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意外にハードル低い?「電車の貸し切り」利用法

都電荒川線は貸し切りしやすい電車の1つだ(写真:i-flower/PIXTA)

会社や学校など団体での旅行の際は、観光バスを貸し切りで利用することが多い。貸し切りバスの業者は多く、少人数から大規模な団体、マイクロバスから豪華バスまでさまざまな需要に対応している。

確かに団体で移動するときには、集合場所に直接来てもらい、目的地へ直行できるバスは便利だ。では、列車は貸し切りできるのか。結論からいえばもちろん可能だ。鉄道会社によっては、それほど高額の料金を必要とせずに実現できるケースもある。

新入生歓迎行事で電車を貸し切り

実例を挙げよう。筆者が早稲田大学鉄道研究会に在籍していた当時、新入生の歓迎行事として都電荒川線で貸し切り電車を走らせていた。車内で簡単なゲームなどをして、新入生と上級生の親睦を深めるイベントとして行っていた。これは手軽な貸し切りの例だ。

また、在学中に鉄道研究会50周年記念列車ということで、秩父鉄道のSL列車をOB会である稲門鉄道研究会とともに貸し切った。この際にはOB会が中心となり、秩父鉄道と交渉して実現させた。筆者は参加していないが、その後の60周年などの際にも貸し切り列車による記念列車が行われたということだ。

こちらは大がかりな例だが、やはり鉄道関連団体のイベントの場合、貸し切り列車は楽しいものである。

では、列車を手軽に貸し切りにできるのはどんな鉄道があるだろうか。

たとえば、先に挙げた都電荒川線を貸し切り運行するにはどうするか。

都電の貸し切り運賃は片道運行1回ごとで、一般1万3820円、学生(大人)は1万2290円などとなっている。平日は10時から15時まで、土休日はこの限りではない。2カ月前の月初め1日から申し込みを受け付けているという。車両も指定可能だ。この金額なら、ちょっとしたイベントなどで貸し切り運行ができるだろう。ただし、現在はコロナ禍で貸し切りの受付を休止している。

広島を走る路面電車、広島電鉄も貸し切り利用が充実している。車両は運行路線により連接車もしくは単車と決まっており指定はできないが、平和学習で650形被爆電車を希望する場合は相談に応じるという。運賃は路線ごとに決まっており、たとえば市内線(白島線を除く)の単車の場合は1行程1万8240円となっている。

ローカル私鉄は貸し切り対応が充実

貸し切り列車への対応は、ローカル私鉄などが充実しているケースが多い。例えば千葉県の銚子電気鉄道だ。

現在はコロナ禍で受付を中止しているものの、飲食物の持ち込みや記念イベントなどの要望にも応じるという。料金は80人まで5万4400円。基本料金の中には、貸し切り電車1往復・乗車当日の1日乗車券・仲ノ町駅の入場券・犬吠駅の銚電写真館入場料、といったものが含まれている。このほかにさまざまなオプションもあり、全般的にサービスが充実している。また、ふるさと納税の謝礼品としても貸し切り電車を利用できる。

同じ千葉県の第三セクター、いすみ鉄道では、同社の「いすみ形」だけではなく急行列車に使用されている国鉄型の気動車、キハ28・52も貸し切りにすることができる。車両によって異なるが、平日の料金は9万円~15万円となっている。弁当の手配も可能だ。

大手私鉄で貸し切り列車に力を入れているのは近鉄だ。近鉄には「楽」(20000系)という団体専用車があり、これはイベントなどでの運行を除けば団体でしか乗車できない貴重な車両だ。貸し切りにする場合は団体運賃と貸切料金で利用できる。近鉄に問い合わせてみると、80人以上の料金が払えるなら貸し切りにできるという。1人当たりの料金は大人400円、子ども200円とのことだ。ちなみに「楽」1編成の定員は164人である。

では、JRの車両を貸し切るにはどうしたらいいのだろうか。

JR東日本に問い合わせてみると、定期列車を一編成すべて貸し切りにするという扱いは現実的に難しく、専用の臨時列車を設定した上で運行することが通例になっているという。

同社の「旅客営業規則」によると、列車を貸し切りにするには旅客車5両以上の編成が必要だという。貸切乗車券は規定の人数の運賃と料金を支払わなくてはならない。例えば、普通の座席車なら1両あたり80人の乗車を必要とする。また、営業キロ50km以下の場合でも、50km分の運賃を支払わなくてはいけない。

申し込みは、団体乗車券の委託販売を行っている旅行会社の窓口を通じて行うが、申し込みを受けてから実際の車両や乗務員の手配が可能かどうかを調整するため、十分な準備期間を必要とするという。最小利用人数は定員の9割として算出されるため、実際の利用人数がそれを下回っても最小利用人数分の料金を払わなくてはならない。また、所定の運賃・料金だけではなく、食事やアテンダントによるサービスが含まれる場合は、サービス料金も含むとのことだ。

貸し切り列車でイベントはいかが?

このほか、特急車両やグリーン車を利用する場合など、特急料金や急行料金、あるいはグリーン料金を追加で払わなくてはならないこともある。ちなみに「急行料金」は急行列車でなければ設定することはないというが、現在、JR線には定期列車の「急行」はないので、実際に適用されることは恐らくないだろう。団体列車の規定上は「急行料金」が残っているのは興味深いところだ。

JRや大手私鉄は費用面で難しかったとしても、路面電車やローカル私鉄はウェブサイト上などで積極的に貸し切り運行をアピールしていることも多く、比較的手が届きやすい。収束の兆しが見えないコロナ禍だが、状況が落ち着いたらイベントなどを開きたいと考えている人は、貸し切り列車の利用を検討してみるのはいかがだろうか。

なお、コロナ禍の影響などで貸し切り運行の受付を中止しているケースもあるので、実際に利用する場合は鉄道各社に確認することが重要だ。

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