田舎移住憧れる人に絶対試してほしい傑作ゲーム

田舎で牧場や農業を営むゲームとして最高峰といえる『スターデューバレー(Stardew Valley)』の魅力を解説します(画像は任天堂公式サイトより)
「テレビゲーム」は子どもがやるものと思われがちですが、書籍や映画ともまた違う独自のシリアスな、あるいはユニークな作品が多数あります。その魅力は奥深く、大人の趣味として楽しめるほどに成熟しているといっても過言ではありません。
そこで、この連載では、ゲームの評論やコラムを10年以上書き続けているゲームライター、いわばゲームを遊ぶプロである渡邉卓也氏が、ゲーマーからは人気でも一般的にはあまり知られていないであろう著名な作品や傑作を紹介します。
第10回は、田舎で牧場や農業を営むゲームとして最高峰といえる『スターデューバレー(Stardew Valley)』を取り上げます。
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2000万本以上売り上げた牧場経営ゲーム

都心で暮らしている読者の方は「田舎でのんびり暮らしたいな~」と考えたことはあるでしょうか。確かに都会はせわしないうえに一生懸命働かなければならず、なかなか楽ではないですよね。

今回紹介する『スターデューバレー』の主人公もまさにそんな人物です。都会の大企業で働いていた主人公はブラックな仕事に疲れ、祖父が残した古い農場を継ぐために「スターデューバレー」へ向かうのです。

本作は2016年2月に発売されたゲームですが、その後もさまざまなアップデートが行われ、各種ゲーム機のみならずスマホでも遊べるようになっています。かつて日本から生まれた『牧場物語』シリーズに影響を受けている牧場経営シミュレーションなのですが、むしろ本家を超えてジャンルの代表作になったといえるほどのゲームです。

本作は記事執筆時点で2000万本以上の売り上げを記録しており、評論家およびユーザーからの評価もかなりのもの。多くの人が楽しめるジャンルなので、とくにイチオシの一作となっています。

画像は任天堂公式サイトより

『スターデューバレー』はシアトルを拠点とするゲーム開発チーム「ConcernedApe」によって制作された作品です。自分の牧場を好きなように経営しつつ田舎暮らしをするゲームで、できることはとにかくたくさんあります。

祖父が残した土地は荒れに荒れているため、道具をそろえて開拓していくのもいいでしょう。木を切って石を取り除き、小屋を立てて牛や鶏を飼うのはもちろん、季節の野菜や果物を育てることもできます。

手に入れた農産物は売ることもできますし、自分で料理することも可能です。木材や石を集めて柵を作って配置したり、ハチの巣を作ってハチミツをとれるようにしたり、スプリンクラーを作って農作業の効率化も図れます。また、肥料や爆弾など仕事で使えるアイテムも作れます。

あるいは、ぶらぶらと歩いて季節の山菜やキノコを採取するのもいいでしょうし、川や海で釣りをするのも楽しいです。田舎だけあってさまざまな魚が住んでおり、身近なイワシから熱帯魚まで釣れますし、なかにはファンタジーな魚すらも存在します。

RPGの要素もあり、冒険も楽しめます。鉱山では鉄や水晶など貴重な鉱物がゲットできるのですが、一方でモンスターが出てくる危険な場所でもあるのです。剣や防具を作って戦うのもまた、田舎暮らしの楽しみ方の1つといえるでしょう。

結婚や子育て、ときには修羅場も

このほかにも要素は盛りだくさん。スターデューバレーでは季節ごとにお祭りなどのイベントが開催されますし、この地に住むキャラクターと交流もできます。キャラクターと親しくなれば結婚もできますし、仲よく日々を過ごしていれば子どもができるでしょう。あまりにもたくさんの人と親しくなってしまった場合は、修羅場が発生することも……。

また、ほかのプレイヤーと一緒に遊ぶマルチプレイも用意されています。ひとりで黙々と遊んでしまうタイプのゲームなのですが、みんなでプレイするのもいい思い出になることでしょう。

画像は任天堂公式サイトより

このように要素が盛りだくさんで、かつ間口の広い『スターデューバレー』は傑作と呼ばれるのもよくわかります。しかし1つだけ気をつけてほしいのが、本作は別に「スローライフではない」ということです。

具体的に考えてみてほしいのですが、田舎で牧場経営をする場合はどういう生活をすることになるでしょうか。朝早く起きて牛などの面倒を見て、畑の世話をして出荷作業などを行い、それが終わったら町の人と交流して、ついでに仕事で必要な道具を作ったり買い物をしたり……。そう、自給自足の生活はやるべきことが盛りだくさんです。

もちろん、それは本作のなかでも同じこと。プレイヤーはいろいろなことができるだけあって、ゲーム内の生活はめちゃくちゃに忙しいのです。おまけに主人公にはスタミナの概念があり、あまりに疲れてしまうと気を失ってしまいます。

画像は任天堂公式サイトより

田舎暮らしも楽ではないが「うれしい忙しさ」

初めて遊んだ人は、したいこと・すべきことが山盛りで驚くことでしょう。「ブラックな仕事に疲れて田舎に来たのに、むしろもっと忙しい……!」と、最初の1年間は効率化のためがむしゃらに働くことになるかもしれません。

まあ、夢のように語られる田舎暮らしも楽ではないということですね。もっとも、これは現実ではなくゲームの話。ゲームであれば遊ぶべき要素がたくさんあって、夢中になっていろいろなことをしているうちに時間が経っていく「うれしい忙しさ」なわけです。

このスローライフとは言いがたい田舎暮らし体験は、とにかくプレイヤーを熱中させてくれます。現実の仕事を忘れて牧場経営に没頭しないようにだけ注意してください。

画像は任天堂公式サイトより
・遊べるゲーム機:スマホ(iOS、Android)、Nintendo Switch、Xbox One、Xbox Series X|S、PC ※PS4版も発売されていましたが、記事執筆時点では購入不可能になっています。
・公式サイトはこちら

(渡邉 卓也 : ゲームライター)

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