就活で成功掴む「学生生活」の効果的な過ごし方

安井元康 社会人 働き方 学生

就活での成功、キャリア成長を図るために、学生時代にできることとは?(写真: tabiphoto / PIXTA)

→安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

今年大学に進学した者です。よろしくお願いします。将来の就職や、その後の仕事での成長を見据えて、学生のうちにやっておくべきことについて教えてください。大学への期待はあるものの、やはり漠然と学生生活を過ごしてしまうと、就職やその後のキャリア成長があまり見込めないような気がしています。
そこでたんに授業に参加するだけではなく、プラスアルファを図りたいのですが、どういった分野に注力するべきでしょうか。差し支えなければ、ご自身の体験も含めて教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
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社会人になるための基礎体力をつける

将来目指したい特定の職業や、理想とする姿などがない学生にとって、大学生活とはその後の人生を模索するための試行錯誤の時期です。

同時に、大学生活とは、いわば社会に出るための準備期間ですから、社会人になるための基礎体力をつけておく、ということが大切です。

目指したい・またはなりたい特定の職業があるのであれば、1日でも早く予備校に通うなどして、そのための準備を開始したほうがよいでしょう。

そういったケースでは、準備自体や職業に就くための前提条件は早い段階で済ませて、その後はインターンなどで、実体験を増やしていくことが大切です。

とはいえ、誰もがそのように、特定の目指したい何かを学生のうちに持てるわけではありません。

そしてそのようなケースでは、その特定の何かをどうやって早く探せるかが、重要になってきます。

社会に出る、ということは職業に就く、ということとほぼイコールですから、「仕事をしている自分」をリアルにイメージしながら、準備をする必要があります。

学生生活や教育の現場では、実業界と密接に触れ合う機会があまりありませんから、授業を通じた勉強だけではなく、「社会を知るための課外活動」として、自分自身で行動したほうがよいでしょう。

バイトやインターンを通じた経験、実際に働いているヒトの話を聞く、予備校などの説明会や、セミナーへの参加など、自分でできる範囲で、実際の職業に触れてみる、ということを積極的に行うとよいと思います。

同時に、自分自身の知的好奇心の探求、興味のありどころを探るべく、さまざまな分野の勉強に精を出し、自分はどんな事に向いているか、興味があるか、または反対に嫌いか、などを突き詰めてみましょう。

実体験にせよ、勉強にせよ「とりあえずいろいろとやってみる」ということです。

これは、いろいろと経験を積む、ということとイコールです。

学生が職業選びで悩む理由

なぜ学生は、職業選びで迷うのでしょうか。

それはリアルな職業や、仕事に対する経験や知識がないからです。

経験や知識があれば、何かしらの判断基準に基づいて物事の良し悪し(この場合は、仕事の良し悪し)を自分なりに判断し、決断をくだすことができますが、そうではない場合は、まずは経験と知識をどんどん増やして、意思決定のためのリアルな情報を積み上げましょう。

そのようにして、自分なりの職業観や人生観を持つことができれば、後は自分自身が人生やキャリアにおいて目指すべき理想の姿や方法論に沿って、準備を進めればよいのです。

そのような模索期間を、できれば1、2年で終えて、残りの2年間は夢への第一歩を踏み出すための準備に充てたいものです。

それに応じて、勉強する対象も変えたほうがよいでしょう。

ここでいう勉強とは、学校生活における授業を通じた勉強だけではなく、予備校での勉強など、自分自身が社会に出て戦うための、知識を得るための課外活動としての勉強を含みます。

ちなみに私自身は、そういった初期の段階、つまり模索期間においては、どんな職業においても必要となる社会人としての基礎知識(と勝手に自分が思っていた)である英語と会計とパソコンスキルを身に付けることに注力していました。

こうなりたいという対象がないからこそ、いずれにしても必要となる社会人としての必修科目を先にやっておこう、という感覚です。

詳細は『「学歴なんて関係ない」はやっぱり正しい』などの拙著をご参照いただきたいですが、例えば英語の勉強には1日3時間を費やす、など、徹底的に、そして真摯に取り組むわけです。

私の場合は、パスポートすら持っていない、つまり海外経験ゼロにして、大学2年生のときに初めて受けたTOEICでは900点という点数を獲得することができました。基礎体力をつけるという意味では、合格だったと言えるかと思います。

そういった人生設計の模索期間や準備期間を経て、自分なりの職業観や人生観を持った後は、その設計に沿って、今自分がやるべきことを粛々とこなす、という期間に入るのです。

詳細は前述の拙著などに譲りますが、私の場合は35歳までと、それ以降で人生を区切って考えていましたし、教育システムが整っていないであろうベンチャー企業からのスタートを想定していましたから、それに合わせた準備をしました(例えば大学3年生のときに、海外大の経営学部に1年間交換留学に行きました)。

自分の目で見て・体験することが大切

いずれにしても、大切なことは、まずはキチンとした試行錯誤を経る、という点です。

キチンとした試行錯誤とは、自分自身の目で見て、体験して、勉強したうえで、リアルな情報をもとに試行錯誤することです。

また聞きや、曖昧な情報を鵜呑みにして「わかったつもり」「知ったつもり」で「なんとなく」流されるだけでは、キチンとした試行錯誤とは言えず、その後絶対に苦労します。

キチンとした試行錯誤を経た、しっかり練られた人生設計であれば、苦労や困難にぶち当たっても乗り越えることができます。

なぜならば、そういった決断は誰かから与えられたり、言われたからではなく、自分自身の判断によるものだからです。

そういった決断は、その後のリアルな行動にもつながります。

例えばですが、大学時代に私の周りには「将来MBAに行く」と言っている人は数十人はいたと記憶していますが、結局実際に社会に出て、その後MBA留学及び取得をしたのは私を含む2人だけでした。

その差はどこにあるのでしょうか。

それは自分自身で考えたリアルな人生設計や、キャリア設計を有していたか否か、つまりキチンとした試行錯誤を経たか否か、だと思っています。

キチンと人生設計を練ったうえで、なぜMBAが必要なのか、それをどう将来役立てるのかを考えていたか、それとも漠然と「行きたいな」、「仕事で活躍しているヒトが取得しているようだから、自分も取得したい」といった発想で捉えていたか、の違いです。

周りや流行に流されていただけか、キチンと自分自身の頭で自分事として考えていたかの違いだとも言えます。

やることや目標を自ら設計する

キチンとした試行錯誤を経た、リアルな自分オリジナルのキャリア観や人生観を持つことができれば、それは必ずその後の行動につながります。
ですから、まずは早い段階でそういった試行錯誤を経てもらいたいのです。

繰り返しですが、漠然と学生生活を過ごすのではなく、アクティブに自分から行動し、チャンスをとりに行くことが大切です。

学生と社会人の大きな違いは、やることや目標を誰かが与えてくれるのか、それとも自分で設計するのか、だとも言えます。

そうであるからこそ、その最初の第一歩として、大まかでもいいので、自分オリジナルの人生観や職業観を持つようにしましょう。

そのような考え方で、IMさんが実りある学生生活を過ごされるであろうことを応援しております。

(安井 元康 : 『非学歴エリート』著者)

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