2024年、Z世代に流行中の最新飲食店トレンド4つ

(撮影:今井康一)

次から次へと新しいコンセプトの飲食店が出ては消えていく昨今、2023年にZ世代に流行したのは、「面白接客」の飲食店でした。

美味しいだけ、美しいだけの料理はSNSにあふれすぎているため、人の目に止まりません。SNSでの反応を得ることを念頭に置いて投稿をするZ世代は、飲食店選びも常に新しい視点を探し続けています。そこで、「面白接客」の飲食店が注目されたのです。

例えば2023年4月、東京・原宿にオープンした「友達がやってるカフェ」は、店員が友達のような接客をするのがコンセプト。友達のバイト先に遊びに行くような感覚で気軽に行くことができ、緊張することなくコミュニケーションできる居心地の良さが話題です。

逆に、無愛想な接客がウリの「the LAZY HOUSE」(愛知・名古屋)や5日間の限定イベントで会話してはいけない「言葉のない喫茶店」(東京・原宿)なども人気が出ました。居酒屋チェーンの「それゆけ!鶏ヤロー!」では、店員が客にテキーラを噴射したり、ビンタをしたりするなど、破天荒で無礼な接客が話題となりました。

2024年、Z世代が注目する4つのトレンド

そんな「面白接客」が注目された2023年に対して、2024年もまた違うコンセプトの飲食店が注目されつつあります。今回は4つのトレンドをご紹介します。

① 上から動画撮影

東京・錦糸町にある中華料理店「フーフー飯店」では、頭上の荷物置き場を利用して、真上のアングルから自分たちの食事風景を撮影できる席が大人気となっています。この席は予約ができないので、実際に店に行って並んで席につくまでに2時間以上かかることもあるそうです。

これまでの食事動画といえば、ラーメンなどの人気グルメ、もしくは大食いやASMR(咀嚼音を聞かせる動画)などで、正面から映すことが基本でした。

真上から撮影すると、顔が見えず、「食べ方が汚い」などと炎上することもなく、投稿のリスクも少ないうえ、新しい視点ということで、TikTokやInstagramのリールなどで流行しているのです。

韓国から入ってきた流行

② ワイングラスに落書き

2021年頃から韓国で流行していたのが、ワイングラスに自分で落書きができる飲食店です。その流行が今年、日本にも入ってきています。韓国ではワイングラスが主流ですが、日本では普通のグラスにもPOSCAなどのカラフルなペンを使い、落書きができるカフェが増えてきているのです。

東京・新大久保の「CAFE SECRET WINDOW」、同じく新大久保の「CAFEIN」、また大阪・野田の「imas cafe」など、韓国カフェでの落書きグラスが、オリジナリティが出るし、かわいいと注目されています。

新大久保の落書きグラスができる Cafe Secret Windowにて(写真:筆者撮影)

新大久保の落書きグラスができる Cafe Secret Windowにて(写真:筆者撮影)
③ 韓国コンビニ体験

前述した落書きグラスも韓国から入ってきた流行ですが、2021年4月に東京・新大久保に1号店がオープンした「まもなく釜山駅」という店が、最近人気化しています。

この店は、韓国の電車を模した店内で、サムギョプサルやチーズタッカルビなど約20種類のメニューがバイキング形式で食べられるのですが、この店の一番の特徴は韓国のコンビニ風に陳列してある飲食物も自分が選んで食べることができるという点です(韓国コンビニ風の店内になったのは2024年1月のリニューアルオープン以降)。

韓国の有名なコンビニには「CU」や「GS25」などがありますが、「まもなく釜山駅」ではリアルに再現されているコンビニゾーンから、キンパ(海苔巻き)やインスタントラーメン、バナナウユ(バナナ牛乳)、ビヨット(韓国ヨーグルト)など、韓国のコンビニグルメも満足いくまで食べられるのです。韓国はZ世代に人気の旅行先でもありますが、まるで韓国旅行をしているような気分が味わえるということからも人気が出ている状況です。

④ パーソナライズ推し活できる店

Z世代の間でも好きなアイドルやアーティストなどを応援する“推し活”は人気ですが、ミーハーファンのZ世代は、本気のオタクファンの目を気にして、なかなか推し活ができないそうです。そこで、周りの目を気にせずに推し活ができる場所を探しているといいます。

2024年2月、東京・池袋にオープンした「推し活居酒屋◯◯の会」は、全部屋4Kモニター、高音質スピーカー、Blu-rayプレーヤー完備で推し活を堪能するための半個室居酒屋です。この店では推しのライブ映像などを流しながら、人目を気にせず飲食を楽しめるのですが、この店が人気の理由は、取り皿や飲み物、部屋の照明などの色をセレクトできる点です。

取り皿や推し色ドリンクは、赤、ピンク、オレンジ、黄色、緑、青、紫、白、黒など9種類のカラーが揃っているため、自分が推しているメンバーカラーを選ぶことができ、室内のLEDも上下好きな色に設定できるようになっています。同じ趣味を持つ推し活仲間たちと、自分たちのオリジナルの場所を創り上げ、楽しい思い出を共有することで、より一層絆が深まるというわけです。

推し活できる店での写真

推し活できる店での写真(写真:筆者提供)

推し活できる店での写真

推し活できる店での写真(写真:筆者提供)

また、推し活を全面的にサポートするカフェ「推し活専門店オシアド」も人気です。この店は東京・原宿と石川・金沢にあります。この店の人気は「推し茶」で、推しのイメージカラーと香りを具現化したティーソーダが話題です。

専用のオーダーシートに推しのプロフィール、カラー、イメージなどを書き込んで注文すると、上部6種類、下部12種類のカラーから、自分の推しのオリジナルドリンクを作ってくれるといいます。

いろいろな推し活カフェがあるなかで、メンバーカラーなどを自分で選ぶことはあっても、自分でカスタマイズする“パーソナライズ推し活”ができるような店はこれまでなかったため、推し活に力を入れているZ世代には特別感が味わえると注目されています。

このように、Z世代が選ぶ飲食店には、TikTokやInstagramのリールなどSNSでの投稿を前提とした新しいコンセプトの店が続々と登場します。これからも変化し続けていくと思いますので、また新しいトレンドが現れたら、こちらの連載でご紹介していきたいと思います。

(構成:高田晶子)

(原田 曜平 : マーケティングアナリスト)

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