最新版「ROEが改善する企業」ランキングTOP50
インフレの高止まりリスクが意識される中、米欧で利上げが継続し、景気を取り巻く状況には不透明感が増してきている。さまざまな業種で事業環境に逆風が吹く事態も想定されており、株式市場では経営の効率性を重視した銘柄選別が一層進む可能性がある。
そこで今回は、3月17日(金)に発売した『会社四季報』2023年2集(春号)に掲載のランキングから、「ROE(自己資本利益率)改善度ランキング」の一部を紹介したい。
ROEは企業の自己資本(純資産)に対する当期純利益の割合で、投資家が投下した資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを示す指標だ。
ここでは、本決算が発表されて間もない12月期決算企業の中から、3年前の実績ROEとの比較で2023年12月期の予想ROE改善度が高い企業に注目し、ランキングを作成した。
条件として3年前決算期のROEが0%以上、直近自己資本比率が35%以上、今期予想の経常利益が純利益より大きい会社を対象にしている。
コロナ影響が一巡しROE急上昇
ROE改善度でトップになったのは、体育会学生向け就活サイト「スポナビ」運営のスポーツフィールド。2023年12月期の予想ROEは56.4%で、2020年12月期のROE3.9%からを52.5ポイント向上する見通しだ。
同社は2010年に設立、2019年12月上場の新興企業で、上場直後のタイミングで本格化したコロナ禍の直撃を受けた。新卒向けの大規模イベント中止などが響いて業績が低調に推移していたが、その後はコロナ禍の影響が薄れるにつれてイベント開催数などが徐々に増え、企業の採用意欲も持ち直してきたことがROEの急上昇につながっている。
2位には人材紹介中堅のJAC Recruitmentがランクインした。2023年12月期はROEが3年前比で22.8ポイント改善する予想だ。
同社もコロナ禍で顧客企業の間に採用抑制の動きが広がって業績が悪化したが、その後は国内外で次第に事業環境の改善が進んだこともあり、成長軌道に復帰した。
前期の純利益は3期ぶりに過去最高を更新、2023年12月期も連続最高益を見込み、好業績が継続している。今期は国内で地方の案件を増やして、事業の拡大を狙う事業方針だ。
上位には人材系とIT系が目立つ
3位のコアコンセプト・テクノロジーは製造業、建設業などに向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービスとIT人材の調達支援を展開する。2023年12月期は予想ROE38.7%と、3年前から19.2ポイントの改善を見込んでいる。
同社も人材系企業の側面があるものの、コロナ禍で活況となった企業のクラウド活用などのDX需要を享受して業績を伸ばしてきた点が、1位、2位の企業と異なっている。
2021年9月の上場から売り上げ、利益ともに着実に伸ばしており、成長期待が高い企業の1つと言えるだろう。
さらに4位にはデジタルマーケティング支援のアライドアーキテクツ、5位に医療機関、製薬向けにデータのネットワーク化などを手がけるメディカル・データ・ビジョンとIT企業が続いた。
コロナ禍でダメージを受けたところから復調してきた人材系と、コロナ禍にあっても需要が堅調だったIT系が上位には目立つ形となったが、それ以外の業種も多数ランクインしている。
今期やその先にも期待できそうな企業をいち早くチェックするのに役立ててほしい。
(本記事は「会社四季報オンライン」でも配信しています)
(山田 泰弘 : 東洋経済 記者)
03/17 06:30
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