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初婚カップル「年の差ランキング」が映す新事実

未婚化が進む日本。その背景には、統計データを直視しない「結婚に対する思い込み」が潜んでいるのかもしれません(写真:Kazpon/PIXTA)

筆者のような人口動態を分析するリサーチャーにとって、結婚(離婚、再婚)の動向は注目すべきデータの1つです。未来の人口を占う、根幹となるデータの1つといえると思います。

結婚という言葉は法的なニュアンスを含むため、もっとシンプルにいうなら「カップルの成立なくして出生なし」です。ゆえにカップリングに関するデータは、未来人口を考える際に避けて通ることはできないデータになります。

人口減少(少子化)問題というと、呪文のように「子育て支援しなくちゃね」と唱える日本人ですが、人口動態的に因果関係を考えるなら、もっと人口減少問題に直結した“壁”が日本にはあります。

的外れな少子化対策が出てくるワケ

わかりやすくいうと、「そもそも生まれてこない子どもは支援しようがない」かつ「カップル不成立では子どもが生まれようもない」という人口減少問題の見方ができない(気づかない)人が多い、人口減少問題に関する視点バイアス(偏見)の壁です。

日本人の人口減少問題に関する対策論で強く感じるバイアスの背景には、どうやら「結婚して当たり前」といった社会通念(誤解)があるようです。

そもそも論の「結婚をしたい・したくない」といった視点ではなく(したくない人が激増したというデータは継続調査のビッグデータからは出ていません)、「結婚したいならできるはず」といった誤解です。

人口減少が著しい地域でさえも、いまだに地域の少子化対策のメインに「保育園を建てたらどうか」「病児保育が足りないのか」「不妊治療に補助金をつけたらどうなのか」といった、統計情報を見ていないかのような声が上がります。

難しい統計的な話は今回省略しますが、保育園ができようと、病児保育が充実しようと、不妊治療が無償であろうと、「だからといって彼氏・彼女がいる人が増えるわけではありませんがどうしますか」といった視点が大きく欠落しているのです。

このような「まあ、結婚はして当たり前として……」という前提で行われる「少子化対策の誤解」を生みだす元凶の1つに、親子間の世代間ギャップがあります。「結婚希望をかなえる対策」への誤解、もっというと、こういうカップルが成立するだろうと「思い描くカップル像」への誤解です。

結婚を希望する男女やその関係者が、親世代のカップル像を安易に今の男女に当てはめてしまい「イマドキのカップルの姿」がわかったうえで活動していないため、目的をかなえるための行動を大きく見誤ってしまうケース(ミスマッチ)が多発しています。

そこで、この親世代と子世代で大きく変化した夫婦像を表す代表データの1つとして、初婚夫婦の年の差データをご紹介したいと思います。

30年間で急落した「夫が年上の結婚」

2018年に結婚生活を開始し、かつ婚姻届を提出した初婚同士のカップルは33万9772件でした。この約34万件のカップルについて、男女どちらが年上であるかをグラフに表してみました。

(外部配信先では図表やグラフ、写真などを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

夫が年上のカップルが約2組に1組、妻が年上のカップルが約4組に1組です。男女同年齢が約5組に1組ですので、「同年齢カップル」よりも「姉さん妻カップル」のほうが多いことがわかります。

約4組に1組という姉さん妻の割合は、姉さん妻がそう珍しくなくなったことを示しているともいえます。

次に、今からおよそ30年前の1990年、今のアラサー男女の親世代が結婚した時期の同じデータを見てみたいと思います。

夫が年上のカップルが7割、つまり約10組に7組が男性年上の結婚でした。妻が年上のカップルは約7組に1組と、今よりもかなり少なくなります。

男女同年齢が約6組に1組ですので、今のアラサー男女の親世代においては「男が年上の結婚が当たり前、まあ、それ以外は珍しいね」が、結婚のスタンダードな形だったといえます。

親世代と子世代の結婚を比べると、「夫が年上」「妻が年上」「夫婦同年齢」すべてにおいて、統計的に意味がある大きさで割合の変化が生じていることが表1に示されています。とくに男性が年上の結婚割合は急落しており、女性が年上の結婚割合が大きく上昇したことが指摘できます。

この事実を把握していないと、「年下の妻ができて当たり前」「年上の彼氏じゃないとうまくいかないかも」といった、時代の変化(から来るカップル成立の変化)を反映しない婚活に走り、結果がなかなか出ないままでいる、といったことになりかねないリスクが高まります。

統計データから見えた「年齢差」の変化

最後に、親世代と子世代の世代間格差を夫婦の年齢差ランキング形式で少し詳細にご紹介しておきます。

男性が年上の結婚は、すべての年齢差において割合が低下していることが表2・表3から見て取れます。逆に、女性が年上となる結婚は、すべての年齢差において割合が上昇しています。

未婚化社会を象徴するかのように、初婚同士の結婚件数全体として見ると、1990年の55万件から2018年の34万件と、総件数が61%に大激減しています。

ところが、そんな中でも「妻が4歳以上年上」と「妻が3歳年上」だけは、それぞれ8114件増加、818件増加という、時代に反した結果となっています。この2パターンだけは、未婚化時代において驚異的ともいえる件数増加を見せている、という指摘ができます。

つまり、未婚化が進む平成・令和時代において、「わかりやすく年上妻な結婚」は統計的には“未婚化社会の救世主”ともいえるトレンドをみせているのです。

親世代の夫婦像を捨てられるか

あくまでも結婚を希望する人についての話ですが、統計的に見た意見としては「親世代の夫婦の年齢上下観は、今の初婚カップルの結婚には通用しなくなってきている」といえます。

男性から見れば「年下の女性がついてきてくれる」、女性からみれば「年上の男性が引っ張ってくれる」といった結婚観は、それをイメージしている時点で婚活が思うように進まない、ということが起こりやすいといえそうです。

夫婦の平均年齢差は2018年において1.7歳ですが、男女どちらが年上であっても、夫婦の年齢差について

・1歳以内 1990年:36% → 2018年:44%
・2歳以内 1990年:52% → 2018年:58%
・3歳以内 1990年:64% → 2018年:69%

と変化しており、年齢差は平均のみならず分散(散らばり)で見ても、どんどん縮小しています。

このような夫婦の年齢差の縮小傾向から見て、どちらか(とくに男性)がリードして歩むような結婚から、男性と女性がともに腕を組んで並んで歩くかのような結婚へと、“ふたりの姿”が変化してきていることを、最後にお伝えしておきたいと思います。

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