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就活を戦い抜いた学生が「後輩に伝えたい」心得

就活戦線を戦い抜いた先輩が伝えたいアドバイスとは?(写真:foly/PIXTA)

2021年ももうすぐ終わる。年が明けても寒さは続くが、春は近づき、3月1日の採用広報解禁がやってくる。2023年卒の就活本番だ。さて、ここで検証しておきたいのは、2022年卒の先輩たちが就活をどのように総括しているかだ。

HR総研は2021年6月に「楽天みん就」の会員を対象にした「2022年卒就職活動動向調査」を実施している。その中に、「後輩にアドバイスをするとしたら何をすべきだと伝えたいですか」という設問がある。この調査には多数の設問があるが、コメント数と文字数の最も多いのが、この「後輩へのアドバイス」だ。自分の経験を生かしてもらいたいという願いからだろう。

早く始めれば視野が広がる

コメントで最も目立つのが「早めに始める」というアドバイスだ。具体的には、3年生のインターンシップをスタート時期にするものが多い。

「3月のエントリー解禁から就活を始めると遅い。3月にはエントリーシートやガクチカ、研究概要、志望する企業リストなどを準備しておくべき」(理系・上位国公立大)

「早くから始めること。インターン選考のほうが絶対通りやすい」(文系・その他私立大)

「大学3年のうちにインターンに行くこと」(文系・中堅私立大)

なぜ早めに始めるべきなのか? それは早く始めれば視野が広がり、課題が判明するからだ。つまり、なすべきことが明確になる。

「早く取り掛かるべきだと思う。また、職種も早く決めてしまったほうが、その先の計画が立てやすい」(文系・中堅私立大)

「早めに始めること、早いうちに失敗し改善を繰り返すこと」(理系・上位国公立大)

とにかく「早め」が就活の鉄則。単位は3年前期までに大半を取り終え、卒論もできるだけやっておいて、SPIだけでなく資格の勉強もし、さらに入学時からESのネタづくりに励めという先輩がいるのだが、まるで就職予備校だ。

「できるだけ早めに就職活動を始めて早く慣れたほうが、気持ちが楽。インターンはたくさん参加すべき。3年前期で単位は取り終わるべき」(文系・その他国公立大)

「3回生には就職活動を意識し、行動を起こす。できれば大学入学時点で意識し、ESに書けるようなネタを作る」(文系・その他私立大)

「3回生からでも遅くないから、何か新しいことを始めて、面接で言えることを増やすべき。1年もあれば何か始められる」(文系・上位私立大)

勉学に励めとアドバイスする先輩もいる。学生の本分は勉学にあるから「励め」と言っているのではない。卒業しないと就職できないからだ。

「とにかく、大学の勉強を最優先すべき」(文系・上位私立大)

今回の後輩へのアドバイスは1755人が書いているが、大学での勉学を大事にすべきと書いた学生は1人だけだった。

「就職活動に力を入れるより、日々の学習や研究・課外活動を通じて学びを多く得るべき」(理系・上位国公立大)

「焦るな」「詰め込むな」

サマーインターンシップが登場した2010年代半ばでは、勉学を重視する学生はもっと多かった。現在は勉学より就職を重視する傾向があるが、かなり大きな要因はキャリア教育にあるだろう。

1年生からキャリア教育を実施する大学はとても多い。そして、3年生になると正式な就職ガイダンスがあり、就活スケジュールを教わる。6月にインターンシップの募集が始まり、夏休みにサマーインターンシップがある。ここからインターンシップは継続的に実施される。そして、年を越すと3月。就活本番だ。

絶え間なくネットから供給される情報と就活イベントに怯える学生がいる。追い込まれた心情はいろんな言葉に表れている。「もう後がない」「悔しい」「焦り」「つらい時期」。こういう焦りが道を間違えさせる。先輩は「焦るな」「詰め込むな」と教えている。

「焦りから早く始めすぎるのはよくない。インターンに行ったことで満足して燃え尽きてしまう。自分が本当に興味を持ったときに始めるべき」(文系・上位私立大)

「オンラインで移動がないからといって、説明会の予約を詰め込むのはやめたほうがよい」(理系・その他国公立大)

自分だけで行う就活の準備はまず自己分析だ。そして、自分軸を立てる。これが業界研究、企業研究、職種研究の起点になる。企業に対しESを提出し面接を受けるときにも自己分析で見つけた言葉が役に立つ。自己分析をいい加減にすると痛い思いをすることになる。

「自己分析の甘さから、3月にエントリーしていた会社はES選考の時点でほぼ全滅」(文系・その他私立大)

よく言われるのは、自己分析は自分だけでなく、友人や家族とやるべきというアドバイスだ。自分を知っている人の評価を知ることで、正しい自分像に近づけるというわけだ。自分ではわからないこともたくさんある。

自己分析は何回でも

自己分析は繰り返したほうがいい。多面的になるし、説得力が増す。

「自己分析は何回やってもいい。とくに志望する企業や業界が絞られてきてからもう一度やると、志望動機や入社後のビジョンに厚みが出て、面接で回答に窮することがなくなる」(文系・中堅私立大)

就活サービスを利用する手もあるが、最も利用すべきなのは自大学のサービスだ。キャリアセンターに行けば相談に乗ってくれるし、特定のキャリアカウンセラーを選べる。採用実績企業の実態にも詳しい。ESの添削も頼めるし、模擬面接も受けられる。またOB・OG名簿を利用して訪問することもできる。

「大学の就職支援サービスや添削サービスは、面倒だと思わず早めに受けるべきです!」(文系・その他私立大)

学生のコミュニケーション範囲は狭い。家庭や大学の親、友人、教師はすべて知り合いだ。見ず知らずの他人に連絡してアポを取り、訪問し会話をする。こういう行為が社会人への成長につながるはずだ。

実践的な準備の第一はオンライン対応だろう。人事へのオンライン対応に関する調査でも面接中の電波途絶や音声が切れるなどのアクシデントを指摘する声が多かった。かなりの確率でアクシデントは起こっているようだ。

「オンライン面接は、電波状況を快適にしておくことや、ライトやヘッドセットなどを購入して映りや音声を良くしておくことなど、準備に気を使うことも必要になってくる」(理系・早慶大クラス)

就活サイトへの登録は非常に重要なステップだ。登録すればさまざまな情報が自動的に得られる。近年はオファー型サイトも人気を集めているが、自己PRを書くこと自体が就活のトレーニングになる。そして、企業から連絡を得たことが自信につながったという学生はかなり多い。

「何でもいいから早めのタイミングで就活サイトに登録すること。オファー型のサイトにESや自己アピールを載せられるように取り掛かること。どんなことも堂々と落ち着いて話すこと」(理系・中堅私立大)

OB・OG訪問の活用法

OB・OG訪問にも工夫がほしい。その会話は面接での大事な武器になる。

「OB・OG訪問は性別をバラした複数人に行うこと。自分の就活の軸や志望動機との擦り合わせを行うよう、独自の質問を考える」(文系・早慶大クラス)

「社員と話せる機会をもらい、その経験を面接で具体的に話し、笑顔でハキハキ自信をもってしゃべれるようになれれば面接は受かる(これができないと落ち続ける)」(文系・旧帝大クラス)

ESに独自課題を提示する企業がある。この課題をいつでも読めると思っていたら大間違い。スクリーンショットで保存しておくとよい。

「ESに書くようなことや、企業ごとのマイページ上にESがある場合、スクショしてデータとして見られるように残しておいたほうがいい。提出してしまうと閲覧できなくなる」(文系・その他私立大)

面接で緊張し、しどろもどろになって落ちてしまう学生がいる。こういう学生は入室の段階でわかるらしい。オンライン面接でも表情と第一声を聞けばわかる。どのような対策をすればあがらずにすむのか? メンタルを切り替えればいい。前に座っているおじさん、おばさんは親戚、最近のことを聞かれている、と思い込むのだそうだ。要するに「深刻ぶらず」「気軽に」に行けということだ。

「面接は面接だと思わず、『親戚のおじさんとの会話』というスタンスで行ったほうがいい」(文系・早慶大クラス)

iPhoneが日本で発売されたのは2008年だが、2010年代に入った頃はまだスマホ中毒者は少なかった。サービスも今より少なかったし、携帯電話利用料金も高かったように記憶している。いまの社会はスマホに依存している。高齢者の一部に使っていない人がいるが、それ以下の年齢ならほぼ全員が使っている。なかには、幼稚園児でもスマホを使っている子がいる。

いろんな人がスマホを使っているが、学生は最もヘビーなユーザーだろう。就活でもスマホは大活躍している。

学生の中には、企業の採用ステップをネットで追い、友だちや他大学の学生情報を集めて気に病み、いら立っている者が相当数いるらしい。そういう口コミ情報を重視して、収集、公開して人気になっている就活サイトもある。そして、「就活ウツ」に陥る学生もいる。ただし、その情報が正しいかどうかははっきりしない。「SNSの就活アカウントの信頼性は低い」(理系・早慶大クラス)と断言する学生もいる。

相談して不安を薄らげる

間違った情報であっても、いったん読んだり聞いたりすると影響されるのが普通の人間だ。そこで先輩は、「情報に流されるな」と教える。流されないために最もよい方法は、「見ない」「読まない」「触れない」ことだ。

「SNSで周囲の友だちの状況を知り、気に病むくらいなら、SNSをすべてやめて、親友や家族に協力してもらいながらゆっくり着実に就活をしたほうがいいと思う」(文系・旧帝大クラス)

「周りに流されずに、焦らず、自分の思いを大切にして就活をしたほうがよい」(文系・旧帝大クラス)

スマホが普及する前は、ある情報がネットに掲示されているとしても読むためにはパソコンの前に座る必要があった。今よりアクセスが不便だったので情報はあまり拡散しなかった。ところが、スマホはどこでも使える。

SNSには刺激的な惹句があふれて、情報はすぐに拡散・共有される。そして、影響される。就活の成否で人生が決まると信じ込んでいる学生は、そういう情報に対して過敏になりすぎているように思える。

こういうネット情報の煽りやウソを中和する方法は、「人と話す」ことだ。一人ぼっちの就活は間違えやすい。親、友だち、先輩、先生、キャリアセンターと周りには相談できる人間がいるはずだ。話せば焦りや不安も薄らぐ。ネット上で見かけた情報が気になって仕方ないなら、大人に相談することをお勧めする。

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