投資信託に買われた日本企業ランキングTOP100

投資のプロが買い増した日本企業の特徴とは(写真:© 2018 Bloomberg Finance LP)

「老後2000万円問題」や先行き不安を背景に、投資を始める現役層が増えている。中でも注目されているのは国内外の投資信託だ。投資信託とは投資家から集めたお金を大きな資金にまとめ、運用の専門家が株式や債券に投資する商品。投資対象となる株式や債券の運用を指示する委託会社と、運用資産を保管、管理する受託会社に分かれる。

委託会社の顔ぶれは、野村證券など国内の証券会社、さらに世界最大の資産運用会社であるアメリカのブラックロックなど海外企業も含む。それらが、日本の信託銀行に管理事務を依頼して、日本企業に投資している。では最近、国内外の投資のプロが実際に注目し、買い増した日本企業はどこだろうか。

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『会社四季報』大株主調査は国内取引所に上場している企業の本決算、第2四半期末時点の最大30位までの株主情報を調査している。

今回、東証1部上場企業を対象に、2020年10月から2021年3月までの期間の調査と、昨年同期とを比較して、この1年で投資信託に買われた企業のランキングを作成した。

上位の顔ぶれを見ると、プロが注目しているテーマは、不祥事からの回復、業績が好調、構造改革や環境対策に積極的な企業などが浮かび上がる。

トップは過去の不祥事から回復の企業

1位は日産自動車だ。ゴーン元会長が逮捕されて経営が混乱していたが、2021年3月期の売り上げはコロナ禍で減少したものの、固定費削減や新車投入の効果で、下期は営業黒字化しており回復基調だ。電気自動車の推進にも力を注いでいる。成長市場の中国で独自の電気自動車を投入して伸ばしてゆく方針だ。

2位の東京電力ホールディングスも、東日本大震災以降は低迷を続けているが、2021年3月期決算では最終損益は前年同期より回復している。今後は、再生エネルギー拡大や地球温暖化の原因となる二酸化炭素など、温室効果ガスの排出抑制に向けての取り組み「脱炭素化」への期待が高まる。

3位のソフトバンクは、コロナ禍でも業績が好調だ。2021年3月期の業績も売上高、営業利益、純利益が過去最高を記録。特に、コロナ禍でテレワーク関連の需要が増加し、好採算の法人向けが伸びた。巣ごもり需要で「Yahoo!ショッピング」などが好調なことも大きい。企業価値向上につながるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する仕組みも、評価されている。

構造改革を成功させた日本製鉄

次に、時代の変化を見据え構造改革に大ナタを振るっている企業がランクインした。

4位の日本製鉄は、粗鋼生産量で国内首位、世界3位だ。脱炭素を見据えた構造改革が光る。国内高炉を減らして固定費を大幅に圧縮、低水準の数量でも利益を確保できる収益構造に改めている。2021年3月には昨年来高値を記録し、その後発表した2021年3月期決算でも営業利益がV字回復している。今期もさらに伸びそうだ。

5位の日本取引所グループは、傘下に東京証券取引所などを持つ総合取引所グループだ。日経平均株価は2021年2月に3万円台まで回復、1990年8月以来30年半ぶりの高値水準を記録。コロナ禍に伴う市場変動で株式売買が増加、営業利益も伸びて2021年3月期決算は好調だった。今期は昨年とほぼ同水準の売買となりそうだ。ただ、安定的な市場運営や中長期的な成長に向けたシステム費用がかさみ、営業利益と当期利益は前年度比で減少の見通しだ。

6位の住友化学や9位の旭化成は、いずれも大手化学企業で、2021年3月期決算はいずれも上方修正を行った。住友化学は、半導体プロセス材料の出荷が増えたほか、在宅勤務需要を背景に、ディスプレイ関連材料も増加した。旭化成は、ヘルスケアセグメントで、人工呼吸器の需要が増加し、医薬・医療事業が伸びた。両社ともに、今期も自動車向け部材などの回復から、好調な推移を見込んでいる。

こうして見ると、コロナ禍であるからこそ、それぞれの企業の戦略が明確に浮かび上がる。優れた企業を見つけ、株主となることは、その企業を応援することでもある。プロの目利きも参考に、日本企業の中からお気に入りの会社を見つけてみてはいかがだろうか。

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