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干渉しすぎる親に絶望した子に起こる3つの悲劇

1日に何回も同じことを言い続けたら子どもは…(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)
「勉強しなさい」「早くお風呂に入りなさい」「靴はそろえて脱ぎなさい」
親として、こういったことを言いたくなる気持ちはわかります。勉強すれば選べる学校の選択肢が増えますし、早くお風呂に入った方が寝る時間も早くなるからです。ただ、言い過ぎると「過干渉の子育て」となります。想像以上に子どもを苦しめてしまうので、注意が必要です。『ウチの子、最近、思春期みたいなんですが、親子でイライラせずに乗り切る方法、教えてください』の著者、道山ケイ氏が解説します。
前回:「親の愛情不足」感じる子に見えがちな3つの特徴(5月4日配信)

なぜ「過干渉」の子育ては子どもに悪影響なのか?

そもそも、過干渉とは何か。一言で言うと、干渉しすぎることです。たとえば勉強していない子に、「勉強しなさい」と1回言うのは過干渉ではありません。親子関係が良ければ、子どもは「へーい」「はいはい」と言いながらも、勉強するでしょう。

しかし、1日に3回も4回も言ったら、子どもはどう感じるでしょうか。私が子どもなら「うるさい」「わかっているから、これ以上言わないで」「言われると、余計にやりたくなくなる」と思います。もしお子さんがこんな気持ちになっていたら、さすがに言いすぎです。このように、子どもを干渉しすぎてしまう状態のことを「過干渉」と言います。

では、過干渉の子育てをすると、子どもにどういった変化が出てくるのでしょうか。主に次の3つが挙げられます。

①親子関係の悪化

過干渉の子育てをすると、子どもは親と会うたびに嫌なことを言われます。その結果、無意識で親を避けるようになります。部屋に引きこもって、ゲームばかりする状況にもなるでしょう。また、嫌なことを言ってくる親のことを、心の底から好きにはなれません。つまり、親子関係が悪化してしまうのです。

こうなると、子どもは悩みがあっても親に相談できません。学校でいじめられても、1人で苦しむしかなくなるのです。たまたま信頼できる先生がいれば、その人に相談ができます。しかし、そういった先生がいないと、いずれ学校に行くことができなくなるかもしれません。

②無気力になる

「卒業したら、○○高校に行きなさい」「部活は、○○部に入りなさい」さすがに、ここまで干渉してしまう方は少ないと思います。ただ、もし進学する高校や入る部活などについてすべて口出ししたら、子どもはどう感じるでしょうか。

私なら、「俺の人生は親が決めるもの。自分が好きなようにはさせてもらえない」と感じます。すると、自分の人生に希望を持てなくなります。本当は、高校で野球部に入って甲子園を目指したくても、それを許してもらえないからです。これでは、楽しい未来を想像できないですよね。この状態が続くと、子どもはどんどん無気力になっていきます。自分の意志で勉強する気にもなれません。

もちろん、経済的にどうしても私立高校に行かせられない家庭もあるでしょう。その場合「高校は、公立に行ってほしい」と伝えても大丈夫です。ただ、それ以外の条件は子どもに決めさせたほうが、勉強も頑張れるでしょう。

③激しい反抗期になる

子どものタイプによっては、激しい反抗期になることもあります。「俺の人生は、俺が決めるんだ。親に決められてたまるか」という反発心が出てくる子もいるからです。ひどい場合、「うるせえ」「だまれ」などの暴言を吐いたり、暴れて抵抗したりすることもあるでしょう。

このように、過干渉の子育てをすると、子どもだけではなく親の精神的な負担も大きくなるのです。

子どもに対して「何も言わない」のも問題

こういった話をすると、必ず来る相談があります。「道山先生、じゃあ親は子どもに何も口出ししてはいけないのでしょうか?」というものです。もちろん、そんなことはありません。むしろ、親として子どもに伝えないといけないこともあります。

私は子どもには次の3つはしてはならないこととして絶対に伝えたほうがいいと考えています。

(1)他人に「迷惑」をかけること

たとえば、子どもが電車の中で大きな音で音楽を聞いているとします。これは、周りにいる人に迷惑をかけていますよね。また、バスのいちばん後ろの席をすべて占領して寝ているとします。これも、他の人が座れなくなるので、迷惑をかけている行動と言えます。こういったことは、以下のように伝えましょう。

「音楽を聞きたい気持ちはわかるよ。ただ、静かに電車に乗りたい人もいるから、イヤホンで聞きなさい」

「眠たい気持ちはわかるよ。ただ、バスの椅子は横になって寝る所ではないから、座って寝なさい」

ダメな事はダメだと伝えないと、子どもは善悪の区別がつけられない人間になってしまうからです。ただ、いきなり否定すると反発するので、気持ちに理解を示した後で伝えましょう。

(2)法律やルールに違反すること

子どもが未成年なのに「タバコを吸いたい」と言ったとします。この場合も「タバコ吸っている人って、かっこいいよね。でも、未成年だから今は買えないよ。大人になったら、自分で買いなさい」と伝えましょう。法律に違反することを許してはいけないからです。また、制服で行かないといけない学校に、私服で行きたいと言ったとします。これも、学校のルールに違反しています。許してはいけません。

最近は、ブラック校則などが問題になっています。私も「さすがにこの校則はやり過ぎなのでは?」と思うこともあります。ただ、現時点で決まっているルールは、守らないといけません。集団で生活する以上、ルールを破る子がいると他の子に迷惑をかけるからです。どうしてもおかしいと思うルールがあるなら、先生と話し合いをしたり、生徒会役員になって校則改正運動を行ったりするなど、正しい改正の手順を伝えましょう。

(3)人を傷つけること

たとえば、お子さんが友達とケンカして、自分から手を出してしまったとします。この場合、まずは理由を聞きましょう。必ず、言い分があるからです。それを聞いたうえで、こう伝えましょう。「そんなこと言われたら、腹立つよね。怒りたくなる気持ちはわかるよ。ただ、自分から手を出すことは絶対にダメ」と。どんな理由であれ、人を傷つけてはいけないからです。

もちろん、相手から手を出してきて、こちらが手を出さないとケガをしてしまうような例外もあります(正当防衛)。しかし、ほとんどの場合においては、話し合いで解決することが大切です。これは、最近増えている言葉の暴力も同じです。

「親に対する暴言」も人を傷つけること

前述したように、過干渉の子育てをすると親子関係が悪くなります。子どもの気質によっては、親に対して暴言を吐くこともあるでしょう。暴言は、親を傷つける行動です。そのため、叱らないといけません。

ただ現時点で親子関係が悪いので、おそらく親がどれだけ「暴言はダメ」と伝えても子どもは聞いてくれないでしょう。これは、最も危険な状態です。なぜなら暴言だけではなく、法律に触れることなどを注意しても、聞いてくれない可能性があるからです。

実は過干渉の子育てをしてはいけないいちばんの理由は、ここにあります。つまり、親子関係が悪化してしまうと、本当に伝えないといけないことさえ、伝えられなくなってしまうのです。

子どもが勉強できなくても、お風呂に入るのが遅くても、靴をそろえて脱げなくても、そこまで大きな問題にはなりません。しかし、法律を破っていたら、さすがに問題です。状況によっては、警察の力を借りないといけなくなることもあるでしょう。これは親として、つらいことだと思います。

大事なことは子育ての順序を意識すること

だからこそ、過干渉の子育てをやめて、日ごろから良好な親子関係を作っておくことが大切です。これさえあれば、子どもが思春期であっても、本当に伝えたいことは伝えられます。すると、大きく道を外すことはなくなるのです。

また、子どもから「お母さん、学校でこんなことがあったよ」と言われるくらい良好な親子関係になれば、親の気持ちや考えもある程度は理解してくれます。その結果、「テスト前くらい勉強しておいた方が、受験の時に楽じゃない?」と言えば、「そうかな?まあ少しくらいやろうかな」となって勉強を頑張るのです。

「早くお風呂入ったほうが、寝る時間も早くなって起きるのも楽になるよ」と伝えれば、「そうだよね。今からお風呂入るわ」と言ってくれるかもしれません。つまり、大事なことは「子育ての順序を意識する」ことなのです。

ウチの子、最近、思春期みたいなんですが親子でイライラせずに乗り切る方法、教えてください!

三井敏子さん(仮名)のお子さん(中2)は、親が何を言っても聞かずゲームばかりしていました。塾もやめてしまい、勉強も全くしません。当時お母さんは「早く勉強しなさい」と言いすぎていました。つまり、過干渉の子育てをしていたのです。

そこで、いったん「勉強しなさい」と言うのをやめ、良好な親子関係を作るように意識されました。その後で、上手に動機づけをし、勉強のやる気を引き出しました。すると4カ月後、ゲームを我慢して勉強するようになり、5教科合計433点をとることができたのです。

三井さんのように、まずは過干渉の子育てをやめ、良好な親子関係を作る。それができてから、本当に伝えたいことから優先的に伝える(もちろん、言い過ぎはNGです)。もしくは、自然とやりたくなるような仕組みを作る(動機づけなど)。こうするだけで、子育てはかなり楽になります。

前回:「親の愛情不足」感じる子に見えがちな3つの特徴(5月4日配信)

(道山 ケイ : 思春期の子育てアドバイザー)

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