物価高で強まる節約志向、客足回復目指し小売り各社は続々値下げ…物流や包装コスト見直しで

 物価高で消費者の節約志向が強まる中、小売り各社が商品の値下げに力を入れている。物流やパッケージの工夫で価格を引き下げたり、内容量を増やしたりし、客足の回復につなげる考えだが、関係する食品メーカーなどにも影響が及びそうだ。

値下げをアピールするトップバリュの売り場(22日、千葉県浦安市で)

 イオンは22日、傘下のスーパー約1万4000店舗で、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の一部商品を値下げすると発表した。第1弾として、10月末までにパンやチーズ、たこ焼き粉など約100品目を、価格は据え置き、中身を増量した商品を数量限定で販売する。購入頻度の高い商品に絞った「実質値下げ」だ。11月中旬以降は、食品など数十品目を10%前後、値下げする。

 イオントップバリュの土谷美津子社長は記者会見で、「(商品の値上がりで)店頭で買うか買わないか迷っているお客様が非常に増えてきた」と値下げの理由を説明した。

 製造拠点の見直しで配送距離を短くするほか、粉末スープの個包装をやめてチャック付きの大袋にする、配送時の荷物の積み方を変更するなど、あの手この手でコストを減らす。それでも「粗利益率は維持している」(土谷氏)という。

 小売業界では低価格戦略を強化する動きが広がる。セブン―イレブンは高級PBに力を入れてきたが、客の来店頻度が減ってきたため、弁当や総菜などで低価格帯の商品を増やしている。西友も、ヨーグルトなど購入頻度の高い商品を期間限定で値下げした。

 ただ、商品を値下げするには、小売業者自身の努力だけでなく、調達から配送に至るまで、取引先を巻き込んだコストの見直しが必要だ。大手食品メーカーの関係者は「大口取引先から値下げへの協力を求められれば、むげにはできない。原材料高の中、メーカーに求められる企業努力は相当大きい」とこぼす。

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