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30代手取り年収500万の人が40代で楽する方法

投資はそう簡単ではない。だが「30代手取り年収500万円」の人なら、40代に「ある程度好きなことができる」ようになるための人生を送ることは可能だ(写真:kou/PIXTA)

最近、個人投資家の間で「FIRE」と言う言葉がはやっている。「Financial Independence, Retire Early」の略語だという。要は、早期にリタイアができるような金融的独立性、すなわち十分な資産額の形成のことだ。

なぜ日本の若者は人一倍「FIRE」に興味を持つのか

「私は、一応FIREを達成しましたよ」「FIREまであと少しのところまで来ました」「僕もFIREを目指して頑張ります」……、のような感じでポジティブな意味に使われる。投資に熱心な多くの若者にとっては、「憧れ」ないし「目標」となっている。

投資の目的として「金融的な独立性」を強調する話法は、投資家の間にも、金融・不動産などの営業マンのセールストークとしても、かなり昔からあった。ただこれを「早期リタイア」と強く結びつけるようになったのが近年の傾向だ。

もちろん、お金はよりたくさんあって悪いものではないので、一つの到達点ないし通過点としてFIREを意識することに非合理性はないのだが、「FIREを目指す」と強く言う若者には興味が湧く。なぜだろうか。

なお念のためだが、FIREは語義からわかるとおり、せいぜい40歳くらいまでの若者が目指すものであって、中高年が「金融的独立」を目指すのはいいことだが、「FIREを目指している」と自称するといささかイタい。中高年の場合は、単なる老後不安だ。

さて、今、特にFIREへの関心が高まった理由は、日本の若者の「仕事」に対する期待感が、かつてよりも低下しているからだろう。

過去20年以上にわたってわが国は経済成長率が低下し、勤労者の賃金の伸びがごく鈍い。加えて、産業構造の情報化に相対的な遅れを来し、企業では高齢者がポストを占有して組織が目詰まりを起こしている。

若い世代の勤労者は、将来の所得の増加、昇進、さらには雇用の継続に対して期待や確信を持てない。せめて金融資産だけでもしっかりと確保して、将来の安心を得たいという気持ちを抱くのはわからなくもない。

成長や変化・刺激のない仕事はつまらない。昇進する見通しの持てない組織は重苦しい。将来の職や稼ぎを不安に思い始めるときりがない。若者がこうした状況と心境からFIREに憧れているのだとすると、いささか残念だ。

だが、人は単に生活していけるだけで満足な生き物ではない。(「すべての」ではないが)多くの人に、「他人とのかかわり」と「他人からの承認」に対する欲求がある。そして多くの場合、他人との関わりにあって真剣で張り合いのあるものは、本人の「仕事」だろう。従って、「FIREを達成!」したけれども「仕事がつまらない」という状態は、そう幸せにも思えない。

両者は必ずしも排他的な比較対象ではないが、「面白いと思える仕事をしていて、いつでも職と稼ぎが得られる状態」を達成できている人は、「FIRE」の達成にそれほどの魅力を感じないかもしれない。

FIREの達成方法は?

FIREには、もちろん長所がある。筆者が思うに、FIREの最もいいところは、働かずに遊んで暮らせることではなく、会社と対等の関係を結ぶ基盤になることだろう。

好きな仕事でいくらでも転職できる人は、必ずしもFIREに魅力を感じないかもしれないと先ほど申し上げたが、自分ができる仕事の好き嫌いや、転職の自由度の多くは「程度の問題」だ。いざ会社と決裂してみたものの、転職先がなかなか見つからないこともあるかもしれない。生活の心配はある。

その点、FIREを確信できる金融資産があれば、「生活には心配がない」ことが可視化される。会社を批判したり、嫌な仕事を断ったりすることがやりやすい。

筆者自身の過去を振り返ると「あのとき、自分がFIREの状態にあれば、ちがった行動を取ることができたのに」と残念に思う事案がある。やはり、十分な金融資産を持っているのは、いいことだなあ! では、FIREはどのように達成できるのか。例えば、普通のサラリーマンならどうだろうか。

考えられる方法は3つある。

ちなみに、かつて、あるMBA(経営学修士)持ちの若手経営者に教えて貰ったのだが、プレゼンテーションでは、取りあえず「ポイントが3つある」と言っておいて、話しながら内容を考えるといいのだそうだ。2つしか思いつかない場合は、「3つめに、両者のバランスが大事です」と言えばよく、4つ目を思いついたときは、「付け加えると、実はこれが最も大切なのですが」と言って4つ目を強調すればいいのだそうだ。

「貯金」「少額で生活」「運用」の3つの方法

さて、3つの方法は順に(1)たくさん貯金すること、(2)少額で暮らす方法を身につけること、(3)運用をうまくやること、だ。

これらの中で最も頼りにならないのは、(3)の「運用」だ。「運を用いると書いて、運用」というくらいのもので、自分で結果をコントロールすることができないからだ。筆者は運用の本を何冊も書いているので残念なのだが、運用に過度な期待は禁物だと申し上げておく。

それでは(1)と(2)だが、MBA氏の言うように両者のバランスというよりは、(1)のためには(2)が必要で、(2)ができれば(1)が可能になり、そして、ほどほどの期待値でだが、(3)にも期待できるようになる。というわけで、(2)が一番偉い。

「現実的な」方法は以下の通りだ。

(A)手取り収入の50%で暮らして、(B)手取り所得の50%を投資に回し、(C)すべてを内外の株式のインデックスファンドに投資する。なお、インデックスファンドの投資内容は、筆者は外国株(全世界、もしくは先進国株の日本株除く)と日本株のインデックスファンドに半々に投資することを勧めることが多いが、日本株を含む世界株でもいいだろう。配分はほとんど趣味の問題だが、日本株だけ、とか、アメリカ株だけ、という投資には賛成しない。

上記の方法で、何年でFIREが達成できるかは、運用利回り次第だ。簡易計算だが、運用利回りを「4%」とすると、ざっと18年目に保有資産額が生活費(年間支出額)の25倍を超える。すると、金融資産の毎年の収益(4%)だけで生活費を賄いつつ、金融資産が減らない状態を作ることができる。FIRE達成と言っていいだろう。

現在、年金基金などの機関投資家が運用計画に使う内外の株式の期待リターンは、無リスク金利に5%のリスクプレミアムを乗せたくらいの数字なのだが、今や無リスク金利はほぼゼロパーセントなので、名目の期待リターンが5%となるが、運用益に対する税率は現在約20%なので、「4%」くらいが現実的に期待できる運用利回りだ。

内外の書籍では、株式のインデックスファンドの利回りに7~8%くらいを期待し、十分な資産額を作った後は債券を4~5割くらい組み合わせて(例えば、株式6割、債券4割)運用資産のリスクをいくらか低下させた状態にする。そのうえで年率4%くらいのリターンが期待できるので、資産額の4%を引き出すといい、といった水準の数字が紹介されることが多い。

しかし、これは、アメリカなどの金利が今よりも高く、加えて長期的にアメリカの株価が上昇し続けた時期を参照した数字なので、「過去を直接将来にあてはめるのは乱暴だ」との批判を免れない。

何と言っても、無リスク金利のレベルが大きく異なるのだから、「昔の平均」をそのまま当てはめてはいけない。金利水準が高かった大昔のようには「金利生活者」になることが難しいのと同じ理屈だ。

「資産の累積過程では年率4%で資産を増やし、その後も株価指数並みのリスクを負担しながらの4%の収益で暮らすのだ」というくらいを、「低金利時代のFIRE」の現実的な目指し方だとイメージしておくといい。

「人的資本vs.金融資産」

具体的な数字で考えてみよう。手取りの収入が500万円として、次のようなイメージだ。

「手取り収入の半分である年間250万円で生活して、毎年250万円を投資に回す。約18年後に資産が6250万円に達して、その後、この資産の運用益である250万円で暮らすと、資産は減らない」。もちろん、運用利回りは毎年変化するし、長年を通じてこれよりも高いかもしれないし、低いかもしれない。いかがだろうか。

18年間が必要なのだとすると、25歳から始めて43歳でFIRE、開始が30歳なら48歳でFIREだ。40代でリタイアするのだとすれば、確かに早い。

一方、筆者がこれまで一般的なサラリーマンに対して勧めて来た貯蓄・投資とリタイアのバランスは、「手取り収入の20%くらいを投資に回し、65歳でリタイアすると、年金と資産の取崩額とを合わせて現役時代の7割くらいの生活費で老後を暮らすことが可能だろう」という程度の、上記の方法に比べると、大いに「緩い」ものだった。なお、計算の考え方は、拙著(山崎元・岩城みずほ著『人生にお金はいくら必要か』(東洋経済新報社))を参照されたい。必要貯蓄額の計算は簡単にできる。

運用に回すのが20%でいいかどうかは、設定(いつまで働くか、老後に現役時代の何%で暮らすか、いつまで生きそうか、等)で異なるが、おおむね20%くらいの数字が出ることが多い。手取り収入が500万円なら、年間400万円で暮らして、100万円を投資に振り向けることになる。資産の運用方法は、基本的に同じで構わない。

年間支出の差をどう考えるか?

2つのケースを比較すると、約18年にわって続く、片や400万円、もう一方は250万円という両者の年間支出額150万円の違いの影響をどう見るかが最大の問題だろう。

評価は人それぞれだと思うが、筆者は、「支出が150万円少ない若い時期の18年間」をいささかもったいないと思う。広義の「自己投資」で実際に投資するものの多くは、個人が持っている「時間」と「努力」なのだろうが、教育や経験を得るためには「お金」も必要だ。

そして「教育」にしても、「経験」にしても、投資として考えると実施時期はおおむね早いほうがより有効だ。理由は、身についた知識やスキル、経験などを、より長く使うことができるからだ。「学校での勉強」や「旅行」、あるいは、「美味しいものを食べる」にしても「人間関係を広げる」にしても、より早く行うほうが投資としては有効だ。しかも、これらが有効に働くと、将来の「稼ぎ」を増やすことに貢献するかもしれない。

急いでFIREを目指す人生と、バランスを計算しながらも早期にお金を使うことに積極的な人生との比較は、金融資産への投資と、自分の人的資本への投資のバランスを考えることに帰着する。筆者としては、早期FIRE達成よりも、前掲の拙著「人生にお金はいくら必要か」の路線をお勧めしたいと思っている。つけ加えると、「稼げる」だけでなく、「面白い!」と思える仕事を獲得するキャリアプランが幸せには大切だろう。

面白い仕事で、必要十分に稼げる機会があるなら、あとは健康である限り、早期リタイアは必要ないのだから。なお、「FIRE」は投資家の関心が高いテーマなので、筆者のYouTube動画(約22分編)や同短編(1分)をアップしてみました。時間とご興味のある方は、試聴してみてください(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

この週末(5月9日)は東京競馬場の1600メートル芝コースでNHKマイルカップ(G1、第11レース)が行われる。おおむね「強い」よりは「速い」が要求されるレースなのだが、速くても純然たる短距離馬だと少し足りない。紛れが多く例年予想が難しいが、今年も例外ではない。

今回は「ハイペース」をテーマとして予想する。バスラットレオン、ピクシーナイト、ルークズネストなどの重賞勝ち馬はいずれも第4コーナーを先頭で回る逃げの手で勝っており、1番人気が予想される朝日杯FS(GⅠ)勝ち馬グレナディアガーズ、前走アーリントンカップ(G3)勝ちのホウオウアマゾンも4コーナーを2番手で回って逃げ馬を早く潰す展開で勝っている。

それぞれの陣営と騎手は、これまでの勝ちパターンに近い競馬を選択するはずだ。必然的に前に行く馬には厳しい展開になるはずだ。

NHKマイルカップは「差し馬」のシュネルマイスター

そこで本命には、マイル戦である、昨年12月のひいらぎ賞を4コーナー4番手から差し切ったシュネルマイスターを抜擢する。ペースが読めるクリストフ・ルメール騎手の騎乗も心強い。

対抗には前走の勝ちぶりが良かったバスラットレオンを選び、グレナディアガーズを3番手とする。

相手候補の穴馬として追い込むタイプの人気薄ヴェイルネビュラ、左回りで真面目に走ると強そうなランドオブリバティ、現実にグレナディアガーズを破っているルークズネスト、前走の差し脚に見所のあったリッケンバッカーを押さえておきたい。

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