耕作放棄地で育てたブドウ、規格外の粒の果汁を生かしたクラフトビール開発…「廃棄はもったいない」

 埼玉県横瀬町の地域おこし協力隊員らを中心とした地域商社「ENgaWA(えんがわ)」が今秋、規格外のブドウを有効活用したクラフトビールを開発した。開発責任者の吉村俊也さん(24)は、「製法を変えて違う味のビールにも挑戦したいし、販路も広げていきたい」と意気込んでいる。

クラフトビール「くまさんのまごぶどう」

 同社は昨年、取引のあった地元の農家から、維持が難しくなり耕作放棄地となりかけた同町芦ヶ久保のブドウ園の一部を借り受け、「まごぶどう」と名付けたブドウの販売やスイーツ開発に取り組んでいる。今年収穫した約3000房の中には、生育が不十分なものや変色したものもあったが、吉村さんは、「廃棄するにはもったいない」と感じたという。

 吉村さんは、大学時代に同町名産のどぶろくによる町おこしに携わったこともあり、規格外のブドウを使ったビールを提案。開発の責任者を任せられた。

 地元の秩父麦酒醸造所(秩父市)の設備を借り、寄せ集めたブドウ粒120キロ・グラムから100リットルの果汁を搾り出し、約1000リットルのビールに混合。酸味がある「サワーエール」を約1か月かけて醸造した。ビールとワインの中間くらいの味わいが特徴だ。

 同醸造所の製品にはラベルなどに熊を使うことが多く、「くまさんのまごぶどう」と名付けた。西武秩父線横瀬駅の「ENgaWA駅前食堂」と同町のイベント会場で330ミリ・リットルのビンを700円で販売している。

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