「日本市場へ」海外勢の野望、出展985社の半数超える…東京ゲームショウが開幕
国内最大のゲーム展示会「東京ゲームショウ(TGS)」が26日、千葉市・幕張メッセで開幕した。昨年に続き、海外からの出展社数が日本勢を上回るなど、日本のゲーム市場への注目の高さがうかがえた。(村瀬駿太郎)
PS5プロ
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、5年ぶりに出展した。11月7日に発売する家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の上位モデル「PS5プロ」を世界で初めて披露した。
PS5プロは、画像処理半導体(GPU)の増強やAI(人工知能)の活用による高精細な画像が特徴だ。希望小売価格は税込み11万9980円で、PS本体として初めて10万円を超えた。体験した男性は「画質にキレがあって没入感があった」と話した。PS生みの親として知られる元ソニー副社長の久多良木健氏も会場で講演した。
スクウェア・エニックスは11月14日に発売する「ドラゴンクエスト3」のリメイク版を、セガは来年2月に発売する「龍が如く」の新作を、いずれも世界で初めて体験できるブースを設けた。
成長分野
今年は、985の企業や団体が出展し、2年連続で過去最多を更新した。海外勢は535で、昨年に続いて国内勢を上回った。
初出展となるマレーシアのメーカー「グーリー」は、思考力が高まるボードゲームのアプリ版をPR。取材に応じた創業者は「マレーシアでも発表の場としてのTGSの評価は高い。ゲームファンとのネットワーク作りに活用したい」と話した。娯楽に特化した大型都市を建設中のサウジアラビアも大型ブースを出展した。
今後もTGSへの注目は高まりそうだ。昨年12月には、米国で開催される世界最大級のゲーム見本市「E3」が終了を発表した。3大ゲームショーで残るのは、TGSと欧州の「ゲームズコム」となった。
ゲーム業界に詳しい東洋証券の安田秀樹氏は「パソコンゲームの人気もあり、世界市場は拡大が予想される。TGSは海外メーカーにとって重要な場となっている」と指摘する。
ファミ通ゲーム白書によると、2023年の世界ゲーム市場規模は29・5兆円で、19年から9割近くも増加した。23年の日本市場は1・9兆円で、近年は横ばいで推移している。日本勢にとっても、海外市場のさらなる開拓は不可欠だ。
経済産業省は成長分野の一つと捉え、ゲームや音楽などコンテンツ分野への支援を強化。ゲームの海外展開でかかる翻訳や展示会への出展費用などを支援する補助金制度を設けている。
主催するコンピュータエンターテインメント協会の辻本春弘会長(カプコン社長)は開会式のあいさつで、「TGSは、ゲーム産業の成長を披露する大きな意義を持っている。ゲームの進化を体験でき、世界への広がりの可能性も実感できると思う」と話した。
TGSは27日までは企業向け、一般公開は28~29日。4日間で計25万人の来場を見込んでいる。
09/27 05:00
読売新聞