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20〜30代が50代よりもおカネを貯める方法

20代、30代のサラリーマンが50代以上の人よりもおカネを貯めるにはどうすればいいのか?(写真:sasaki106 / PIXTA)
世代間格差が問題になっている。50代、60代の「ギリギリ逃げ切り世代」に対して、特に20代や30代は超高齢社会のあおりを受け、社会保障の負担が重くなるだけでなく、これから来るかもしれないインフレによって、実質所得も目減りするおそれがある。どうすれば「厳しい時代」を乗り切れるのか。
セゾン投信の中野晴啓社長が、20代、30代向けにアドバイスする。

日本の個人が持っているおカネはいくらだろうか。2017年6月27日に日銀が発表した数字によると、個人金融資産の総額は、2017年3月末時点で1809兆円にも上る。その内訳は以下のとおりだ。

  • 現金・預金=932兆円
  • 債務証券=25兆円
  • 投資信託=99兆円
  • 株式等=181兆円
  • 保険・年金・定型保証=522兆円(うち保険=366兆円)

いかがだろうか。なんとなく、自分自身が保有している資産の内訳に近いだろうか。おそらくどの世帯においても、総資産に占める現金・預金の比率は高めで、投資信託や株式などのリスク資産は低めになっていると思う。しかも、若い人から高齢者に至るまで、この構造は、ほとんど変わらないはずだ。

60代の平均金融資産は1963万円、20代の約5倍

ただ、大きく違うのは、金融資産保有額の世代間格差が非常に大きいことだ。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(平成28年)」によると、年代別の金融資産保有額は、2人以上世帯で以下のようになる。

  • 20代= 385万円
  • 30代= 612万円
  • 40代= 939万円
  • 50代=1650万円
  • 60代=1963万円

比較すれば一目瞭然だが、年代が上がるほど金融資産保有額は増える。20代は所得が少ないし、30~40代は子どもの教育費をはじめ、その他生活に必要なコスト負担がかさむので、おカネの入りよりも出のほうが多くなりがちで、なかなか貯蓄を増やしにくい。

インフレが進めば、これからの実質所得はますます減る

では、今の20代、30代が50代、60代になったとき、従来のような預貯金を中心とした資産形成で、満足のいく老後の資産形成ができるかというと、それは間違いなく無理だろう。

思い切って若い人たちに権限を移譲すれば、給与が上がり、状況は変わるかもしれない。だが、今の50代、60代がそう簡単に、自分たちが握っている既得権益を手放すとは思えない。これは大企業の50代管理職を見ればわかるが、彼らの大多数は、基本的にチャレンジをせず、現状維持を望み、ぬるま湯につかったまま、定年を迎えたいと思っている。

しかも、多くの企業が成果報酬を導入しているといわれるが、大企業の中にはなおも年功序列が生きているところも少なくない。結果、50代は働きに見合わない過分な高収入を得続け、日本企業が築いてきた「20世紀の偉大な遺産」が食い潰されていく。そして、そのシワ寄せが今の20代、30代に及ぶ。

したがって20代、30代が50代になったとき、今の50代が得ているのと同じ収入が得られるかというと、それはほぼ不可能であり、若い世代ほど資産形成が思うように進まなくなるおそれがある。世代間の不均衡は一段と広まるだろう。

加えて、これからは確実にインフレが進む。日本の巨額な財政赤字問題を解決するためには、インフレを高進させ、実質的な借金負担を軽減させるしかないからだ。この20年間のごとく、経済成長できぬままインフレが進めば、実質的な所得はさらに目減りするため、ますます資産形成が困難になる。

ということで、20代、30代の人たちにとっては夢も希望もない未来のようにも思えるが、「あること」をすれば、この状況から脱することができる。つまり、収入が実質的に減ったとしても、今の50代に20世紀の遺産を食い潰されたとしても、未来が切り開ける方法だ。

このように言うと、「そもそも投資の仕方がわからない。いったい、何に投資すればいいのか」という質問が飛んでくると思う。「投資」というと、何かとても難しいことのようにとらえている人は多いと思うが、決してそんなことはない。むしろ20代、30代だからこそ大いなるチャンスがある方法をお教えしよう。

日本株はあくまで脇役として投資する

まず、日本株などの国内資産は脇役だと考えよう。投資には「ホーム・カントリー・バイアス」といって、どうしても自国の株式を中心にポートフォリオを組む傾向が見られるが、日本の未来を想像すると、そんなに経済が成長するとは思えない。なんだかんだ言っても、株価はその国のGDP成長率に連動するので、経済が成長しない国の株価は上昇しないと考えるべきだ。

一方、視点を海外に向ければ、世界経済はまだまだ成長の余地がある。インドやASEAN諸国など、これから成長していく国はたくさんあるし、あの米国でさえ経済は成長を続けている。何より、これから世界人口が100億人に向けて増えていくことを考えれば、世界経済は成長すると考えるのが理にかなっている。つまり、投資をする際には、世界中にバランスよく分散投資する方法を考えるのがよい。

こうして自分の投資戦略を固めたら、ひとつ神様にお願いごとをしよう。それは、「50代以上の現金を貯め込んでいる人たちが、このままずっと投資をせず、現金・預金に資産の大半を置いておくように」ということだ。

なぜなら、インフレが進む過程においては、現金と預金は確実に資産価値が目減りしていくからだ。インフレとは、言い換えれば、おカネを貸している人から借りている人への富の移転でもある。国はおそらくインフレを加速させ、財政再建を進めようとするだろう。そのとき、いちばん割を食うのが、資産の大半を現金、預金で持っている人たちなのだ。逆に、現金・預金で資産を保有し続けてくれる人がいないと、財政再建は進まないことになる。

20代、30代が世界中に分散投資をする一方、50代以上の現金・預金をたくさん持っている人がこのまま動かずにいてくれれば、あと10年もしたら世代間格差は縮小するだろう。国は今、iDeCo(個人型確定拠出年金)や、NISA(少額投資非課税制度)、さらには来年から始まるつみたてNISAなど、投資の非課税制度を充実させているので、これを活用すれば、さらに効率的な資産形成が可能になる。世代間格差を嘆く前に、まずは行動を起こしてみてはどうだろうか。