「障害者雇用率が高い」トップ100社ランキング

ユニクロのファーストリテイリングは1000人以上を雇用(写真:© 2020 Bloomberg Finance LP)

障害者スポーツの世界最大の祭典、東京パラリンピックが紆余曲折はあったものの9月5日に無事終了した。日本パラリンピック委員会のホームページには、「大会を通じ共生社会の実現を促進することを目指しています」とある。同大会はコロナの影響で無観客になったものの、主にテレビを通じて多くの感動や一体感をわれわれに与えてくれたことは間違いない。

だが、真の共生社会実現はパラリンピックに出る一部の人たちだけが対象ではダメなことは明らかだ。ごく普通の障害者の方も生きがいを持って生活できる社会を目指していくべきだろう。

さて、9月は「障害者雇用支援月間」として指定されている。この時期に毎年発表しているのが障害者雇用率ランキングだ。今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2021年版掲載の1614社のうち2019年度に3人以上障害者を雇用している1061社を対象に作成した(『CSR企業白書』2021年版は600位まで掲載)。多くの障害者が活躍する会社をご紹介していこう。

トップは4年連続でゼネラルパートナーズ

ランキング1位は4年連続でゼネラルパートナーズとなった。雇用率は17.86%で人数は37人だ。障害者採用に特化した人材紹介や求人情報サービスを提供する同社は自社の雇用率でもトップとなった。うつ症状・統合失調症のある人を中心に菌床シイタケの生産・販売を実施。障害者雇用の拡大に貢献するため大阪府と「大阪ハートフル基金」の事業協定を締結。寄付中心に貢献もしている。

2位は上場企業ではトップの食品トレーや弁当・総菜容器最大手エフピコ。障害者雇用率は13.35%で人数も358人と多い。使用済み容器の選別工場や折り箱容器の生産工場を中心に、全国16カ所の事業所で雇用の機会を提供。取引先企業の障害者雇用のサポートも実施する。2020年度には障害者向けグループホームも開設し、活動の幅を広げている。

3位はエイベックスの10.00%(同24人、以下同様)。障害者の勤務場所としてバリアフリーのサテライトオフィスを確保し、バックオフィス業務を任せる。

障害者スポーツに特化した部署も設立し、障害者アスリートを積極的に雇用。国内外での大会、講演会等での企業広報活動も担う。雇用安定を目指し、カウンセラーも配置している。

4位はMRKホールディングスで8.62%(5人)。RIZAPグループの同社は女性用体型補整下着、化粧品、サプリなどを販売する。多様性を受け入れ、1人ひとりが活躍できる環境を目指し、障害者雇用にも積極的に取り組んでいる。

5位は工場用、建設土木用の搬送機器メーカーであるキトーの7.09%(36人)。障害者雇用5カ年計画を推進。障害だけでなく個性を重視した配属を行い、支援者・家族とも連携し職場定着に取り組んでいる。聴覚障害者への情報保障として手話通訳の派遣や支援機器の導入も行っている。

6位はワタミの6.58%(172名)。外食店舗での清掃や仕込み、宅食営業所での各種作業、「ワタミ手づくり厨房」での製造・荷受け・本社での事務などワタミグループの全国さまざまな施設で働いている。

7位は旧LITALICO(現LITALICOパートナーズ)と太洋基礎工業が5.26%で並んだ。

9位はファーストリテイリングで5.15%。人数は1105人と圧倒的だ。「1店舗で1人以上の雇用」を目指し、人事部内に障害者雇用の専任者を配置。国の認定資格を持つジョブコーチを中心に現場の課題に対応している。店長・地域正社員に対して受け入れ研修も実施。2013年から精神障害者雇用に力を入れ、山口本社で8人を採用している。10位はAOKIホールディングスの5.00%(6人)だった。

100位以内で最も人数が多いのは1340人

ランキング100位以内で最も人数が多いのは、42位パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの1340人(3.10%)。障害者のグループ採用窓口を開設。雇用条件を緩和・配慮しながら、障害者雇用関連機関との連携・協力を進め雇用拡大を目指している。

これに続くのが、59位セブン&アイ・ホールディングス1183人(2.96%)、9位ファーストリテイリング1105人となっている。

ちなみに101位以下も含めて雇用者数が最大だったのは日本郵政の7640人(2.51%)。ほかにヤマトホールディングス2718人(2.23%)、イオン1964人(2.34%)なども多かった。

続いて業種別の集計を紹介する(詳細は『CSR企業白書』2021年版に掲載)。こちらは2019年度の障害者雇用率を開示している1228社が対象。全体の平均は2.05%で2018年度の2.00%(対象1221社)から若干上昇した。

社数が10社以上で業種別雇用率の平均値が高いのは、小売業2.55%(89社)、陸運業2.42%(29社)、医薬品2.34%(29社)、化学2.29%(101社)、銀行業2.28%(40社)、食料品2.26%(51社)など。

一方で低い業種は、不動産業1.00%(32社)、倉庫・運輸関連業1.43%(12社)、証券・商品先物1.65%(11社)、情報・通信業1.77%(96社)、卸売業1.84 %(107社)などだった。

企業の法定雇用率は2021年3月から「2.3%」となった。業界全体ですでに2019年時点に達成している小売業などがある一方、不動産業といった大きく未達の業種も少なくない。

個別企業でもすでに2.3%以上の企業は421社存在する(『CSR企業白書』2021年版には600位まで掲載)。このように障害者雇用は業種、企業間で大きく差がつき始めている。『CSR企業総覧』の掲載企業はESG(環境・社会・ガバナンス)等の取り組みを進めていることが多いが、いまだに2.3%を下回っている場合は「後れている」と危機感を持ったほうがよい。

「令和3年版障害者白書」の推計によると日本の障害者は身体障害者436.0万人、知的障害者109.4万人、精神障害者419.3万人。複数障害保有者を重複することになるが単純合計では964万人と国民の7.6%が何らかの障害を持っている計算になる。

障害者は身近にいる存在で決してごく一部の人ではない。こうした中で国や自治体からの助成金やサポートを受けながら社会全体で障害者の活躍の場を作っていこうというのが障害者雇用の役割だ。

全員がパラアスリートのようにはなれない

仕事をして一定の収入を得ることで障害を持つ人たちに自信が芽生えるケースも多いという。すべての障害者が働けるわけではないが、可能な範囲で職に就くことは共生の第一歩になりそうだ。

個人的な話になるが、30年近く前に私の弟はバイク事故で障害者となった。その後、正規雇用に近い障害者雇用で働くことができ、結婚して子どもも育ててきた。当時両親は「これから1人の力で働いていけるのか」と心配していた。こうした不安は働く場所が得られ生活が安定していく中で徐々に減っていったようだった。

多くの障害者本人やその家族の方もひょっとすると私の両親と同じような思いがあるかもしれない。ただ、それは生活の基盤が安定していくと軽減される可能性も高い。

パラリンピックのスーパーアスリートたちは大きな感動を与えてくれた。しかし、障害を持つ普通の人たちが全員そうしたスターになれるわけではない。地味でもそれぞれの能力を生かして、生きがいをもって働いていける社会こそ「共生社会」と言えるはずだ。障害者が働ける場所はもっとあると考えられる。企業はそれぞれの職場で知恵を出し、今後もさらなる雇用拡大を期待したい。

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