コロナで住宅ローン返済キツい人がまずやる事

住宅ローンの返済を延滞する前に講じるべき対策をお伝えします(写真:takasuu/iStock)

恐れていた事態となりました。新型コロナウイルスの影響で収入が急減、住宅ローンを返すのが厳しくなった人が続出中。新型コロナに罹患して休業してしまい給与が大幅に減ってしまったという人だけでなく、今は返済できているものの賞与が減る可能性があるので返済が厳しいという人も。今回は、延滞の危険性を認識し、対策を講じるヒントをお伝えします。

住宅ローンの解決策は“延滞する前”が勝負

何はさておき、金融機関に相談してください。今は、新型コロナの影響で収入が減って返済困難に陥っている人は少なくないため、金融機関も相談窓口を開設して相談対応しています。緊急事態宣言の全国への拡大に伴い、金融庁も、金融機関に対し、住宅ローンなどの条件変更に柔軟に対応するように要請を出しています。

相談をしないまま延滞が続くと最悪の場合、住宅が「競売」されてしまうことも起こりえます。また、「今月だけ」とたとえ1回でも、延滞の事実は機関の信用情報に載り、滞納が解消された後も5年間は消えません。その影響は、家のリフォームローンや車のオートローン、ショッピングローンといった新たな借り入れの審査や、新しくクレジットカードを作るときの審査などにマイナスに影響します(参考:「住宅ローン『滞納後』にたどる恐ろしい道のり」)。

ですので、住宅ローンを借りている金融機関に状況を説明して交渉することが大切です。将来にわたってちゃんと返済継続可能と金融機関が判断すれば、

① 返済期間を延長する
② 一時的な返済猶予
③ ボーナス返済の見直し

といった返済方法の変更に応じるのが一般的です。金融機関の中には、通常ならかかる条件変更の手数料を無料にするところもあります。

なお、今回の新型コロナに関しては、政府から“お達し”が出ており、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた人からローンの支払い条件や貸し付け条件の変更申し込みなどがあった場合は、不利益を被らないよう努めるとともに、新型コロナ発生に基づく信用情報の登録についても、条件変更した債権を延滞情報として登録しないといった柔軟な対応を図るよう要請を受けている状況です。そのため、返済に困る懸念が出てきたらすぐにローンを借りている金融機関へ相談するのが最善です。

返済変更の効果について触れると、例えば、①「返済期間を延長する」について、ローン残債が2500万円残っていて返済期間があと25年という人が、返済期間を5年間延長してもらうプランであれば、本来なら9.4万円の毎月返済額を8.0万円にできます(金利1%、元利均等返済の例)。

同じ例で、②「一時的な返済猶予」について、1年間は利息負担だけにしてもらうプランにしてもらえれば、毎月の返済額は2.1万円に。

ただし、いずれも、当初の返済計画よりも利息負担が増える点は留意が必要です。上記の例では、当初の返済計画に比べて、①では約68万円、②では約25万円も利息負担が増えます。費用対効果を見極めた判断が必要です。

このほか、毎月の返済が遅れた場合には日割で延滞損害金がかかるのが通常ですが、その支払いについても相談に乗ってもらえるところも。借入先の金融機関に相談するのが最善です。

なお、住宅ローンの返済が厳しく“なりそう”な段階で動くことも大事です。すでに滞納してしまっていたりキャッシングなどに手を出してからでは、基本的に相談に応じてもらえない点は留意が必要です。

延滞するとまずくなる当面の事象

延滞すると厄介なのは、逃げ場がなくなる点です。上で触れたように借入先の金融機関への条件変更などが難しくなるだけでなく、優遇金利の適用が受けられなくなり、適用金利が上がる可能性があるのです。

例えば、変動金利型の基準金利は10年以上2.475%で推移していますので、最近借りて0.575%の金利を適用されていた人であれば、1.9%もの金利優遇を受けている計算です。

この金利優遇は借入時にはあまり意識していない人が多いのですが、契約書をよく見ると、延滞すると金利優遇が受けられなくなり復活することはない旨の記載があります。つまり、0.575%で返済してきたものの、延滞後は2.475%が適用されて利息負担が格段に大きくなるわけですね。

ただでさえ、お金が足りずに返済できなくて延滞となったのに、優遇金利が適用されなくなって今後はずっと高い金利が適用されるとなれば、じり貧になってとても返していけるとは思えません。そして、延滞が続けば、一括返済を迫られて、競売や任意売却、自己破産への道から引き返すのが難しくなります。

そうなる前に借り換える手もありますが、延滞してからでは応じてくれる金融機関はまずありません。借り換えするなら延滞してからでは遅いのです。そのうえ、団体信用生命保険による保障が得られなくなる可能性もあります。団体信用生命保険の保険料は利息分から充当するしくみなので、延滞すると保険料未払い状態となり、保障がなくなるタイミングが来ます。

例えば、新型コロナや震災などで亡くなっても、その前に延滞していて団体信用生命保険が切れていると、住宅ローンは返済免除にならない危険性があるのです。延滞してもいいことはありません。家計が苦しくなっても、延滞だけは絶対に避けたいところです。

では、今はまだ貯金などを取り崩して払えているけれども「今度の住宅ローン返済が厳しい」となったとき、どうすればいいのでしょうか。

今であれば、やはり、1人10万円の特別定額給付金の活用が最善です。3人家族なら30万円、4人家族なら40万円ですから、数カ月分の住宅ローン返済の助けになります。マイナンバーカードやスマホ(NFCリーダー)で読み込めば、10分ほどの入力で申請完了。早い自治体では5月1日から対応しています。

休業や失業で減収になった人が検討したいのが、無利子・保証人不要で一定額の融資を受けられる各市区町村の社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付」制度です。主に休業した人向けに1回のみ利用できる「緊急小口資金」と、主に失業した人向けに最大3カ月融資を受けられる「総合支援資金(生活支援費)」があります。当然のことながら、それぞれ条件ありますので相談してみてください。

すでに大学などに在学している子どもがいるご家庭なら、教育費の捻出を減らす手も。奨学金は通常、春など所定の時期しか申し込みを受け付けていませんが、家計急変の場合等の際には年間を通じて随時受け付けを行っています。

予期せぬ事由によって家計が急変し、急変後の収入状況が住民税情報に反映される前に緊急に支援の必要がある場合には、返済不要の給付奨学金の支援対象になることも。 

返済が必要な貸与型の第一種奨学金(緊急採用)なら、失職・破産・事故・病気・死亡もしくは火災・風水害等で家計が急変した場合に、要件を満たせば申し込みが可能です。

ただし、予算の運用上、翌年度の採用になる場合がありますので、早めのアクションがおすすめです。詳しくは日本学生支援機構のホームページで確認してみて下さい。

これを機に家計の見直しを

また、貯蓄性の高い保険(終身保険や養老保険、個人年金保険など)に入っている人は「契約者貸付」を利用するのも一策です。これは解約返戻金の所定の範囲内でお金を借りられる制度で、保障は継続しながらもカードなどですぐに引き出せます。

新型コロナの影響を受けて、保険会社各社では、通常ならかかる契約者貸付の金利をゼロ円にする特別対応を実施しているところが多いので、前向きに相談を。申し出れば、秋まで保険料の払込猶予を受けられる(保険料を払わなくても保障を継続してくれる)ところも増えています。

ちなみに、新型コロナの影響による支払い猶予を行っているものも多いので、利用できるものはまずは利用してはいかがでしょうか。国民健康保険や国民年金保険料、介護保険料、後期高齢者医療制度の徴収猶予や減免措置は、自治体の窓口に相談を。

電気・ガスは5月分までの期日を1カ月繰り延べ。水道・下水道は自治体によって異なり最長4カ月以上猶予するところも。スマートフォンの利用料も、ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社で5月末まで繰り延べ、損害保険会社も保険料の支払い猶予措置を発表しています。いずれもこちらから申し出で初めて適用される措置です。

ただし、融資・支払い猶予措置はいずれ返済しなければならないので、家計の状況を見極めたうえで利用するかの判断が必須です。

もちろん、これを機会に、家計を見直すのもおすすめです。

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