値上がり必至「新駅・再開発マンション」買う方法

延伸計画が現実味を帯びる有楽町線(左)と南北線(右)(写真左:sachinyan / PIXTA、写真右:IK / PIXTA)

マンションの資産価値は立地でほぼ決まる。その立地が格上げされるのは2つのパターンしかない。それは新駅ができるか、大規模に再開発されるかだ。景観が変貌を遂げるほどの開発はすべて再開発と呼ばれる。それも乗降客数が多い駅の近くだと影響力が一層強くなる。

東京はその再開発で絶えず魅力を振りまく都市として君臨している。今後、マンションの資産価値を変えそうな新駅と駅前再開発について知っておくと、自宅を含めた資産価値を容易に増やすことができる。

マンションは自力で価値を上げることはできない。築年なりに建物は劣化するし、管理や大規模修繕で資産価値が上がった試しはない。その立地の価値を街ぐるみで上げるしかないのだ。そこで有効な手段が新駅と大規模再開発なのだ。

有楽町線と南北線の延伸計画に現実味

新駅は2020年開業の高輪ゲートウェイ駅と虎ノ門ヒルズ駅で当面打ち止めとなるはずだったが、2021年7月15日、国土交通省の交通政策審議会は、東京地下鉄(東京メトロ)が主体となって地下鉄有楽町線の延伸(豊洲駅~住吉駅)や品川駅周辺の整備(白金高輪駅~品川駅)を進めるのが適切だとする答申を公表。国や東京都が建設費を補助する方向性で大筋合意したという。

東京メトロの大株主が国と東京都であることから、大方決まりだろう。しかし、この実現には10年以上かかるので、かなり先の話になる。

過去には、大江戸線開通、南北線の延伸、半蔵門線の延伸などその影響を受けた場所は多い。どこももれなく資産価値を上げている。もし、自宅マンションを持っていれば、値上がりしたということだ。

「立地が格上げされる」2つ目のパターン、再開発はたくさんの計画が現在進行形で続々進んでいる。再開発といっても、その影響力は立地と規模によって雲泥の差になる。単純にその再開発された商業施設・オフィス・住宅・ホテルに来る人の数が重要なのだ。

その意味で、再開発で生まれる床面積の総量でインパクトが決まる。床面積があっても集客力がなければいけないことから、再開発は駅前で大規模に行われると威力を発揮する。

駅を巻き込んでの再開発の好例:渋谷

駅前の光景がこの10年で最も変貌した駅は渋谷だろう。渋谷ヒカリエ(2012年開業)、渋谷ストリーム(2018年開業)、渋谷スクランブルスクエア東棟(2019年開業)、東急プラザの建て替えの渋谷フクラス(2019年開業)、宮下パーク(2020年開業)と毎年の様に大規模な商業施設とオフィスの複合施設がめじろ押しだった。今後も、渋谷駅桜丘口地区(2023年度竣工)、ネクスト渋谷桜丘地区(2023年度竣工)、渋谷二丁目(ヒカリエの裏手の開発、2024年度竣工)渋谷スクランブルスクエア西棟(2027年度開業)、が続く。

これだけの計画があると、連鎖的に隣地でも計画が立てられることが多い。再開発の威力は集客力と比例すると書いたが、集客力の結果は乗降客数に端的に現れる。日本で最も乗降客数が多いのは3つの副都心駅であり、再開発規模は渋谷・池袋・新宿の順になる。

渋谷がここまで変わるのには、大きな理由が2つある。その1つは主たる事業者の都合だ。渋谷は電鉄会社である東急グループが全体計画を描いている。再開発の計画面積が大きい方がインパクトは大きいだけに、その場所の主たる所有者の意思が反映される。特に電鉄会社は駅の位置や駅への出入口を変えるという「ウルトラC」ができるだけに壮大な計画になる。

渋谷の場合、東急東横線の駅位置を変え、東京メトロ銀座線もJR埼京線もホームと出口の位置が変わるという大改革が行われた。渋谷駅の中心がヒカリエ側に移動したと言っても過言ではないほどだ。

2つ目の理由は、渋谷のオフィス不足だ。渋谷は「ビットバレー」と呼ばれ、IT企業の聖地でもある。渋谷にオフィスを構えると、採れる人材も変わることから、オフィス需要は根強くあり、稼働率も高く、オフィス賃料も丸の内に準ずるほど高い。しかし、大規模ビルが極端に少なかった。

このため、メガベンチャーはビルを分散し、階数が分かれたところに入居していた。ワンフロアの面積が広い方が仕事の生産性を上げやすいので、賃料単価は高くなるものだが、そもそもそんなビルが少なかった。賃料の支払い能力が高いIT企業が多いだけに既存の建物を建て替えて、オフィス床面積を増やしたかったのだ。

「都心の大地主」の夢が再開発

オフィスの床面積はその2/3が都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)に集中しているが、その大地主は以下の様にほぼ決まっている。丸の内を中心とする千代田区は三菱地所、日本橋を中心とする中央区は三井不動産、六本木を中心とする港区は森ビル、そして渋谷区は東急だ。

残る新宿区はオーナーが分散し、建て替えをせず、耐震補強をする方向で進んでいるので、今後も駅前では大きな開発は進みそうにない。それだけ、再開発には多大な調整の労力が必要なので、強い意志を持ったリーダーが必要なのだ。その強い意志は大地主の夢の様なものでもある。

その夢を端的に表すのは、ビルの高さだ。現在、日本で最も高いビルは大阪のあべのハルカスで300mになる。これを次に抜くのが、六本木1丁目と神谷町駅の間に建つことが決まっている。この2つの駅を地下道でつなぎ、その地下道で日本一高いビルにも行くことができる。

事業者は港区の大地主・森ビルで、六本木ヒルズをつくったデベロッパーだ。建設中のこのビルは325.19mとなり、近隣の東京タワー(333m)と背を並べることになる。2023年開業で、その際は六本木ヒルズの様にニュースや情報番組で取り上げられるだろう。森ビルの商標登録状況から「虎ノ門麻布台ヒルズ(略称:虎麻ヒルズ)」になると言われている。

なお、2027年には三菱地所が東京駅日本橋口前で開発を進めている「トーチタワー」(390m)が竣工を予定しており、虎麻ヒルズを抜く見込みだ。

2020年に開業した2駅、虎ノ門ヒルズ駅と高輪ゲートウェイ駅は駅周辺の開発も盛んだ。虎ノ門ヒルズ駅周辺は森ビル、高輪ゲートウェイ~品川駅はJR東日本が主な事業者となる。しかしながら、この周辺のマンション供給の実績は少ない。今後、駅近くで新築供給があるならば、期待値の高い物件として注目したい。

再開発は竣工して集客を始める様になると資産価値が上がる。これは駅が開業した後に価格が上がるのと同じになる。なので、竣工前の上げ方はまだ期待の範囲を超えておらず、もっと高くなる可能性がある。

現時点で築6~10年経過した分譲マンションが価格をどの程度上げたかを調べたところ、新駅は該当なしになるが、渋谷駅49%の上昇、六本木一丁目と神谷町の平均が41%となり、既にトップクラスになる。虎麻ヒルズ内の新築分譲マンションは虎ノ門ヒルズの坪1500万円を超えると噂されている。開業後まで更なる上昇が期待できるだけに注目しておきたい。

「新駅・再開発マンション」高くても買える裏技

駅や再開発の計画が近未来で決まっていて、値上がりが上記の様に期待できるだけにマンション購入はできる限りやった方がいい。しかし、買える価格でなければ買うことはできない。

そんな時に、私が自宅での資産形成する常套手段として使っているのが、定期借地権付きマンションなら買えるということだ。上記のトップ5の駅直結なら、坪1500万円(100㎡で4.5億円)を覚悟することになるし、駅近物件なら、坪1000万円(100㎡で3億円)となっても、借地権になると坪700万円(100㎡で2.1億円)ほどになる。50㎡なら、1億円を割り込む可能性もあるので手が出せる。その駅の相場が上がることで、借地権物件もつられて値上がりするのだ。

都心部の駅では高過ぎるなら、今後の延伸計画に先手を打つのは正攻法に良い手だ。今回も新駅ができそうな場所は延伸計画の地図を見ると、ほぼ決まっている。仕込むなら新駅ができる前の安い今のうちということになる。

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