃむ」のほうが、最近は人気があるかもしれません。
んぽちゃむは頭には水色の花、手には水色の手袋をはめ、白くてふわふわした雲のようなフォルムが特徴。ヨーグルトの妖精という設定です。
YouTubeでは、んぽちゃむがさまざまなことに挑戦するも、いつも失敗をして、親友のきみまろ(黄色いひよこモチーフ?)が助けてくれるというさまざまなショート動画が見られます。んぽちゃむのダメなところに対して、「ったく、しょうがねぇなぁ」と助けてくれるきみまろを、Z世代の女子は「こんな彼氏ほしい!」と推し活の対象としているようです。んぽちゃむのセリフの語尾はいつも「~~ちゃむ」なのですが、その「~~ちゃむ」という言い方を仲間内で真似しているというZ世代の女子も多いようです。
おぱんちゅうさぎやんぽちゃむの流行と同時に注目されたのが、「ちいかわ(なんか小さくてかわいいやつ)」です。こちらもSNS発のキャラクターで、イラストレーターのナガノが2020年からTwitter(現X)で漫画連載し、2021年に講談社より単行本化しています。
2022年4月からはフジテレビ系「めざましテレビ」でアニメ放送も開始。ちいかわとその友達のハチワレ、うさぎの3つのキャラクターで1話完結のストーリーが展開されます。ちいかわは現在の小中学生の女子から大人まで幅広く人気があるイメージです。
Z世代に大人気「mikko characters」
では、Z世代に人気のあるキャラクターで、最新のものをご紹介しましょう。イラストレーターのmikkoが手がける「mikko characters(ミッコキャラクターズ)」です。
このmikko charactersはメルヘンな画風で、どこか懐かしいレトロ調。LOVE FRIENDSとして4匹のキャラクターがおり、ピンクのリボンをした白い子猫のMousse(ムース)、青いリボンをした子ぐまのLatte(ラテ)、黄色いリボンをした子犬のSouffle(スフレ)、ピンクのリボンをした子うさぎのCammy(キャミー)。イラストレーターのmikkoは日本人ですが、最初は中国のSNSでブームとなり、逆輸入化で日本でも注目されたといいます。
ちょうどZ世代が小学校高学年~中学生くらいのとき、“ゆめかわ”と呼ばれる夢のようにかわいらしいファッションが流行していました。パステル系の色味を使った甘くかわいらしい世界観のファッションで、わたがし、シャボン玉、虹、ユニコーンなどのアイテムがよく使われています。2024年にデビューした韓国の5人組ガールズアイドルのILLIT(アイリット)が“ゆめかわ”でメルヘンな世界観をコンセプトにしているため、今のZ世代の女子たちにも“ゆめかわ”が再ブレイクしつつあります。mikko charactersの人気は、ILLITと似た世界観のファンシーレトロなキャラクターだからこそ、今の時代にマッチしたのだと考えられます。
このmikko charactersはグッズやLINEスタンプなども発売しているのですが、爆発的に人気が出たのは、今年4月に発売された1回500円のカプセルトイ(ガチャガチャ)でした。mikko charactersの小さな手のひらサイズのぬいぐるみが爆売れしたのです。初日で完売が続出し、発売2週間ほどで全国的な品切れになったといいます。
というのも、Z世代の女子はネイルを新しくしたときにSNSにアップします。その際に、ネイルだけを映すのではなく、ぬいぐるみを握りしめてネイルを見せるという撮り方をする傾向があります。mikko charactersのカプセルトイのぬいぐるみは、ちょうど握りしめやすい大きさのうえ、つぶらな瞳で色に主張がないため、人形のかわいさに負けずにネイルをアピールできるというわけです。そのような背景もあって、品切れとなるまで人気が出たと思われます。
また、2023年の年末に公開されたサントリー・グリーンダカラのWebCMに登場したパペットスンスンもこれから注目のキャラクターです。パペットスンスンの動画は2019年からYouTubeで上がっています。
主人公のスンスンは青いモフモフした6歳のパペットで、学者のおじいちゃんで灰色のパペット・ゾンゾン、スンスンの友達で白いパペット・ノンノンが登場し、何気ない日常を描いた動画が「癒やされる」と人気です。アメリカの子ども向け教育番組・セサミストリート的な見た目で、ゆるふわな雰囲気があり、これから人気が出る可能性が大きいと思います。
令和にバズるキャラクターはSNS発
最後に、もうひとつ、これからバズる可能性のあるキャラクターをご紹介します。知名度こそまだそこまで高くはありませんが、求心フレンズの牡蠣のキャラクターです。プリン、鈴カステラ、ホタテなどさまざまなキャラクターがいますが、一番人気が牡蠣になります。
求心フレンズは、もともとすべて手縫いで“ふしぎかわいい”ぬいぐるみを制作するぬいぐるみ屋さん。つぶらな瞳のふわふわな体のぬいぐるみが人気で、数カ月に一度、オンラインショップで販売するというレアな商品です。ただし、最近ではカプセルトイやゲームセンターのプライズ、アパレルのアベイルやサンキューマートなどとのコラボ商品も発売しているため、手に取る機会が増えていくでしょう。
令和に入ってからバズったキャラクターはすべてSNS発ですね。これからもZ世代がハマるようなキャラクターがSNSから出てくると思いますので、私もチェックしていきたいと思います。
(構成:高田晶子)
(原田 曜平 : マーケティングアナリスト)
09/26 13:00
東洋経済オンライン