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晩婚化も「女性の結婚ピークは26歳」という現実

なぜ結婚年齢に対するイメージと実態が乖離しているのでしょうか(写真: YUJI/ PIXTA)

メディアなどで発表される「平均初婚年齢」を見て、自らのライフデザイン、もしくは社会全体の結婚年齢を誤って想像してしまう男女が後を絶ちません。筆者が主に分析している国の人口動態データの中から、『独身男性が驚く「27歳が結婚ピーク」という現実』に続いて、今回は初婚女性の婚姻届を全件分析した結果の一部をご紹介したいと思います。

平均初婚年齢が生み出す「晩婚幻想」

一口に結婚といっても、再婚と初婚があります。2018年でみると、成婚女性のうち、初婚女性は38万2823人、再婚女性は7万3325人で、初婚女性が84%(約6人に5人)を占めます。

この38万人の初婚女性の平均初婚年齢は(夫が初婚・再婚のすべてを合わせて)29.4歳となっています。女性の平均初婚年齢は2011年に29.0歳に達し、その後も上昇を続け、2014年から29.4歳で固定的に推移しています。

さて、この平均初婚年齢の数字を目にした男女の非常に多くが「今の女性は30歳ぎりぎりの駆け込み結婚をするんだな、晩婚化したもんだなあ」「最近は女性でも結婚するのは普通29歳を過ぎるんだから。25歳なんてまだまだ早い」といった会話を平気でしているのを筆者は耳にします。

上記のような会話で思い描いている29歳という年齢は「結婚する人が一番多い年齢」というイメージではないでしょうか。そうであるとすれば、イメージは実態からは大きくずれているのです。

2018年の全婚姻届の集計値をみると、初婚女性38万人の結婚相手は初婚男性が88.8%、再婚男性が11.2%となっています。つまり初婚女性のお相手は約9割が初婚男性です。そこで、初婚女性と初婚男性との結婚について、女性の結婚年齢別に件数を可視化したのが次のグラフです。

平均初婚年齢からイメージしがちな、一番多くの女性が結婚していそうな「婚姻件数が最も多い年齢=結婚のピーク」を、統計上は最頻値(さいひんち)といいます。このグラフからは、この最頻値は26歳であることがはっきり見てとれます。しかも、26歳をピークに左右急角度な傾斜がついているため、26歳以降は1歳ごとに急激に成婚しにくくなる様子も示されているのです。

もう1つの数字の図表を見てください。27歳までの初婚女性で、2018年に出された婚姻届の48.5%に到達します。婚姻届を若い年齢順に積み上げカウントして、過半数に到達する年齢を「結婚適齢期」と定義する場合、28歳では57.0%と約6割に到達してしまうため、「初婚女性の結婚適齢期は27歳過ぎあたりである」と統計的には示されています。

30歳で71.1%と7割に、32歳で80.3%と8割に到達するため「32歳までが勝負」というところになります。また36歳では91.9%と9割を超えます。初婚女性の初婚男性との成婚は、30代後半ともなると茨の道といえるでしょう。

もし、平均初婚年齢の29歳過ぎをベンチマークに「28歳くらいで本気の婚活しようかな」と考えていた場合、図表からは婚姻届の6割が提出されている年齢からのスタートとなります。また29歳で婚活開始となると、翌年の30歳には、提出された婚姻届が7割に到達する年齢になりますので、短期決戦・大激戦覚悟の参戦になる、といえます。

「結婚のピーク年齢が、平均初婚年齢より3歳も若いなんて! それじゃあ25歳で婚活開始でも、全然早くなかったじゃない」と怒りがこみあげてくる女性もいるかもしれません。これは結婚年齢の平均の罠にはまってしまっていたからだ、といえます(社会の大半の男女がこの罠にはまっているようにも聞こえてくるので、本当に恐ろしい話です……)。

どうして平均初婚年齢とこんなに違う?

山のグラフをもう一度見てください。山の一番高いところより、平均が上がってしまうのはどういうケースでしょうか。これは平均年収で考えるとわかりやすいと思います。

仮に年収が260万円の人が最も多い町があったとしましょう。年収360万円までに9割の人が入り、残りの1割にその町の「普通の年収」から大きく乖離した年収の人がいる。たとえば年収500万以上の人もいて、800万を超える人もいるといった場合です。

初婚年齢の山のグラフは、実はこれと同じことを示しています。いくら年収が低くても、この町には収入保障制度があり150万円未満の年収の人はいないとします。すると、260万円をいくら平均で引き下げようとしても、1人当たり260万-150万=110万円の範囲の引き下げまでです。

一方、平均を引き上げる方向は、例えば年収700万円の人なら、700万-260万の1人当たり440万円、平均を引き上げる方向に計算されるケースもあるのです。

高齢化によって、これまでであれば介護年齢、もしくはお亡くなりになっていた年齢での成婚も発生しています。数字の図表には出していませんが、40歳以降の2.8%の成婚の中には、驚くことに初婚ながら80歳以上の成婚2件や、60代91件、70代19件といった、件数から見た発生確率的に言うとゼロに近い異常値(発生しない、に等しい成婚)も、平均の計算には当然ながら入ってきて、平均を引き上げる方向に作用しているのです。

ですので、ライフデザインとして一般的に思い描かれているような「29歳が成婚発生の頂上で、ゆるやかな山がサイドに広がる晩婚化……」といった晩婚化の発生は起こっていません。

長い年齢帯にちょこちょこと発生している高齢者の結婚が「チリツモ」となり、実態は26歳が頂上の急角度の山であるのに、その頂上があたかも3歳上にずれていると思わせるような平均が算出されている、ということになります。今までは介護年齢だった男女でも成婚がチリツモで発生している、という意味での晩婚化社会を思い浮かべるのは正しいイメージです。

結婚相談所に入るのが「恥ずかしい」という声

欧州やアメリカにおいて、20歳を過ぎた男女が「彼氏彼女が欲しい!」とクリスマスやバレンタイン前に必死でマッチングアプリを利用していた場合、誰も彼らを笑いものにしたりはしません。それどころか、昼休みにスマホ片手に彼女候補を一生懸命探している若い男性が職場にいれば、その上司は「もうすぐクリスマスだな、がんばれよ」といったところです。

一方、日本ではどうでしょうか。ある地方に行ったとき、結婚支援の現場の方からは「恥ずかしいので結婚相談所に入るところを見られたくないんです」といった声が社会人女性からあがるという問題が出て、そうだそうだと共感を得ていました。地方ほど狭い社会になるため、噂になるからだということです。

どちらが不自然かといえば、あくまでも筆者は結婚に向けた行動を恥ずかしく考える社会風土のほうを不自然に感じます。人は1人で生まれ、1人で死にます。一休禅師(一休さん)は「門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」として、死に向かって、人は死への旅路を日々歩いているのだ、と言ったといいます。

たった1人で死に向かって歩いていく。これが確定事項だとするならば、その旅路に孤独を感じ、伴走者としてそばに長く誰かにいてほしい、という気持ちを誰かが強く持つことを、筆者は恥ずかしいこととは決して思えませんし、馬鹿にする気持ちにもまったくなれません。むしろそんな伴走者探しを応援したいとすら思っています。

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