「業務時間外に連絡してくる上司」から逃げる方法

(写真:: shimi/PIXTA)
仕事上のコミュニケーションツールとして、多くの企業に採用されているビジネスチャットやLINE。
メールより簡単に画像や文章をやりとりできて便利な反面、その手軽さから、業務時間外や休日にメッセージをするハードルが下がり、働き過ぎを助長してしまうこともあります。
4月に上梓された『SNSのモヤモヤとの上手なつきあい方』の著者で、Xでは8万人のフォロワーを持つ心理カウンセラーのPoche氏は、「休日に返信したくないのは、仕事の意識が低いからではない」と話します。
そこで今回は、休日や業務時間外に送られてくる仕事の連絡から自由になるための方法を、同著より一部抜粋してお伝えします。

業務チャットでせっかくの休みを台無しにしないために

業務時間外に、上司からチャットで業務指示がくることに悩むことがあります。

そのことを誰かに相談した時に、「たかがチャットくらい」「気にしすぎ」「仕事の意識が低い」と言われることがありますが、部下にとってみればたかがチャットどころではありません。

業務時間外に上司からチャットが来れば、嫌でも仕事のことを考えてしまいます。退勤後にチャットが来れば、家に帰っても仕事のことが頭から離れなくなります。休日にチャットが来れば、楽しいひと時が一瞬で消えてしまうこともあります。

チャットを見ないと決めたとしても、「またくるかも」という不安が続き、気が休まりません。

誰からどのようなメッセージがくるかというのは、心の面でとても大きな問題なのです。

だから、あなたが気にしすぎなのではありません。

上司からチャットがくるという事実、気になるようなことが現実に起こっているのです。あなた自身も、気にせずに済むなら気にしたくないはずです。

仕事の意識が低いから、このように思うのでもありません。

業務時間外の仕事を求めるのは、上司の都合です。

急用ならまだしも、休日明けでもいいような内容だったり、自分が対応しなくてもいいような内容だったりすれば、うんざりして当然です。

本来なら、上司よりもさらに立場が上の人から「業務時間外の指示を送ってはいけない」と上司に直接指導してもらいたいところですが、現実には叶わないことが多いのではと思います。

でも、だからこそ、今できる手段を駆使して、あなたの時間を守っていきましょう。

上司は「連絡しやすい人」に連絡している

上司から業務時間外の連絡が来た時の対処法は、主に2つあります。

1.通知をオフにしてメッセージを見ないようにする

業務時間外や休日は、返信しないと自分の中で決めてしまいます。

無視するのは怖いかもしれませんが、最低でも3回は無視を貫いてみましょう。

心理学的にみても、たった1回だけ行動するよりも、3回続けて行動した方が、効果が出やすいことが分かっています。

2.「今から予定があるので、できません」とはっきり断る

上司も人間ですから、連絡しやすい人もいれば、連絡しにくい人もいます。

自分に逆らわない人、自分を攻撃してこない人、自分の要求を聞いてくれる人を選んで連絡をします。

つまり、あなたに業務外の連絡がくるということは、「あなたには連絡をしてもいい」と上司が判断しているということです。

「無視したり断ったりできれば、こんなに苦労していない!」と思う人もいるかもしれませんが、この2つは、そんな人にこそ試してみてほしい方法です。

このように思うのは、これまで上司の指示を我慢して受け入れてきた人だからです。この状況から抜け出すためには、連絡をしやすい人から「連絡をしにくい人」に変わるしかありません。

365日働き続けられないからこそ、休日があります。24時間働き続けられないからこそ、業務時間が定められています。

業務時間外や休日は、心と体を休めるために必要な「自分のための時間」です。

退勤後や休日に、上司からの要求を断るのは悪いことではありません。

無視したり断ったりすることは、今の自分に必要なことなのだと思ってみてくださいね。

取引先からLINEの交換を求められたら教えなければいけないのか

取引先の人から、LINEの交換を求められることがあります。

仕事専用のスマホが支給されているならまだしも、「プライベートで使っているスマホでLINEを交換するのは嫌だなぁ」と感じることもあるでしょう。

この状況であなたが優先すべきは、自分の本音です。

教えなくてはいけないのかと悩むなら、「この人にLINEを教えたくない」というのがあなたの本音です。親しくなりたいような素敵な相手なら、悩むどころか「やった!」と嬉しくなるはずです。

相手が苦手なタイプの人だったり、対応が面倒だと感じたり、プライベートと仕事を分けたいという人もいるでしょう。

ですが、教えたくない理由がなんであれ、あなたが教えたくないと思うなら、教えなくていいのです。

「仕事上のやり取りをしたいだけなのに」と、取引先から不満を言われることもあるかもしれませんが、プライベート用のスマホでLINEの交換をしてしまうと業務時間外にも連絡されかねません。

土日祝日関係なく仕事の連絡が来たり、業務に関係ないプライベートなメッセージがきたりする可能性もあります。

相手への罪悪感や申し訳なさから断れないような時には、「仕事上のやり取りだからこそ、普段業務で使っているツールでやり取りした方がいい」と考えてみてくださいね。

しつこくLINE交換を求められたら

断ってもしつこくLINEを聞かれることもありますが、そのような相手とは、なおさらLINEを交換すべきではありません。

SNSのモヤモヤとの上手なつきあい方

そういった人の多くは、仕事上の理由からではなく、あなたへの好意や興味からLINEを交換しようとしているからです。

事実、「仕事に全然関係のないプライベートなメッセージばかり来て困る」という相談が後を絶ちません。

仕事上の相手だからこそ、プライベートなLINEの交換は断ってもいいのだと、自分の決断を信じてください。

相手に気を遣って仕方なくLINEを交換して、その後トラブルになる方が大変ですから。

断るのは気が引けるかもしれませんが、「後で大変な思いをするよりもいい」と自分に言い聞かせてみてくださいね。

(Poche : 心理カウンセラー)

ジャンルで探す