東大生語る「長い入試問題ほど簡単」腑に落ちる訳
ページ数・問題量がどんどん増える
最近の大学入試問題は、科目を問わず、問題文がどんどん長くなっています。
センター試験から共通テストに移行し、問題のページ数・問題文の量は増える一方です。数学の問題ですら、とんでもなく長くなっています。数学ⅠAの試験では、2006年のセンター試験と2021年の共通テストを比べると文字量が「5倍」になっているという話もあるほどです。
そうした傾向を見て、多くの受験生は「最近の大学入試問題は、昔よりも難しくなった」と口にします。実際に文章量が増えたことで、時間が足りなくなってしまう受験生も続出しています。
しかし「文章が長くなっている」から、「問題が難しくなっている」とは一概に言い切れない部分もあります。
みなさんは、問題文が長い問題と短い問題、どちらのほうが簡単だと思いますか?
おそらく多くの人は、「短い問題のほうが簡単だ」と考えると思いますが、実際にはそれは正しいとは言い切れないところがあるのです。
このことについて『ドラゴン桜』の漫画の中で解説されているシーンがあるので、まずは漫画をご覧ください。
※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
いかがでしょうか? この漫画に書いてあるとおり、東大生は数学の問題を解くときには、短い文章量の問題より、長い文章量の問題から先に手を付けます。
では、この漫画で書いてあることは本当なのか、みなさんにも知ってもらうために、実際に出題された東大入試の文章を読んでいただきます。
この問題は、その年の数学の問題の中でいちばん長かった問題です。
事象T:1回目から10回目の操作によって、点Pは少なくとも1回、点Fに移動する。
超長い問題文どうやって解く?
なんだかいろんなことが書いてあって、難しそうですよね。でもこの問題、よく考えて図を書いてみると、こうなります。
点Pが、正八角系の頂点を移動していく、というだけの話なのです。こうやって理解すれば瞬時に理解できる話であり、(1)も東大の入試とは思えないほど簡単なのですが、問題を見て「難しそう」と考えてしまうと、解けなくなってしまいます。
もっと言えば、この問題文が長くなっている要因は「例えば、点Pが点Hにある状態で、投げたコインの表が出れば点Aに移動させ、裏が出れば点Gに移動させる。」といったように説明が加わっているからですよね。
問題文が長いのは、多くのヒントが入っているからだ、ということについて納得できましたか?
多くの受験生は、長い分量の問題を見てうんざりしてしまいがちです。長い文を読むのは疲れるし、時間もかかる。しかし、それは先入観からそういう気持ちになってしまっているだけの場合もあります。「長い」=「難しい」と考えず、ぜひ「長い」=「簡単」と考えてもらえればと思います。
(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)
06/25 12:30
東洋経済オンライン