YouTube「ゲーム実況」物議醸す動画の典型特徴

ゲーム実況動画の注意点は?(写真:polkadot/PIXTA)
コロナ禍でYouTubeなどの動画を配信する芸能人や個人、企業が増えました。再生回数を増やし、YouTuberになった人もいる一方で、動画を配信する際のリスク、法律や規約について知らないまま配信している人も多いのではないでしょうか。
IT業界を知り尽くした弁護士の河瀬季さんが日々受ける相談、遭遇する問題をもとにQ&A形式で読みやすく解説した新刊『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』から一部抜粋、お届けします。
今回はゲームチャンネル系YouTuberタカヒロくんが注意点について聞いています。

保護者の監視があれば子どもも利用可能

Q:YouTubeを利用したゲーム実況動画の場合には、どんなことに気をつければいいのでしょうか?

A:YouTubeを利用できるのは13歳以上となっていますが、親または保護者の監視があればあらゆる年齢の子どもが利用できます。

特に、操作するキャラクターの視点でゲーム内を移動して戦うFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)が人気となり、第三者視点のTPS(サードパーソン・シューティングゲーム)に迫るものとなって、『コール・オブ・デューティ・シリーズ』や『バトルフィールド・シリーズ』のような家庭用ゲーム機でプレイできるコンシューマーゲームが、ゲーム実況動画の中で大きな割合を占めるものとなったこともあり、現在のゲーム実況動画のユーザーは、未成年者が中心と言えます。

これは当然YouTubeも把握しているので、利用規約の中でも、「子どもの安全に関するポリシー」が重要となります。

YouTubeには、「利用規約」と「コミュニティガイドライン」と「YouTubeのポリシー」という3つの「規約」が存在します。「YouTubeのポリシー」の1つに「子どもの安全に関するポリシー」があります。

具体的には、下記のようなことが禁止されています。このポリシーは、動画、動画の説明、コメント、ストーリー、コミュニティ投稿、ライブ配信、再生リストなどの、YouTubeのサービスや機能に適用されます。これらは、18歳未満の未成年者の心と体を危険にさらすコンテンツとされ、許可されません。

1.未成年者の性的対象化
2.未成年者が関与する有害または危険な行為
3.未成年者に精神的苦痛を与えること
4.家族向けコンテンツのように見せかけるコンテンツ
5.未成年者が関わるネットいじめや嫌がらせ

性的なコンテンツには注意する

Q:ポリシーに違反すると、どうなるのでしょうか?

A:ポリシーに違反しているコンテンツは削除されます。初めての違反の場合には、事前警告を受けるだけで、チャンネルに罰則が適用されることはあまりありませんが、2回目以降は、チャンネルに対して違反警告が発行されることがあり、90日以内に違反警告を3回受けると、そのチャンネルは停止されます。

違反が繰り返し認められる場合、チャンネルやアカウントが停止されることがあります。また、悪質な不正使用が一度でも行われた場合や、ポリシー違反をチャンネルの主な活動としている場合も、チャンネルまたはアカウントが停止される可能性があります。チャンネルやアカウントが停止されると大変ですから、注意が必要ですよ。

他にも、「ヌードと性的なコンテンツに関するポリシー」にも注意してください。性的なシーン、ビデオゲーム、音楽などの、現実世界のコンテンツまたはドラマ化されたコンテンツは許可されていないので、暴力的、生々しい、あるいは侮辱的なフェティッシュを投稿すると、コンテンツが削除されたり、チャンネルが停止されたりすることがあります。

そうした内容が含まれない場合にも、年齢制限を設けることがあります。コンテンツに年齢制限を設けるか、コンテンツを削除するかを決定する際には、下記のような点を考慮します。しかし、「ヌードと性的なコンテンツに関するポリシー」に違反する可能性があると思われる場合には年齢制限を設けるか、コンテンツの投稿をやめておくほうがいいです。

1.衣服で覆われた、または露出した乳房、臀部、性器が動画の中心であるかどうか
2.動画の登場人物のポーズが、視聴者の性的興奮を引き起こすことを意図したものであるかどうか
3.生々しい言葉やみだらな言葉が動画で使用されているかどうか
4.衣服(ランジェリーなど)が公共の場で一般に受け入れられるものであるか
5.性的な画像や音声が不鮮明、不明瞭になっているかどうか

「誤BAN」とは何ですか?

Q:チャンネルやアカウントの停止に関して、「誤BAN」ということがあると聞きました。「誤BAN」とはどういうことでしょうか?

A:YouTubeでは、暴力的な映像や性的な内容が含まれると広告掲載がNGとなるほか、最悪の場合はチャンネル閉鎖やアカウントが停止されることもあり、これがいわゆる「BAN」された状態です。

「誤BAN」とは、YouTubeの規約に違反するようなことは何もしていないのに、突然、チャンネル閉鎖やアカウント停止が行なわれることです。

2022年5月に、有名VTuberがTwitter上で「YouTubeのチャンネルをBANされた」と公表しました。同チャンネルでは、特に問題となるような内容の配信はなかったのですが、「性的で重大な違反」としてBANされたということです。

当該のVTuberは、「配信中に性的なコンテンツのスパムを3秒間で10件ほど送りつけられたことが原因」と発言しています。悪意のある者がコメント欄に性的なコンテンツを大量に送り付けてきたことで、YouTubeに「性的で重大な違反をした」と判断され、BANされてしまったというわけです。

同様の事態は、他のVTuberにも生じており、チャンネル登録者のみがコメント投稿できるように設定していたにも関わらず、複数のアカウントから大量のスパムや性的なコメントが投稿されてしまった結果、「誤BAN」された例もあります。

もちろん「誤BAN」されたVTuberたちは、YouTubeに対して停止措置解除の異議申し立てを行い、ほとんどのアカウントが復活しています。こうした「誤BAN」にも、注意しなければなりません。

Q:年齢制限というのは、どのようなものですか?

A:18歳未満の視聴者にふさわしいとは言えないとされるコンテンツもあります。そのような動画には年齢制限が設定され、動画、動画の説明、カスタムサムネイル、ライブ配信などのYouTubeのサービスや機能に適用されます。「コミュニティガイドラインの適用」の「年齢制限のあるコンテンツ」に記載があります。年齢制限の対象になるのは下記になります。これらには注意しなければなりません。

1.子どもの安全
2.フェイクであっても、あまりにリアルで視聴者には見分けがつかない有害ないた
ずら動画
3.挑発的なダンスや愛撫などの、性的な活動を誘発する動画
4.交通事故の生存者のけがを映したコンテンツを含む動画
5.下品な言葉

1には、爆発物の取り扱いやけがにつながるチャレンジなど、危険なアクティビティに成人が参加している内容を含む動画が含まれます。

2には性的内容を示唆するコンテンツが含まれます。

3には、登場人物が視聴者の性的興奮を引き起こすことを意図したポーズをとっている動画や暴力的で生々しいコンテンツが含まれます。

4には、映像またはビデオゲームの中で最も刺激の強い暴力シーンのみが強調されているなど、暴力や残虐行為の画像を中心とする動画が含まれます。

5には、タイトル、サムネイル、関連付けられたメタデータに非常に冒とく的な表現を含む動画が含まれます。

年齢制限されるコンテンツは収益化が制限される

Q:コンテンツに年齢制限が設定されていると、どうなるのでしょうか?

A:18歳未満の視聴者は、年齢制限が設定された動画は視聴できません。また、多くのサードパーティ(第三者)のウェブサイトでは年齢制限が設定された動画は視聴できません。埋め込まれたプレーヤーなど、別のウェブサイトで年齢制限が設定された動画をクリックすると、YouTubeやYouTubeMusicにリダイレクトされ、その後、18歳以上でログインした場合だけ、コンテンツを視聴できることになっています。

IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください (単行本)

コンテンツがどこにあったとしても、YouTubeがホストする動画は適切な視聴者しか視聴できないようになっているのです。

もし年齢制限が設定されるような過激な動画ばかりを投稿していたとしても、YouTubeのポリシーに違反していないのであれば、問題とされることはないかもしれません

が、ほとんどの広告主は、ファミリー向けコンテンツや過激な内容を含まないコンテンツに広告を掲載することを好みます。そのため、年齢制限が設定された動画では、広告による収益化が制限されるか、一切行われなくなる可能性があります。

(河瀬 季 : モノリス法律事務所代表弁護士)

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