閉店続く「自治体アンテナショップ」実は穴場な訳

自治体アンテナショップが閉店するというニュースが続いている。

予兆は確かにあった。“アンテナショップの聖地”である有楽町・東京交通会館内に構えていた「むらからまちから館」が閉店したのは2022年6月のこと。1995年から日本で唯一の全国物産館として地域特産物を扱ってきた同店は、筆者も愛用の店だっただけに衝撃だった。アンテナショップ事業は、儲けが最優先というより自治体PRの目的が大きく、閉店はないだろうと高をくくってきたからだ。

「ぐんまちゃん家」など数店が閉店

しかし、世の中そう甘くはない。2022年の年末には群馬県アンテナショップ「ぐんまちゃん家」の閉店が大きく報道され、見聞きした人もいるだろう。原因となったのは、やはり「コロナ」である。

東京都内にあるアンテナショップは、2022年度4月1日時点で67店舗。うち独立型店舗が59店あるが、2021年度の62店舗から2店増えたものの5店舗が閉館・休館し、純減となっている。

2008年に36店舗だったのがどんどん増えてピークの2020年には81店になったが、今こうして減少に転じているのは、コロナになって入館者と売り上げが減少したことが大きい。

2022年12月30日で閉店した群馬県アンテナショップの「ぐんまちゃん家」(画像:ぐんまちゃん家公式ツイッターより)

加えて飲食スペースを備えている店舗では、時短営業や酒類の提供禁止もマイナスに働いた。多くのアンテナショップが集まる有楽町や銀座・日本橋は、決して賃料が安い立地ではない。自治体が主体となり、地元PRのため儲けは二の次……と頑張ってきたのだろうが、それにも限界があったということか。

足元では徐々に入館者数や売り上げは回復しつつあるといい、アンテナショップファンとしてはこれ以上の閉店が続かないことを祈りたい。その応援の気持ちを込めて、「オトクな利用法」を紹介したい。

メリット1:お手頃価格で地酒が買える

地方を旅すればわかるが、全国には実に多くの蔵元がある。しかし、そこで造られる日本酒は、東京都内の大型店舗で目にすることはほとんどない。都市圏への流通ルートに乗せられるほどの出荷数を確保するのは難しく、地元で消費されるのが通常だと関係者に聞いたことがある。そのため、一部のブランド日本酒のような高額な値段がつくことは少ない。地元のお客が買いやすい手ごろな価格でなければならないからだ。

多くのアンテナショップでは、こうした日頃手に入りにくい地酒が並んでいる。初めて知る銘柄も多いが、近所の酒屋では買えない酒ばかりだ。しかも、四合瓶で1000~1500円台と手ごろな価格帯のものも多い。

筆者は酒を手土産にする際には、だいたいアンテナショップで探す。せっかくなら渡す相手の出身地やなじみがある土地のものを選びたいからだ(九州以南のショップでは焼酎を選ぶことも多いが)。

飲み比べが体験できる表参道・新潟館ネスパス(写真:新潟館ネスパスのサイトより)

中には、「表参道・新潟館ネスパス」「日本橋とやま館」「ひろしまブランドショップTAU」のように、併設のバーで日本酒の飲み比べセットを試せるところもあり、味を確かめてから選ぶのもいい。

日本酒だけではなく、ワインの品ぞろえが充実しているアンテナショップもある。「Cave de ワイン県やまなし」「銀座NAGANO」で、とっておきの1本を探すのもいい。銀座NAGANOのバルカウンターではワインのチョイ飲みもできる。

メリット2:ご当地にかけた会食に最適

アンテナショップの中には食事処やレストランを併設している店舗もある。その自治体の産直野菜や海産物を使っているので、会食の場としても時々利用している。

コロナ以前だが、プロ野球ファンとの集まりに「ひろしまブランドショップTAU」のレストランを選んだこともあった。もちろん、広島カープに引っ掛けてのことだ(なお、カープグッズもショップで扱っている)。

九州出身の人との会食に「かごしま遊楽館」のレストランで、黒豚コースをいただいたことも。店があまりに多すぎる東京では、飲食店選びは頭が痛いものだ。発想を変えて、「ご当地」をテーマにアンテナショップのレストランを使うのも面白いのではないか。

気楽にランチに使える店も。「香川・愛媛せとうち旬彩館」では550円から本場の讃岐うどんが味わえ、平日はビジネスマンの姿も多い。先の広島ショップには広島お好み焼きの店も入っている。ランチに本格ご当地グルメというのも悪くない。

メリット3:野菜も工芸品も安く買える、かも

アンテナショップで販売される食品には加工品や調味料類が多いが、たまにその地域の産直野菜が並ぶことがある。スーパーと違って野菜を保存する設備はないので、売り切り御免だ。運よく値下げのタイミングに当たると、かなり安く買える。

あるアンテナショップで、訳アリ食材が並んだこともあった。甚大な自然災害で農産物が被害を受け、傷がついたなどの理由で通常では出荷できなくなった野菜などだ。価格が抑えられているというだけでなく、支援の気持ちも込めて購入したものだ。

特産品は食品ばかりではない。いくつかのアンテナショップでは、その土地ならではの工芸品を展示・販売している。伝統工芸品というと専門店やデパートで買う高級品のイメージだが、これまで見た中ではアンテナショップ価格のほうが安いと思われるものも見つかった。

しかし、売り場は店内の片隅にあるため、あまり気づかれていないようだ。とあるアンテナショップで地元産真珠のアクセサリーを展示していたのだが、どう見ても街中のアクセサリー店とは金額が違う。アクセサリーはブランドによって価値がぐんと上がるので、単純に高い安いは言えないが、自分が買うならそのアンテナショップの真珠で満足だった。「照り(光沢)」も「巻き(粒の大きさ)」も実にいい。人気が出ると困るので、申しわけないがどこのショップかは内緒にしておく。

メリット4:観光案内パンフレットをもらわない手はない

筆者は旅行に行く前に、東京のアンテナショップでパンフレット類を調達する。ネットを介してどんな情報も手に入る世の中だが、検索ではヒットしないマイナーなものもまだまだある。そんな“知る人ぞ知る”情報こそ、地元自治体がアピールしたい隠れ観光資源だったりするのだ。

ネット検索でいちばん上に上がるようなメジャーな観光地はもう行き飽きたという人は、ぜひ一度アンテナショップに並ぶ観光ガイドを眺めてほしい。映画のロケ地を集めたパンフレットなども見つかる。現地での移動に使えるオトクなフリー乗車券のチラシに遭遇することも。

全国旅行支援もリスタートし、2023年は観光に出かける機会も増えるだろう。店によっては観光の相談に乗ってくれるカウンターも。これらのサービスがすべて無料というのもありがたい。

入館者数はコロナ以前に戻るか

「2022年度 自治体アンテナショップ実態調査報告」(一般財団法人地域活性化センター調べ)によると、2021年度で年間売上額が最も多かったのは「北海道どさんこプラザ」(7億円以上10億円未満)。次いで、「ひろしまブランドショップTAU」「表参道・新潟館ネスパス」「銀座わしたショップ(沖縄)」(5億円以上7億円未満)の3店舗、「いわて銀河プラザ」「宮城ふるさとプラザ」(4億円以上5億円未満)がその後に続く。

売り上げトップ、北海道どさんこプラザの店内(画像:北海道どさんこプラザ有楽町店公式FBより)

年間来館者数が最も多いのも「北海道どさんこプラザ」だが、それでも2020年度と2021年度ともにコロナ拡大前の200万人以上(2019年)に届かなかったという。アンテナショップファンとしては寂しい限りだ。

なお、冒頭に書いた東京交通会館内「むらからまちから館」の跡地には、2月から沖縄のわしたショップが移転してくるようだ。かなり広いスペースなので、どんな店舗になるかわくわくする。沖縄旅行を予定している人には、ぜひ出発前の情報収集に覗いてみることをお勧めしたい。

(※アンテナショップの取り扱う商品やサービスは店舗形態・規模等によって異なり、文中とは異なることがあります)

(松崎 のり子 : 消費経済ジャーナリスト)

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