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日本人はアメリカ株投資の魅力をわかってない

30年で12倍になったアメリカ株と、かたやまだ平成初期のピークを超えていない日本株。その差は歴然です(写真:Graphs/PIXTA)

最近、アメリカ株への直接投資がブームになっているそうだ。世界中でコロナ禍が続く中で、日本の株式市場は足踏みを続けているが、好調な景気指標が発表される中でアメリカ株の好調さが際立っている。

4月に入ってからもニューヨークダウは最高値を更新し続けており、S&P500も史上最高値を更新した。長期金利の上昇で一時的に下落したナスダックの株価も回復トレンドを見せている。

そんなアメリカ株の魅力について指摘する報道も多く、日本の投資家が国内からオンライン証券などを使ってアメリカ株に投資する人が増えているといわれている。実際に、インターネット証券大手3社のアメリカ株を中心とした海外株の売買代金は、コロナのパンデミックが起きてから大きく伸びている。2020年は前年の約4.5倍に当たる9兆2000億円の資金が海外株売買代金に充てられている。

SBI、楽天、マネックス、松井、auカブコムの大手ネット証券5社を対象に調べたデータでは、2020年度の年代別口座開設は20~30代が70万口座と突出して多かった。例えば、楽天証券では30代以下の顧客が今年3月のアメリカ株の買越額が昨年の4月に比べて約5倍になったと報告されている。日本株の買越額と比べると17倍の大きさになる。

アメリカ株投資のトレンドは、この1月に発生した「ゲームストップ」騒動でさらに拍車がかかり、アメリカの小型株や新規上場(IPO)株にもターゲットが向かっていると言われている。

日本の株式に比べて株価が短時間で大きく上昇するケースも多く、日本株にはない魅力に、日本の若者が気づいたという現実があるようだ。最近、ネットの広告でも「日本株はせいぜい年間に10~20%程度上がればいいが、アメリカ株は短期間で10倍、20倍になる」というフレーズが流れているが、確かにアメリカ市場では10倍、20倍に上がる株も珍しくない。

30年ぶりの高値でも魅力がない日本の株式投資

一方、30年ぶりに日経平均株価が3万円台を回復した日本の株式市場だが、個人投資家の投資比率はせいぜい20%程度で、これまでさんざん苦汁を飲まされ続けてきた個人投資家にとって、日本株はそう簡単に投資できるマーケットではないのかもしれない。

昔から、日本の投資家はよく「最高値で買って、最安値で売る」と揶揄された。それは投資家が悪いのではなく、活力を失った日本の株式市場がいけないともいえる。魅力ある日本企業がなくなってきた――そんな意識が、若者を中心に芽生えつつあるのかもしれない……。

実際に、アメリカ株と日本株との間にはどれだけの差があるのだろうか。簡単に整理すると次のような点が指摘される。

<アメリカ株の魅力①>
とにかく上がるアメリカ株、一向に上がらない日本株

過去30年間の日米の株式市場を振り返ってみると、その差は一目瞭然だ。株価指数の「S&P500」で見ると、1990年末の段階で330.22、2020年末の時点では3756.07。30年でざっと11.3倍に上昇した。周知のように、その後も株価は上昇し続けて、直近の数字では4180.17(2021年4月23日現在、終値)、12倍を超えるパフォーマンスになっている。

一方の「東証株価指数(TOPIX)」では1991年3月末時点の指数が1970.73。30年後の2021年3月末では1954.00となっている。日経平均株価は3万円を回復したものの、ピークに届いていないし、もちろん東証株価指数も最高値を更新できていない。12倍になった市場と30年前の最高値を更新すらできていない市場ではとても比較にならない。この30年間、日本の投資家がいかに厳しい戦いを強いられてきたかがわかるはずだ。

ニトリやキーエンスなどは成長したが

日本の株式市場で、日経平均株価が30年ぶりに3万円台を回復したのは、2021年2月15日。終値で3万円台を付けたのは1990年8月2日以来だったわけだが、この30年間の株価騰落率ランキングを見ると、「ニトリHD」の57倍をはじめとして、「キーエンス」(34倍)、「日本電産」(26倍)、「ユニ・チャーム」(19倍)といった順に並ぶ。確かに、日本でもアメリカ株の平均的なパフォーマンスを上回る企業は株多くある。

さらに、30年の間に新規に上場した企業も数多くある。1990年8月3日以降に新規上場した銘柄の2021年2月15日終値を比較した場合、ソフトバンクの親会社である「ZHD」の273倍をはじめとして、ユニクロの「ファーストリテイリング」(101倍)、「エムスリー」(97倍)、「ゼンショーホールディングス」(76倍)、「レーザーテック」(71倍)などがある。

こう見ると、日本株も銘柄選択さえ誤らなければ、大きな収益を得られると思うかもしれない。しかし、これはあくまでも4000社もある銘柄のベスト5にすぎない。平均株価が30年で12倍になったアメリカ株とは比較にならないのだ。

アメリカ株はどうだろう。アメリカ企業を象徴するといえばGoogle、Amazon、Facebook、Appleの「GAFA」になるが、上場来からの騰落率を見ると次のようになる。

●Google(GOOGL)……27倍、上場時(2004年8月)公募価格85ドル、初値100ドル→現在値2299.93ドル(2021年4月23日終値、以下同)、途中でAlphabetに社名変更。
●Amazon.com(AMZN)……186倍、上場時(1997年5月)初値18ドル→3340.88ドル(同)
●Facebook(FB)……8倍、上場時(2012年5月)公募価格38ドル、初値42ドル→301.13(同)
●Apple(AAPL)……6倍、上場時(1980年12月)公募価格22ドル→134.32(同)

むろん、こうした数字は株価のみを見たものだが、途中で株式分割や配当分などを合わせれば、この数字はさらに大きく膨らんでいく。いずれにしても、日本の株式市場がアメリカに比べて株価の上昇の勢いが圧倒的に低いことは間違いない。平均株価の指数を見ても明らかだ。とりわけ、日本企業の中には本来は破綻しているはずの企業が数多く残っている。アメリカのように企業のスクラップアンドビルドが活発な社会的基盤が、日本にはないのも大きな問題といっていい。

<アメリカ株の魅力②>
DX、AI、EV……、アメリカ企業は最先端技術の宝庫

最先端技術はアメリカ企業が握っている

アメリカ株の魅力は、ただ単に株価が日本株に比べて上昇のスピードが速いというだけではない。その背景には、現在の産業活動の最先端の技術はアメリカ企業が握っていることと関係している。

GAFAも、もとはと言えば過去の最先端技術を応用した成果と言ってもいい。現在では、AI(人工知能)や DX(デジタルトランスフォーメーション)、フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)といった、これからの産業社会を支える技術を持っている企業が多い。

加えてグリーン化(脱炭素社会)といった世界的なトレンドの中で、その技術的なリーダーになっている企業が多い。日本企業の中にも、燃料電池やDXの最先端技術を持っている企業も少なくないが、アメリカが基礎的な技術部門に強いのに対して、日本の企業はそうした最先端技術を使って商品をつくるとか、応用技術を駆使してビジネスを行う企業が多い。半導体開発そのものよりも、半導体を製造する機械は世界のトップレベル……、という具合だ。ベースとなる基礎的な最先端技術を持った企業がアメリカの株式市場には数多く上場していると言うことだ。

コロナ禍の中でも、ナスダック市場などの「グロース株」が急成長したが、将来の成長を先取りしすぎて、現在は一時期の勢いを失っている。ワクチン接種の普及によってパンデミックの収束が見込まれるようになってきたが、これまで厳しい景気の後退で見放されていた「バリュー株」が買われるようになってきた。

要するに、アメリカ市場ではつねに世界に先駆けて先を見越した投資行動が行われており、そういう意味でもアメリカ市場には魅力があるといっていい。ちなみに、現在新しい技術やビジネスモデルを持つ企業として注目されている銘柄をいくつかピックアップしておこう。

●コインベース・グローバル(COIN)……ブロックチェーン技術を駆使してデジタル資産である暗号通貨を使ったシステム構築を提供する企業。暗号資産関連会社として初めての上場企業。
●ショッピファイ(SHOP)……中小企業向けクラウドベースの商取引プラットフォームを提供する企業。アマゾンの中小企業向けサービスといってもいいかもしれない。上場後3年半で株価は最高で10倍に達した。
●テスラ(TSLA)……EV(電気自動車)のパイオニア的な存在。世界のEV市場を牽引してきた。時価総額でアップルを抜いたこともある。
●ファイザー(PFE)……新型コロナウイルスのワクチン開発でリードしている製薬企業大手。長年増配を続ける企業としても知られる。
●インベスコQQQトラスト(QQQ)……グローバルなハイテク企業を集めたETF。アメリカの若者が積み立てて資産を形成しているといわれる。
●スクエア(SQ)……金融サービス、マーケティングサービスを提供するフィンテック産業のひとつ。3年前に上場して以来、株価が6倍になった。
<アメリカ株の魅力③>
収益力が高い企業が多く、高配当銘柄も多い

アメリカ株の魅力で忘れてならないのは、その収益力の高さだ。アメリカの企業は、会社は株主のものという認識が非常に強く、株主から集めた資本をいかに活用して経営者が株主に還元できるかを重視する。日本の企業は、会社は経営者や従業員のものという意識が強く、一部の経営者が自己保身のために延々と誤った経営判断を繰り返してきた一面がある。

ROEは日本5.5%、アメリカ11.9%

実際に株主資本に対していくらの利益を稼ぎ出したかを示す「自己資本利益率(ROE)」という指標があるが、2020年7月時点で日本は平均5.5%、対してアメリカ企業は同11.9%となっている。つまり日本の企業に比べてアメリカの企業は、2倍稼ぐと言うことだ。

収益力が高いから、アメリカには高い配当利回りを出す企業が数多くある。しかも20年以上増配を続けている企業なども数多くある。

日本で配当の高い企業というのは大きく分けて2つあり、実際に高い収益を上げて利益還元のために配当を出している企業もあれば、その一方で高い利回りを出すことによって株価の維持を図っている企業も多い。こうした企業の中には、株価を高く維持することで経営者の保身に役立っているケースもあり、日本で高配当銘柄に投資するのはある意味で慎重にならざるをえない。

その点、アメリカの場合は株主のチェックも厳しいために、業績が悪いのに高い配当を出そうものなら厳しく糾弾される。そういう意味では、アメリカ企業の高配当利回りは日本よりは安心して投資できるのかもしれない。

例えば、時価総額が高く、しかも高配当の企業には次のようなものがある(配当利回り、2021年4月30日現在)。

●エクソン・モービル(XOM)……5.90%
●ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)……4.37%
●コカ・コーラ(KO)……3.09%
●シスコ・システムズ(CSCO)……2.87%

ちなみに、エクソン・モービルやコカ・コーラ、シスコ・システムズなどは20年以上も連続して「増配」している。コロナワクチンの開発で話題になった「ファイザー(PFE)」や「ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)」といった企業も、20年間以上も増配を続けている。

最近は、グロース銘柄の多くは配当を出すよりも新しい成長戦略に資金を向ける企業が多く、あまり配当だけでアメリカ株に投資するというのも選択肢を縮めてしまうかもしれない。

<アメリカ株の魅力④>
少ない投資金額で投資ができる

アメリカ株の魅力のひとつとして忘れてはならないのは、アメリカ株は日本と違って「単元株」といったシステムがないために、すべての銘柄が1株から投資できることだ。1株から投資できるということは、例えば「アマゾン」のような3000ドルを超える値がさ株でも、3300ドル=35万円程度で投資できることになる。

アップルとかフェイスブックといった有名な企業でも、130ドル台(1万3900円)から300ドル台(3万2000円)程度であり、数万円程度の金額で投資ができることになる。

ディズニーへの投資も約2万円から可能

例えば、アメリカのウォルトディズニーは183ドル(約2万円、株価は2021ねん4月現在、以下同)から投資できるが、日本のオリエンタルランドは、株価が1万5000円、単元株100株で、最低投資金額は150万円になる。

要するに、日本では数百万円の投資金額が必要な銘柄が数多くそろっているということだ。若者たちにアメリカ株投資が人気なのも、高額な資金が必要な日本株よりも、少ない資金で投資参加できるアメリカ株のほうが魅力的に映るからだろう。

そしてもう1つ大きな魅力は、アメリカドルで投資ができることだ。自分の資産を日本円だけで持っていることに不安を感じている人は少なくないはずだ。万一、日本円が暴落したときにきちんと国際分散投資をしていない人や、預金だけに資産を集中させている人は、莫大な損失を余儀なくされるかもしれない。

その点、アメリカという将来的に有望な株式で、円ではなくアメリカドルで保有することができる……。これもアメリカ株投資の大きな魅力と言っていいだろう。

<アメリカ株の魅力⑤>
世界中の投資家が支えるアメリカ株、日銀しか支えない日本株

アメリカ株の魅力のひとつが、「時価総額」が大きいという点がある。上場企業の発行済み株数に株価を掛けた値で企業価値を示すバロメーターといえる。時価総額が大きいということは企業の大きさや将来の成長力などを示しており、時価総額=企業の安定の度合いと考えてもいい。

世界で最も時価総額が高い企業は、2021年3月末時点では第1位がアップル。2位はサウジアラビアの「サウジアラムコ」だが、3位以降は「マイクロソフト」「アマゾン・ドット・コム」「アルファベット」「フェイスブック」そして中国の「テンセント」と続く。日本では上位50社に入っているのは44位の「トヨタ自動車」だけだ。世界的に見れば、日本の企業はどれも小粒といっていい。

世界の時価総額の4割はアメリカ株が占めていると言われており、アメリカ株の時価総額の大きさは、世界中の投資家がアメリカ株に投資をしていることを意味している。万一、株価が大きく暴落しても世界中の投資家が支えてくれる可能性を秘めている。

日本は、中央銀行の日本銀行が支えていると思うかもしれないが、中央銀行が買い支えるということは、株式や債券に出資すればするほど、いずれは「円」の価値が下落することを意味しており、結局のところ最終的には頼りにならない。

世界中の投資家が支えてくれるアメリカ株と日銀しか頼りにできない日本株ではその基盤がまったく違うといっていい。これもアメリカ株の大きな魅力のひとつと言っていいだろう。

アメリカ株もリスクは高いが、暴落はチャンスかもしれない?

アメリカ株の魅力を見てきたが、当然ながら注意したいのは、アメリカ株にも大きなリスクがあるということだ。日本のように株価が一定の動きを見せると、「ストップ高」になって売買が止まる。あるいは暴落時に「ストップ安」になって売買が停止してしまう制度がない。

株式市場全体がストップする「サーキットブレーカー」はあるものの、ある特定の企業にトラブルが発生して暴落した場合には、一晩で半分になったりすることもよくある話だ。

暴騰することもよくあれば、暴落することもあるということだ。最近も「ゲームストップ」株が個人の投資家によって買われて、空売りしていたヘッジファンドが莫大な損失を被った。アメリカ株には株価のボラティリティー(変動幅)が非常に大きいというリスクがあることを忘れないことだ。とりわけ、日本株以上に景気指標や金利の動向に敏感に反応するために、市場の動きもコロナ禍のような時代には乱高下しやすい。

ただ、少なくとも日本企業の多くがそうであるように、同じ価値観を持った社員ばかりを集めた集団は、変革の時代には対応できないことが多い。変革の時代には「多様性」が不可欠だ。その点、多民族国家であり、移民が作ってきた国家・アメリカの企業風土が、産業社会全体を変革に向かわせているといっていい。

ちなみに、アメリカ株に投資するには大手の証券会社でも扱っているが、変動の激しいアメリカ株に投資するのであればオンライン証券の活用を強くお勧めしたい。

現在、SBI、マネックス、楽天、DMM.com、SMBC日興、GMOクリック、岡三、One Tap BUY(2月1日よりPayPay証券)といったオンライン証券がアメリカ株を取り扱っているが、1株投資はもちろんのことリアルタイムで売買できる証券会社もある。

例えば、マネックス証券のアメリカ株投資のアプリ「TradeStation」を使えば、リアルタイムで時間外取引も含めたアメリカ株投資ができ、「全決済」ボタンひとつで即座に成行でポジションをクローズすることもできる。価格変動の激しいときには、非常手段として決裁してしまうことも可能だ。

アメリカ株を売買するのに成行では不安だと思う人が多いかもしれないが、最近では日本株同様に指値、成行どちらでも投資が可能な環境ができている。

後は情報収集だが、楽天証券のように細かな情報データが日本語でわかりやすく解説してある情報サイトもある。以前とは大きく異なる投資環境が整備されている。

1株投資で気軽に資産形成が可能!

日本の株式市場にも、爆上げするような銘柄は数多くある。しかし、アメリカ株の最大の魅力はやはり1株で投資ができることだ。少ない金額で、気軽に投資が可能になる。

周知のように、アメリカ株は連日、最高値を更新するなどコロナ収束後を先取りする形で上昇を続けてきた。今後、遅かれ早かれアメリカの中央銀行である「FRB(連邦準備制度理事会)」は「テーパリング(緩和縮小)」に動くはずであり、それに先駆けてアメリカ株には調整が入る。要するに、高くなりすぎた株はやがて下がる日が来る、ということだ。そんな機会を見て、大きく下がったところを拾う投資法もいいだろう。

むろん、こまめに売買を繰り返して利益を上げるのもありだ。少なくとも、オンライン証券の売買手数料は、日米合わせても数百円程度。気軽に投資できるマーケットと考えていい。

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