老けこむ人は「声の出し方」が間違っている

「大人の変声期」知っていましたか?(写真:Staras/iStock)

最近、なんとなく声が出しにくくて、かすれてしまう。声が通らなくなったような気がする。そういえば、前よりも声が低くなっている……。

もし、こうした声の変化を少しでも感じていたら、それは声の曲がり角、いわゆる「大人の声変わり」かもしれません。

これらの変化は、だいたい40代から起こる方が多いのですが、女性の場合は低くなりつやがなくなり、男性の場合は、年齢とともに声帯の筋肉が衰えていくため声が高くなっていく傾向にあります。

原因は、加齢によるホルモンバランスの崩れによる声帯の変化、筋肉の衰え、長年の間違った声の出し方による喉の痛みですが、「仕方がない」とあきらめて放置しておくと、声を出すたびに喉に負担をかけることになりかねません。放っておくと、ガラガラのおばさん声や、こもって響かないおじさん声になってしまうかも。では、どうすればいいか?

喉を痛める発声法は、顔をたるませる? 

喉に負担をかけない正しい発声法をすればいいのです。正しい発声法をすれば、喉を痛めることもなく、つやのある美しい響きの声を出すことができるのです。

とはいえ、自分が正しい発声をしているかどうか、なかなかわかりませんよね。そこで、誰でもすぐに簡単にわかる方法をお伝えしましょう。

鏡に向かって「いー」と発声してみてください。このとき、首に縦の筋が走っていたら、喉を痛める発声法をしているということ。

口角を横方向に引く働きのある「笑筋(しょうきん)」という筋肉を使って発声すると、このように首に縦筋が入るのですが、この笑筋は声帯周りに直結しているため、笑筋を使えば使うほど、喉に負担をかけてしまうのです。

では、喉に負担をかけずに「いー」と発声するにはどうすればいいでしょうか?

それには、目の下の涙袋からぶら下がっている「口角挙筋」という筋肉を使います。口角挙筋を涙袋が反応するくらい引き上げるようにして発声すると、喉を痛めることはありませんし、首に筋が入ることもないのです。

……と、お伝えしても、なかなかイメージがつかめないですよね。頬骨の下あたりに人差し指をのせ、その指で頬を目の下まで縦にぐっと押し上げてください。そのまま笑顔で「いー」と発声。これが正しい笑顔と正しい「いー」の発声です。

口角挙筋は筋膜で横隔膜とつながっているため、口角挙筋を使って発声すると自然に腹式呼吸になります。しかも、口角挙筋を使うと、息が自動的に鼻腔に流れこむので、声を鼻腔で響かせることができるのです。鼻腔とは、鼻の後ろ側になる空洞のこと。この気管や口腔よりも大きな空洞、鼻腔で共鳴した声はクリアでつややかな響きがあるのです。

喉ではなく、目の後ろまで広がっている空洞の「鼻腔」に、声を響かせる。この響かせ方を鼻腔共鳴と言います。

(イラスト:『美顔ボイトレ 声を出すたびに美しくなる』)

この鼻腔共鳴を使った発声法を身につければ、喉を痛めることなく、響きある声が手に入りますので、大人の声変わりとも無縁に。そしてこの発声法は、声以外の思わぬ効果ももたらしたのです。

アイドルたちの顔がキュッとひきしまった

僕はこれまで、ボイストレーナーとして、一般の方には1万人以上の声を診てきました。同時に、数多くのアイドルたちに発声の指導もしてきました。通常、ボイストレーニングというのは、ある程度時間をかけて教えていくのですが、デビューを目前に控えたアイドルには時間がありません。

そこで僕は、手っ取り早く習得できるよう、口角挙筋を使って声を出すよう、鼻腔共鳴の発声法を指導したのです。するとどうでしょう。声の変化はもちろん、その子たちの顔がみるみるひきしまっていき、目がぱっちりした小顔に変わっていったのです。

声がよくなるだけでなく、顔まですてきに変化するということで、僕のレッスンはアイドルの間で評判になり、一時期はその予約で埋め尽くされていたほどです。

声が変わるだけでなく顔まで変わってしまう。これは、口角挙筋という表情筋からアプローチする発声法だからこその効果でした。また、声を出すことで酸素を十分に取り込みながら表情筋を動かすため、表情筋という筋肉にとって非常に効果的なトレーニングになるのです。

ちなみに、このトレーニングは即効性があります。美顔ボイトレのレッスンを受けた方は、たった1回のレッスンでも、ご自分の顔の変化にびっくりされます。

もちろん、トレーニングを毎日続けていけば、顔全体がリフトアップされ、表情も変わってきます。レッスン生のなかには、フェイスブックで顔認証されなくなるほど、顔が変化したという方もいるほどです。

世界にはいろいろな言語があり、言語によって発声の方法が違います。なかでも日本語は母音が少なく、表情筋を使わず、口の中だけでも発声できる言語といわれています。

口の中だけで声を出すと、どうしてもくぐもってしまい、声の通りが悪くなります。そのため、アナウンサーのみなさんは口を大きく開けて発声するよう教えられるようですが、鳥山式発声法では、口を大きく開ける発声法はNGです。

なぜなら、口を大きく開けて声を出すと顎が下がり、声の共鳴する場所が鼻腔から口腔に落ちてきてしまいます。そして顎が下がると、声帯が引っ張られて、喉が締め付けられてしまうからです。

顎を下げずに声を出すなんて不可能!と思われるかもしれませんが、顎を動かす代わりに表情筋を使えば、はっきりと発音できるし、顎を動かしたときよりも、ずっと響きのよい声になるのです。

以前、テレビに出演させていただいたとき、顎を下げて話すことの弊害についてお話をしたら、その番組のアナウンサーの方が大変ショックを受けていました。その方に限らず、テレビを見ていると顎を下げ首に縦筋をいれながら話しているアナウンサーの方は意外と多くいらっしゃって、僕は「喉を痛めてしまう〜」と心配でなりません。

ちなみに僕のレッスンには「最近声が出にくくなった」「喉を痛めやすくなった」というプロのアナウンサーの方も訪れ、レッスン後は「これなら安心して仕事を続けられる」とにこやかに帰っていかれます。

また、営業や接客業で声が通らないと悩んでいた方も、この鳥山式ボイトレで響く声を手に入れ、「自信を持って仕事ができるようになった」と喜ばれています。

書籍『美顔ボイトレ』では、このあたりのお話とともに、さらに詳しい美顔ボイトレのエクササイズも掲載しています。

声は場を変える!雰囲気も自分の気分も変える

声は持って生まれたものであり、変えることはできないと思われているかもしれませんが、決してそんなことはありません。

同じ楽器でも、演奏方法や演奏技術によって音色を変えることができるように、自分の声も、出し方を変え、響かせる場所を変えることで、音色を変えられるのです。

今まで耳にしてきた自分の声が、美しく響くすてきな声になったら、それだけでもうれしいですよね。でも、声にはすごい力があって、そのときの自分の気分を変えたり、その場の空気を変えたりすることができるのです。

脳は行動に作用されるので、本当は悲しくても明るい声を出せば楽しい気分になってくるし、本当は不安でも力強い声を出せば自信がわいてくるのです。つまり、自分の声を調整することで、自分の気分までコントロールできるのです。

「場」の空気が暗いときも、明るい声を鼻腔で響かせれば、明るいトーンが空間にも共鳴し、暗さが吹き飛んでいくはずです。声はあなた自身の雰囲気を変え、あなた自身の気分も変えることができるすばらしいツールでもあるのです。

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