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所沢やTX沿線、「住みたい街」上位の陰で大躍進

西武線の所沢駅前。「住みたい街」上位20位には入らないが、過去5年間のランキング上昇順ではトップクラスとなった(写真:彩恵/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大で、人々の生活が一変している。住まい選びにはどのような影響が及ぶのか。リクルートは「住みたい街ランキング」を毎年作成しているが、その最新版(2021年関東版)が3月8日に発表された。

同社によれば、調査対象は関東圏在住の20〜49歳の男女7000人。インターネットによるアンケート調査を行ったという。

上位の顔ぶれはほぼ同じ

1位は横浜で、2018年以降4年連続トップとなった。以下、2位恵比寿、3位吉祥寺、4位大宮、5位目黒、6位品川、7位新宿、8位浦和、9位池袋、10位中目黒という順になった。浦和、池袋、中目黒の3駅に順位の変動があった程度で、2020年のランキングとほぼ同じだ。

コロナ禍が住環境に及ぼした大きな変化の一つは、在宅勤務の拡大だ。共働き世帯が夫婦2人とも自宅で仕事をするとなると、現在の住居では手狭になる可能性がある。また、これまでの住まい選びでは通勤時間の短さが大きな判断基準に挙げられていたが、在宅勤務が進展すれば、通勤時間の比重はその分だけ減る。

この2点を考慮すると、コロナ禍では同じ予算でより広い住まいが買える郊外を選ぶ人が増えるということになるが、ランキング上位の顔ぶれを見る限りそうした傾向はうかがえない。

2021年の住みたい街ランキングでは、テレワークをしている人を対象としたランキングも発表している。「リモートワーク・テレワークの実施率50%以上」を見ると、1位は横浜で、以下、2位恵比寿、3位品川、4位吉祥寺、5位目黒、6位池袋・中目黒、8位渋谷、9位浦和、10大宮となっている。その顔ぶれは全体の結果とあまり違いはない。

リクルートによれば、「テレワークをしている人では、品川、中目黒、代々木上原、青山一丁目、三軒茶屋等の順位が総合順位より高く、都心が人気」「テレワークの実施率が労働時間の半分以上を占める人でも同様の傾向がみられ、品川、池袋、中目黒、渋谷、表参道、自由が丘、代々木上原等が総合順位より高い」という。

コロナ禍であってもなぜ都心が人気なのか。その理由として考えられるのは、都心の利便性だ。

仕事が終わった後に最寄り駅や乗り換え駅で買い物などの用事を済ませるという人は少なくないだろう。勤務の合間に病院に行く人もいるかもしれない。在宅で勤務する場合は、こうしたことがすべて自宅の近くで行われることになる。

そういった点を考慮すると、商業施設、飲食店、病院といった生活インフラがより充実している都心やターミナル駅のほうが在宅勤務しやすいという考え方は成り立つ。

じわじわ広がる郊外人気

では、郊外は人気がないのかというと、決してそういうことはない。長期で比較を行えば、郊外人気が顕著に見えてくる。

5年前、つまり2016年の住みたい街ランキングと比較してみよう。2016年の住みたい街ランキングの1位は恵比寿。以下、2位吉祥寺、3位横浜、4位武蔵小杉、自由が丘、6位目黒、7位池袋、8位新宿、9位東京、10位二子玉川という順になっている。

このように上位だけ見ると、その顔ぶれは例年とあまり変わらない。そこで、2016年と2021年を比較して順位を大きく上げた駅を調べてみた。

1位は舞浜。2016年の73位から2021年は19位へと54位も順位を上げた。舞浜は東京ディズニーランドの最寄り駅。同じ浦安市内にある駅でも、浦安駅のほうが周辺の商業施設や飲食店が充実しているように思えるが、ディズニーランドに近いという魅力がそれを上回ったようだ。舞浜は東京駅まで京葉線で10数分という利便性も注目される。

2位は所沢。2016年の94位から2021年は44位へと順位を50位上げた。所沢は西武池袋線と西武新宿線が交差する駅で、交通利便性は高い。最寄り駅こそ違うが所沢市内には西武ライオンズの本拠地・メットライフドームがあるほか、西武園ゆうえんちもリニューアルオープンする。「ダサイタマ」などと揶揄されることもあるが、エンタメ関連は充実しているのだ。所沢駅西口にあった西武鉄道車両工場跡地とその周辺の再開発も予定されており、大型の商業施設やタワーマンションが建設される。今後5年でさらに順位を上げるのは確実だ。

3位はJR京葉線の新浦安と東京メトロ東西線の浦安が同列で並んだ。新浦安は90位から46位、浦安は85位から41位へと順位を上げた。どちらも浦安市内の住環境の充実ぶりと東京ディズニーランドへの近さが評価されたのだろう。5位の柏も同じく千葉県内の駅である。

つくばエクスプレス沿線は開発が進む一方で自然も多く残る(編集部撮影)

6位、7位、8位は流山おおたかの森、つくば、研究学園と、つくばエクスプレス(TX)の駅が3つ続いた。TXは2005年開業の比較的新しい路線である。周囲には自然が多く残るが、沿線開発の進展に合わせ、生活インフラも充実しつつある。8位には研究学園に加え、JR東海道線の辻堂も同列で並んでいる。

10位はみなとみらい線のみなとみらい駅。2016年の61位から2021年は31位へと順位を30位上げた。みなとみらい線も2004年の開業で、比較的歴史の浅い沿線だ。利用者数がじわじわと増えていることが人気の高まりを裏付けている。

千葉・埼玉・茨城が急伸

このように見ると、過去5年で順位を大きく上げた駅は千葉、埼玉、茨城といった駅が多いことがわかる。2021年のランキング上位駅を見ても、4位の大宮は2016年には21位、8位の浦和は同じく32位だった。

このように長い目で見れば、住みたい街の顔ぶれは変わる。2016年に住みたい駅の4位だった武蔵小杉は、その高い人気に生活インフラの整備が追いつかず2021年には14位に後退した。また、高度成長期には多くの人が移り住んだが、高齢化で現在は活気が失われてしまったというエリアはいくつもある。

将来誰もが住みたいと思う街は、現在のランキング上位の街とはまったく違っている可能性もあるのだ。

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